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脇田あすか、佐藤健寿らが大切にしている、人生の一行

  • 2025.8.3
クリエイターや文化人が大切にしている、人生の一行。Vol.8

鈴木香里武(〈幼魚水族館〉館長)

流されるのも才能だよ。

人生の師匠からもらった言葉

つい周りに流されてしまうことってありますよね。そんな時、この言葉を思い出します。流されるためには周りの環境や雰囲気を読み取る必要がある。自分の芯がないわけではなく、人の中で生きていくための優れた能力である。この言葉には海流に乗って省エネで長旅をする稚魚の生きざまにも共通するものを感じて、励まされます。

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〈幼魚水族館〉館長・鈴木香里武

鈴木香里武(〈幼魚水族館〉館長)

すずき・かりぶ/岸壁幼魚採集家。静岡県清水町で魚の赤ちゃんだけを展示する、世界初の〈幼魚水族館〉を設立。

齊藤ゾンビ(ホラープランナー)

死にたいと思っていましたが頑張ろうと思いました。

『台場怪奇学校』の2008年のクリスマスイベントに来たお客様が感想カードに書いた言葉

ある日、私が制作したお化け屋敷に入ってきた元気のない少年。自殺しようとするサンタに大声で真剣に話しかけ、説得に成功する。出てきた少年は感想カードにこの言葉を記入していた。それを読んだ時、お化け屋敷の持つ可能性の広さに感動し、探求し続ける意志を築けました。20年のキャリアで一番忘れられない言葉です。

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ホラープランナー・齊藤ゾンビ

齊藤ゾンビ(ホラープランナー)

さいとう・ぞんび/主にお化け屋敷を制作。自身も脅かし側に立ち、現在に至るまで100万人以上の人々を脅かしている。

深津さくら(怪談師)

物語はまるで映画のように
観客のいない映画のように

ビューティフルハミングバード「眠っているあいだに」(2011年)
*JASRAC申請中

ひそやかな物語へ向けられるまなざしについて歌われた楽曲の一節。怪談師として不思議な体験談を取材する中で感じるのは、誰もが心の内に物語を持っているということ。語っても語らなくても物語が人を支えている。私の中にも他者には語ることのない物語があり、時折思い出しては、少しずつ変化する自分として見つめています。

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怪談師・深津さくら

深津さくら(怪談師)

ふかつ・さくら/本誌で連載「実話怪異手帖」を担当中。著書に『怪談びたり』『怪談まみれ』(共に二見書房)など。

小林快次(恐竜研究者)

カルペ・ディエム(今を掴む)

『いまを生きる』
'89米/監督:ピーター・ウィアー

アメリカ留学中、目標である研究者までの長い道のりに対して自身の実力が足りないことに気づき、絶望的になっていた時、このラテン語に打たれた。「今」の連続が時間の流れを作る。今を自分の足でしっかりと歩むことが重要であり、人生とは今の連続を刻み続けることだと気づく。今でも自分の足で歩み、時を掴(つか)み続けている。

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恐竜研究者・小林快次

小林快次(恐竜研究者)

こばやし・よしつぐ/北海道大学総合博物館教授。国内外の恐竜化石を発掘し、カムイサウルスなど日本の恐竜も4種命名。

脇田あすか(グラフィックデザイナー)

継続と努力は才能に勝る。

デザインを勉強していた当時の学友の言葉

デザインに出会った時から今日まで、毎日創作することに飽きたことはない。自分には天賦の才があるわけではないけれど、デザインを作ることに関して真摯に向き合って、楽しみ、探究し続ける才能はあると信じている。そう思えているのはたぶん、同じアトリエでデザインを勉強していた学友がぽろりとこぼした言葉のおかげ。

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グラフィックデザイナー・脇田あすか

脇田あすか(グラフィックデザイナー)

わきだ・あすか/東京藝術大学大学院を修了後、〈コズフィッシュ〉を経て独立。アートブックなどの個人作品も発表。

佐藤健寿(写真家)

地図にあたってその反対方向へ進めば、
必ず行きたいところへたどり着くものなのだ。

『注目すべき人々との出会い』
G・I・グルジェフ著/星川淳訳/めるくまーる

20世紀最大の神秘思想家、怪人グルジェフ。その思想の中心は人間の自動性(無意識の惰性)の批判だった(と思う)。人は選択に迷うと直感的に楽な方を選ぶ。そんな時こそ直感が拒否する面倒な方向を選ぶべきという言葉。これは旅や撮影でもしかりで、行くのが大変でやめるべきかと思った場合こそ、面白い結果が待っている。

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写真家・佐藤健寿

佐藤健寿(写真家)

さとう・けんじ/代表作に『奇界遺産』(エクスナレッジ)など。

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