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30年前、CMからお茶の間に浸透した“軽快だけどド直球な”バンドサウンド 恋心を飾らずにぶつけた“疾走の青春ソング”

  • 2025.10.16

「30年前の秋、どんな音楽が街を彩っていたか覚えてる?」

1995年、若者文化はテレビや雑誌を通して一気に拡散していた。街を歩けばコンビニの明かりが夜を照らし、カラオケボックスには最新のJ-POPがこだまする。そんな時代に、シンプルで真っすぐな愛を歌った1曲が、夕暮れから夜明けまでを駆け抜けるように響いた。

TOKIO『好きさ~Ticket To Love~』(作詞:工藤哲雄・作曲:都志見隆)――1995年10月21日発売

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※Google Geminiにて作成(イメージ)

青春をまっすぐに射抜いたTOKIOの一曲

この曲はTOKIOにとって6枚目のシングル。すでにテレビで存在感を放っていたTOKIOだが、音楽活動の中でも確実に成長を刻んでいた。

作詞は数々のヒットソングを手がけた工藤哲雄、作曲は都志見隆。TOKIOにとってはデビューシングル『LOVE YOU ONLY』を手掛けた2人による楽曲であり、メロディにはわかりやすく心をつかむ“直球さ”が宿っていた。

テレビから流れたカレーの香りと共に

当時のリスナーにとって印象的だったのは、ハウス食品「バーモントカレー」のCMソングに起用されたことだろう。お茶の間に温かな香りとともに流れるこの曲は、家庭的で親しみやすいTOKIOのキャラクターとも見事に重なっていた。カレーを囲む食卓と、彼らのエネルギッシュな歌声が不思議とリンクし、聴く人の心に明るい余韻を残した。

ビートに宿る“走り抜ける青春感”

『好きさ~Ticket To Love~』の最大の魅力は、その軽快なバンドサウンドにある。エレキギターが刻む疾走感のあるリズム、ドラムの力強いビート、そこに乗る真っすぐな歌声。恋心を飾らずにぶつけるようなテンポ感は、聴くだけで“駆け出したくなる”衝動を呼び起こす

歌詞を解釈せずとも、音そのものが放つエネルギーが、青春の一瞬を閉じ込めたかのように響いた。

TOKIOという“バンドスタイル”の強み

アイドルでありながら、自ら楽器を持ちパフォーマンスするTOKIOのスタイルは、この曲においても大きな存在感を示していた。単なる「歌って踊る」ではなく、バンドとしての一体感が音に熱を加え、ライブでも強い輝きを放った。デビュー直後の瑞々しさと、バンドとしての輪郭がはっきりしてきた時期の交差点に生まれた作品といえるだろう。

あの日の勢いを思い出させる音

今、改めてこの曲を聴くと、都会の夜を駆け抜ける若者の姿や、CMの中でスケボーに乗る長瀬智也の姿がよみがえる。恋や夢に全力で向かっていけると信じられた頃の衝動が、そのまま音に刻まれているからだ。

30年経った今でも、ふと耳にすれば自然と心が前向きになれる。『好きさ~Ticket To Love~』は、そんな“日常を少し明るくする魔法”を持った一曲として、静かに記憶に残り続けている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。