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35年前リリース→3週連続1位を獲得した“軽快なのに迫力がすごい”疾走ロック 40万枚超を記録した“バンド黄金期へつなぐ一曲”

  • 2025.10.19

「35年前、街に響いていたあのサウンドを覚えてる?」

1990年の秋。バブルの余熱がまだ街を照らし、ネオンがきらめく夜の繁華街を歩けば、どこからか勢いあるロックサウンドが流れてきた。肩で風を切るような若者たちの姿、その背景に鳴っていたのは、間違いなくこの1曲だった。

B’z『Easy Come, Easy Go!』(作詞:稲葉浩志・作曲:松本孝弘)――1990年10月3日発売

当時まだデビューから2年足らず。6作目となるこのシングルは、彼らが「B’zらしさ」を確立していく過程で放たれた重要な1枚だった。

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B'z (C)SANKEI

ロックへの転換点となった一撃

前作までのデジタル・ダンスナンバー路線から一転、『Easy Come, Easy Go!』ではアコースティック・ギターの柔らかさと松本孝弘の歪んだエレキが絶妙に絡み合う、よりロック色の強いサウンドが打ち出された。

ギターと歌の躍動感で勝負する姿勢は、これ以降のB’zの方向性を決定づけるものでもあった。稲葉浩志のボーカルは、伸びやかで鋭さを帯びつつも、恋の余韻を抱えた柔らかさを残す。その二面性が、タイトル通りの恋愛観をサウンド全体で体現していた。

40万枚超のセールスとランキング1位

『Easy Come, Easy Go!』は発売と同時にランキング初登場1位を獲得。しかも3週連続でその座を守り抜いた。最終的に40万枚を超えるセールスを記録し、当時のB’zにとって大きな飛躍のきっかけとなった。楽曲の力でチャートを駆け上がった勢いは、リスナーの心を直撃した証といえるだろう。

またこのシングルは、4thアルバム『RISKY』の先行シングルとして位置づけられる。『RISKY』は彼らの人気を決定づけた作品であり、その扉を開いたのがまさにこの曲だった。

都会的でありながらも情熱的。ギターサウンドの存在感を前面に出した作風は、その後のB’zの黄金期へと繋がっていく。

サウンドに込められた「疾走感」

イントロのアコースティック・ギターは、秋の夕暮れに吹き抜ける涼しい風のように軽やかだ。そこに松本のエレキギターが重なり、エネルギッシュなリズムが駆け抜けていく。

聴く人の背中を自然に押してくれるような“疾走感”こそ、この曲の真髄だろう。日常の小さな迷いも、このサウンドの前では一瞬で吹き飛ばされてしまう。

時代を走り抜けた青春の証

1990年という時代は、華やかさと不安が交錯する境目だった。その空気の中で『Easy Come, Easy Go!』は、前へと進む力を与えてくれる応援歌のように響いた。

街のCDショップやラジオから溢れるギターサウンドは、当時の若者にとって自分の青春と重ね合わせられる象徴でもあった。35年を経た今聴き返しても、その勢いは少しも色褪せていない。

時代を駆け抜ける一瞬の煌めきを閉じ込めた『Easy Come, Easy Go!』は、青春の記憶とともにこれからも鳴り続けていくだろう。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。