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20年前、映画主題歌で世を席巻した「力強くキュッと胸掴む」疾走ソング スクリーンの枠を超えた“時代のアイコン曲”

  • 2025.10.15

「20年前、あの映画の曲が胸に響いたことを覚えてる?」

2005年の街には、ガラス張りのビルの隙間を抜ける風と、CDショップの試聴機から流れる新しい音楽が入り混じっていた。携帯電話の着うたが当たり前になりつつある一方で、映画館からは話題作の余韻を抱えた人々が吐き出されていく。そんな空気の中で、スクリーンからそのまま飛び出してきた衝撃的な一曲が世を席巻する。

NANA starring MIKA NAKASHIMA『GLAMOROUS SKY』(作詞:AI YAZAWA・作曲:HYDE)――2005年8月31日発売

漫画と映画、そして音楽が重なった瞬間

矢沢あいの大ヒット漫画を実写化した映画『NANA』は、当時の若者文化を象徴する一大ムーブメントだった。その中で、大崎ナナ役を演じた中島美嘉が劇中バンドのボーカルとして歌い上げたのが『GLAMOROUS SKY』だった。単なる映画の企画にとどまらず、「役としての歌声」と「アーティストとしての存在感」が完全に一致した稀有な例として、リスナーに鮮烈な印象を残した。

作曲とプロデュースを担当したのは、L’Arc〜en〜CielのHYDE。さらに作詞を手がけたのは、原作者の矢沢あい自身という豪華な布陣。物語の延長線上で生まれたこの曲は、フィクションと現実をつなぐ架け橋となり、映画の枠を飛び越えて多くの人々に届いた。

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映画『NANA』完成披露会見に現れた中島美嘉(右)と宮﨑あおい(左)(C)SANKEI

ロックな疾走感とヒロインの佇まい

楽曲の魅力は、ギターリフから突き抜けるロックサウンドにある。疾走感あふれるバンドサウンドに乗せて、中島美嘉の力強くも透明感のある声が響くと、聴き手は一瞬にして『NANA』の世界へと引き込まれる。

それは彼女の従来の楽曲、たとえば『雪の華』のような繊細で叙情的なバラードとは対照的。「役を演じる」ことが「歌を表現する」ことと見事に重なり合い、普段の中島美嘉とは異なるロックシンガーとしての姿を提示したことが、多くの人の心を掴んだのだ。

社会現象級の広がり

発売と同時にランキング初登場1位を記録。CDセールスは40万枚を超え、2000年代半ばのCD市場において大きなヒットとなった。着うた全盛期の時代に、パッケージとしてのCDがこれほど売れること自体が、作品の熱狂ぶりを物語っている。

また、その後もメディアで名曲としてたびたび紹介され、世代を超えて支持される存在となった。映画のサントラやキャラクターソングの域を超え、J-POP史に刻まれるスタンダードなロックナンバーとして確かな位置を築いたのだ。

作品を超えたアイコンとして

『GLAMOROUS SKY』が特別なのは、漫画、映画、音楽の三位一体で人々の記憶に刻まれた点にある。矢沢あいが描いたキャラクター、HYDEが紡いだ旋律、そして中島美嘉が演じ歌った声。その全てが重なり合って、単なるタイアップ曲以上の存在感を放った。

2000年代の音楽シーンを振り返ると、この曲は「実写映画から生まれた一発企画」ではなく、むしろ“時代を象徴するアンセム”としての輝きを放ち続けている。

あのときの熱狂を胸に

20年が経った今も、『GLAMOROUS SKY』を聴くとスクリーンの中の大崎ナナが鮮やかによみがえる。街を歩く若者の姿、映画館を埋め尽くした観客のざわめき、そしてヘッドフォンから鳴り響いたロックの衝動。あの瞬間に息づいていた熱は、時代を越えてなお、私たちの心を震わせ続けている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。