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「朝ドラヒロインだったとは思えない」“生々しい体当たり演技”に騒然…「これは観なきゃ損」“大胆な過激描写”で魅せる名映画

  • 2025.10.16

多くのファンに愛される名作漫画の実写化は、大きな期待と共に、時として不安の声も上がるのが宿命です。キャラクターの再現度や世界観の表現など、多くの困難を乗り越え、原作ファンをも唸らせるほどのクオリティで成功した作品は、原作とはまた違う新たな感動と興奮を与えてくれます。今回は、そんな“名作漫画の実写作品”5選をセレクトしました。

本記事では第2弾として、2020年公開の映画『ばるぼら』(イオンエンターテイメント)をご紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

“名作漫画の実写作品”映画『ばるぼら』

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「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」完成披露試写会 二階堂ふみ(C)SANKEI
  • 作品名(配給):映画『ばるぼら』(イオンエンターテイメント)
  • 公開日:2020年11月20日

あらすじ

手塚治虫さんの同名漫画を原作に、監督・手塚眞さん、脚本・黒沢久子さんで実写映画化。

人気小説家の美倉洋介(稲垣吾郎)は、常人には理解しがたい異常性欲に悩まされていました。ある日、美倉は新宿の片隅で大酒飲みの少女・ばるぼら(二階堂ふみ)と出会い、気まぐれから自宅に連れて帰ります。自堕落な彼女をそばに置くと、不思議と創作意欲が湧き上がることから、美倉はばるぼらを自身のミューズとして手放せなくなりました。

しかし、それと同時に美倉は現実離れした異常な幻覚に悩まされ始めます。やがて美倉は、抗うことのできない魅力を持つばるぼらとの結婚を決意します。しかしそれは、創造と引き換えに、破滅への入口だったのでした―。

映画『ばるぼら』の見どころ※ネタバレあり

巨匠・手塚治虫さんが描いた大人向けの異色作を、実子である手塚眞監督が映像化した映画『ばるぼら』。原作は、退廃的で過激な内容から「本当に実写化できる?」という声も多かった問題作です。そんな原作の実写化である本作はR15+指定を受け、その期待を裏切らない映画となりました。観客からは「過激鮮烈な映画」「R-15どころかR-40」と感じるほど、人間の欲望や芸術家の狂気を、アーティスティックかつ大胆に描き切っています。

その世界観の中心で輝きを放つのが、主演の稲垣吾郎さんの演技です。異常性欲に悩む人気小説家という難しい役を繊細かつ大胆に演じきり、その圧巻の演技に多くの観客から「こんなドロドロな役もやるのか」「新境地」と驚きの声が上がりました。これまでのイメージを覆すような挑戦的な役柄は、稲垣さんの俳優としての新たな一面を見せつけています。

また、主演の稲垣さんと二階堂ふみさんの2人を支える、豪華な共演者たちも本作の魅力です。特に、美倉の担当編集者・甲斐加奈子を演じた石橋静河さんは、凛とした存在感で物語に緊張感を与えています。他にも渋川清彦さん、美波さん、渡辺えりさんといった実力派俳優陣が脇を固め、手塚治虫が描いた奇妙で美しい世界観に、確かな説得力をもたらしました。

国民的な朝ドラヒロインが過激描写の連続に挑み「度肝を抜かれた」

映画『ばるぼら』で、大きな衝撃を与えたのが、稲垣吾郎さんとW主演を務めた二階堂ふみさんです。当時、国民的な朝ドラ『エール』で主人公の妻を好演し、日本中のお茶の間に愛される存在だった二階堂さんが、本作ではアルコールに溺れる自由奔放な芸術の女神・ばるぼらという過激な役柄に挑み、観客を驚愕させました。そんなばるぼらを完璧に体現しているかのように見えた二階堂さんですが、その裏側には大きな葛藤があったことを共演した稲垣吾郎さんが、モード誌『Numero TOKYO』でのインタビューで明かしています。

撮影の最初の頃、二階堂さんが迷っているという話を聞いて、すごく意外でした。すごく、原作のばるぼらの雰囲気があったから。でも、むしろその迷いがあったから、幻想的で魅力的な人物像になったのかもしれないですね
出典:『稲垣吾郎・二階堂ふみインタビュー「狂気と幻想の『ばるぼら』の世界を生きる」』Numero TOKYO 2020年11月24日配信

“迷い”すらも役の魅力に変えてしまう圧倒的な表現力は、共演した稲垣さんにも衝撃を与えたようです。SNSでも「エールとのギャップに度肝を抜かれた」「朝ドラヒロインだったとは思えない妖しさ」「予想を超えた体当たり演技」「これは観なきゃ損」といった、朝ドラのイメージとのあまりのギャップに驚く声があふれました。国民的ヒロインと破滅的なミューズという、両極端な役柄を同時期に演じきった二階堂さんの演技は圧巻です。

映画『ばるぼら』を観たことがない方、また本記事を読んで興味を持っていただけた方は、ぜひご覧ください!


ライター:天木拓海
映画・アニメ・ドラマなど、エンタメ作品を観ることを趣味としているライター。エンタメ関連のテーマを中心に、作品考察記事/コラム記事などを手掛ける。

※記事は執筆時点の情報です