1. トップ
  2. 30年前、50万枚超を売り上げた“未来のそばの応援歌” 新たな地平を切り拓いた“風通しのよい爽やかポップス”

30年前、50万枚超を売り上げた“未来のそばの応援歌” 新たな地平を切り拓いた“風通しのよい爽やかポップス”

  • 2025.8.31

「30年前の夏、テレビから流れてきたあの爽やかなメロディを覚えてる?」

1995年。街にはまだCDショップの新譜コーナーが熱気を帯び、週末ごとに人々が足を運んではランキングボードを眺めていた。そんな中で、季節の光景とともに耳に焼きついたのが、未来へのまっすぐな願いを託した一曲だった。

DEEN『未来のために』(作詞:池森秀一・作曲:池森秀一、宇津本直紀)ーー1995年6月19日発売

彼らにとって7枚目のシングルとなったこの曲は、初めてメンバー自身の作曲がリードトラックに採用された記念碑的な作品であり、DEENの新たな地平を切り拓いた一歩となった。

自作曲への挑戦とバンドの変化

デビューからわずか数年で『このまま君だけを奪い去りたい』(作詞:上杉昇・作曲:織田哲郎)や『瞳そらさないで』(作詞:坂井泉水・作曲:織田哲郎)といったヒット曲を放ち、瞬く間にJ-POPシーンの表舞台に立ったDEEN。だが、当初のヒットは外部作家陣による提供曲が中心だった。

『未来のために』では、フロントマンである池森秀一と、ドラマーの宇津本直紀が作曲を担った。自分たちの言葉とメロディで未来を描くことは、彼らにとって大きな挑戦であり、アーティストとしての意志を示すものでもあった。

爽やかに駆け抜ける旋律

『未来のために』の魅力は、何よりその爽快なメロディにある。池森の澄んだ声が伸びやかに響き、キラリと光を帯びたギターとリズムセクションが重なることで、未来への期待感を抱かせるサウンドスケープが広がっていく。

バラードのヒットも多いDEENだが、この曲は軽やかで風通しのよいポップスとして印象的だ。まるで初夏の空気をそのまま音楽に閉じ込めたかのような清涼感が漂っていた。

日本テレビ系列『’95劇空間プロ野球』のイメージソングとして起用されたことも大きい。球場に響き渡る歓声とともに流れるこの曲は、観る者、聴く者に「未来へ挑む力」を重ね合わせるように響いた。スポーツと音楽が交差した瞬間、楽曲は単なるヒットソング以上の意味を持ち始めた。

時代とともに響いた“未来”

シングルは発売直後にランキング1位を獲得し、最終的には50万枚を超えるセールスを記録。瞬発力だけではなく、DEENが“自らの音楽”で支持を得られることを証明したシングルとなった。

それは、デビュー時の勢いを超えて、彼らが“アーティストとして成熟していく”過程を象徴する出来事だった。

歌詞の内容を語らずとも、サウンドの透明感と池森の真っ直ぐな声が、未来という大きなテーマをやさしく、しかし確かに届けてくれた。

undefined
2025年8月28日、日本武道館内にオープンした自身が考案したオリジナルレシピによる蕎麦店「SOBA CAFF IKEMORI」をPRするDEENの池森秀一 (C)SANKEI

余韻としての“続きの物語”

30年の歳月を経た今、池森秀一は「蕎麦の人」として再び注目を浴びている。音楽と食というまったく異なるフィールドで愛されるその姿は、かつて『未来のために』を聴いた世代にとって、人生の“未来”を軽やかに歩んでいる証のように映るだろう。

あのとき歌っていた“未来”は、決して空想ではなく、今も続いている時間そのものなのだ。

今なお色あせない輝き

『未来のために』を耳にすれば、95年の空気が蘇る。白球を追って熱狂する球場のざわめき、CDショップで流れていた試聴機の音、夏の風に吹かれながら友人と蕎麦をすすりあったあの日の夕暮れ。

30年前の自分たちが抱いていた未来への憧れや不安までもが、旋律の中にそっと封じ込められている。

ーーあの日の爽やかな旋律は、今も私たちの背中を押し続けている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。