1. トップ
  2. NHK深夜ドラマで光る“15分間の名演”… 原作再現度の高さと“カッコ悪さ”で魅せる実力派女優に称賛の声

NHK深夜ドラマで光る“15分間の名演”… 原作再現度の高さと“カッコ悪さ”で魅せる実力派女優に称賛の声

  • 2025.11.21

夜ドラ『ひらやすみ』が面白い。なんでもない日々の暮らしを描いた特別な15分間が、忙しなく過ぎていく我々の現実を優しく包み込んでくれるような感覚になる。中でも小林なつみを演じる森七菜の芝居が素晴らしいのだ。

※以下本文には放送内容が含まれます。

undefined
夜ドラ『ひらやすみ』第2週(C)NHK

24歳の女優が見せる18歳のリアル

森が演じるなつみは、主人公・生田ヒロト(岡山天音)のいとこ。美大入学のため、山形から上京し、近所のおばあちゃん・和田はなえ(根岸季衣)から譲り受けた平屋に居候することとなる。

森が放つのは、全力のあどけなさ。役者とは年齢やキャリアを重ねるごとに、大抵は洗練された大人っぽい役が増えていく。もちろんそれが全てではないにしろ、今回の森が演じる役は18歳。森はこれまでも高校生役や、なんなら自身がリリースした『スマイル』で可愛らしいイメージがパブリックイメージとして定着している部分もあるが、今回のなつみは天真爛漫さに突き抜けた、幼さの残るキャラクター。現在24歳の森が年齢に逆行した芝居が、原作の再現度が高いと驚く視聴者から称賛を受けている。

undefined
夜ドラ『ひらやすみ』第2週(C)NHK

放送開始時、ムスッとしてばかりだったなつみも、第2週終わりの第8回には気づけば笑顔が眩しい女の子になっている。勝気な性格のなつみは入学早々、オリエンテーションの自己紹介で大失敗。友達ができずに、つまらない大学生活を送っていた。なつみはかなりの自意識過剰。密かにマンガ家になりたいという夢を抱いており、ヒロトたちに漫画の原稿を見られただけで恥ずかしさのあまりに悶絶してしまうほど。

そんな塞ぎがちだったなつみの前に現れるのが、美大の同級生の横山あかり(光嶌なづな)。優しい性格で自分をしっかりと持っているあかりとなつみは意気投合し、仲良くなっていく。初めてのアルバイトの帰り道、いつまでも終わらない2人の会話が、温かな光を放っている。

筆者が印象的なのは、あかりとの待ち合わせにスキップでやってくるなつみのカッコ悪さ。全く洗練されてないのだけれど、楽しみなのが抑えられていない「こんな子いるよな」という仕草を、カッコつけずに自然体の演技で見せられている森に、単なる実写化を超えた役として生きる再現度の高さを感じさせる。個人的にはヒロトと不動産会社の立花よもぎ(吉岡里帆)の恋模様を言葉を選ばずに言えば“悪ガキ”のようにニヤニヤ、ヘラヘラ見守っている姿もツボである。

映画『国宝』『秒速5センチメートル』とヒット作への出演が続く森七菜

undefined
夜ドラ『ひらやすみ』第2週(C)NHK

森と言えば、映画『国宝』を筆頭にして、今年だけでも『秒速5センチメートル』、『ファーストキス 1ST KISS』、『フロントライン』といったヒット作への出演に恵まれている。

『国宝』では歌舞伎役者・吾妻千五郎(中村鴈治郎)の娘・彰子を演じた。決して出演シーンが多い役柄ではないものの、視聴した者の記憶に残る、鮮烈でいて気品さ、その自分を持っている内面的な強さは、一見すると真逆に思えそうな『ひらやすみ』のなつみとも通ずる部分があるように思える。

2026年春には森の主演映画『炎上』の公開が控えている。歌舞伎町を舞台にした本作は『ひらやすみ』とも『国宝』とも異なる、危うい雰囲気が充満している。しかし、そこには女性、またはそこに生きる人々の「強さ」という根源的とも言えるテーマが込められている。


NHK夜ドラ『ひらやすみ』毎週月曜~木曜よる10時45分放送
NHK ONE(新NHKプラス)同時見逃し配信中・過去回はNHKオンデマンドで配信

ライター:渡辺彰浩
1988年生まれ。福島県出身。リアルサウンド編集部を経て独立。荒木飛呂彦、藤井健太郎、乃木坂46など多岐にわたるインタビューを担当。映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』、ドラマ『岸辺露伴は動かない』展、『LIVE AZUMA』ではオフィシャルライターを務める。