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すべての更年期女性におくる渡辺満里奈さんの実体験エッセイ

  • 2025.8.6

更年期に伴う心身の変化によって、〝不機嫌〟と向き合わざるを得ない50代。
大人世代でもある渡辺満里奈さんが、不機嫌を解消し、自分らしく年を重ねるためのヒントを語ってくれました。

興味のアンテナを張って常に学び続けたい

体も心も変化する50代。
思うようにいかないことが増えてイライラしたり、落ち込んだり。不機嫌な自分に嫌気が差すこともしばしばですが、「本当に辛いときは、不機嫌でいてもいいのでは」と渡辺満里奈さん。
 
「大事なのは、不機嫌の理由を見つけて解消すること。そうすることで、自分も周りの人もラクになるのではないでしょうか」
 
そんな思いで大人世代の不調やストレスと向き合い、自分なりに対処していく過程を率直に
綴ったのがエッセイ『不機嫌ばかりな私たち』です。
 
更年期症状を乗り越えるためのアプローチの中でも、とくに不機嫌の解消に役立ったのが、体の深層部を鍛えられるピラティス。
 
「年齢を重ねると、新しいことに対して面倒になって、なかなか第一歩が踏み出せない。その気持ちはよくわかります。でも、筋力がつくという具体的な変化を実感できると、本当に心が軽くなって、『やってみよう』『出かけてみよう』と前向きな気持ちになれる。筋力だけは90歳になっても向上すると言われているので、年齢は関係なく続けていきたいと思っています」
 
朝に友人とビデオ通話をつなげてYouTubeのエクササイズ動画を同時再生し、一緒に体を動
かすことも、いい気分転換に。
 
「それほど頻繁に会えるわけではないので、運動と“生存確認”を兼ねられるのもいいところ。誰かとつながっている感覚を得ることで、心のバランスも取れると思います」
 
「更年期」や「老い」にはいまだにネガティブなイメージがつきまといますが、「大人になった今が一番面白い」と渡辺さん。
 
「若い頃は『なにか面白いことないかな?』と外に楽しみを見つけようとして、はしゃいで終わり……という感じでしたけど、今はやりたいことや興味の対象をじっくり深く掘り下げたいと思うようになりました。年を重ねた今だからこそ、解像度を上げて物事を見られるようになったのだと思います」
 
自身にとっての理想の年の重ね方は、「常に興味のアンテナを張って、学び続けること」。最近、新たに始めたことのひとつが「健康麻雀」だそう。
 
「お金を賭けたり、お酒を飲んだりはせず、メンバーは女性だけ。始めたばかりなのですが、すごく楽しくて。老後の趣味のひとつにしていきたいですね」

『不機嫌ばかりな私たち』 渡辺満里奈 ¥1,870(講談社)

ホルモンバランスの変化による不調、年齢を重ねることへの不安、日々の家事……など、大人世代の女性が抱えるストレスについて素直な思いを綴ったエッセイ。
すでに更年期を経験した人、これから訪れる変化に立ち向かう人、どちらの人も勇気づけてくれる一冊です。

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撮影/白井裕介 スタイリング&ヘアメイク/三上つかさ 文/工藤花衣
 
大人のおしゃれ手帖2025年7月号より抜粋
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