女性「涙が止まらない」「朝から気分が落ち込む」43歳で突然襲った“身体の不調”　一体ナゼ？→医師の回答は…

ふとした瞬間に涙があふれてしまうこと、特に家族が出かけた直後に涙が止まらなくなる経験があると、「これってもしかして更年期の症状なの？」と疑問に思う方もいるでしょう。

感情のコントロールが難しくなったり、理由もなく涙が出たりすることは珍しくありませんが、その背景には体の変化や心理的な影響が関わっていることも多くあります。今回は、そんな気になる「家族と出掛けた後の涙」と更年期症状の関連について、多角的に考えてみましょう。

涙の原因はどこに？更年期による感情の変化を知ろう

朝から何もする気になれず、家族が出掛けた後になぜか泣いていたことがありました。これって更年期でしょうか？
不規則ではないものの、1年くらい前から生理の間隔が短くなり、めまいやふらつきなどの不調もよくあります。（４３歳・女性）

まず、更年期とは一般的に40代後半から50代にかけて訪れる女性のライフステージで、卵巣の機能低下に伴い女性ホルモンの分泌が急激に減少する時期を指します。

このホルモンの変化が、身体的な症状だけでなく精神面にも影響を及ぼし、感情の起伏が激しくなったり、不安感や抑うつ症状、理由のない涙といった症状が現れることがあります。つまり、家族が出かけた後に理由もなく泣いてしまうという体験は、更年期特有のホルモンバランスの崩れによる感情の乱れの一つとして説明されうるのです。

しかし、涙が出る原因は更年期だけではありません。ストレスや疲労、生活の変化、または孤独感や寂しさなど心理的な要素も大きな影響を与えます。特に家族が出かけることで一時的に一人になる時間が増えた場合、その孤独感が涙となって表れることも考えられます。

さらに、心の健康状態や過去の経験などが複合的に絡み合っている場合もあるため、単純に年齢や更年期だけに結びつけるのは難しいこともあります。

他にはどんな症状がある？具体的な更年期の体験例を見てみよう

更年期には涙もろさの他に、のぼせや発汗、肩こり、眠りの浅さなど身体的な変化や、不安感、イライラ、集中力の低下などの精神的な症状もよく報告されています。これらの症状が同時に現れている場合は、より更年期症状の可能性が高まると考えられています。

ただし、症状の感じ方や進み方には個人差が非常に大きいのも特徴です。中には更年期の始まりのサインとして軽いイライラや感情の起伏があるだけの人もいれば、日常生活に影響が出るほどの症状が出る人もいます。涙が出る頻度や状況、そのほかの体調や気分の変化を合わせて振り返ることで、より自分の状態を理解しやすくなります。

また、涙が出るという現象は感情表現の一つであり、決して恥ずかしいことや異常なことではありません。誰しもストレスや疲れを感じている時に涙が出ることはあるので、まずは自分の感情に目を向けてみることが大切です。

更年期かどうかの見極め方と心のケア

涙が急にあふれる経験は、必ずしも更年期症状だけに由来するわけではなく、多くの要因が関係しています。

まずは日々の生活での変化や気分の波に注目し、他に気になる症状があれば記録してみると良いでしょう。ホルモンバランスの乱れに伴う症状の場合、専門医の相談を検討してみるのも一つの方法です。医療機関ではホルモン検査や問診をもとに症状の原因を探ったり、適切な対処を案内してくれます。

また、自分自身の心と体を労ることが大切です。十分な休息をとったり、リラックスできる時間を持ち、ストレスを軽減する工夫をしてみましょう。加えて、家族や信頼できる人に気持ちを話すことで心の整理が進むこともあります。涙が出る自分を否定せず、感情を受け入れることがセルフケアの第一歩です。

涙の理由は一人ひとり違うけれど、理解とケアが日々を支える

今回は、家族が出かけた後に理由なく涙が溢れる経験とそれが更年期症状かどうかについて掘り下げてきました。

更年期におけるホルモンバランスの変化は確かに感情の変化を引き起こすことがあり、その一つとして涙もろさが表れることがあります。しかし、涙の理由は多様であり、単一の原因で判断するのは難しいのが現実です。

大切なのは自分の心と体の声に耳を傾け、必要に応じて専門家の助けも得て、暮らしやすい日常を整えていくことだと言えるでしょう。

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監修者：浅草橋西口クリニックMo 頴川 博芸

静岡県沼津市出身。日本大学医学部中退、東海大学医学部卒業、順天堂大学大学院医学研究科修了。順天堂大学医学部附属静岡病院で初期臨床研修修了後、順天堂大学医学部附属順天堂医院、越谷市立病院、順天堂大学医学部附属練馬病院などを経て現在は浅草橋西口クリニックMo院長、順天堂大学医学部附属順天堂医院食道・胃外科非常勤助手。資格は日本専門医機構外科専門医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本医師会認定産業医など。趣味は旅行。