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20年前、50万枚超を売り上げた“涙腺を破壊する名バラード” 伝説的バンドが放った“広大な海のような応援歌”

  • 2025.8.29

「20年前の夏、心を揺さぶられた“あのメロディ”を覚えてる?」

2005年の日本。街にはまだ大型CDショップの看板が輝き、週末になると新譜を手にしたファンがレジに列をなす光景があった。一方で携帯電話では「着うた」が流行し始め、音楽の聴き方が急速に変わろうとしていた時代でもある。

配信とフィジカルが共存していた過渡期の音楽シーンにおいて、ドラマ主題歌は依然として絶大な力を持ち、人々の記憶を鮮明に刻む存在だった。そんな時代の空気を丸ごと封じ込めたのが、壮大なスケールを誇る一曲だった。

B’z『OCEAN』(作詞:稲葉浩志・作曲:松本孝弘)——2005年8月10日発売

この楽曲はフジテレビ系ドラマ『海猿』のために書き下ろされた。仲間との絆や命を懸けた救助の現場を描く作品に寄り添い、深い余韻を残すバラードとなった。リリース後には50万枚を超えるセールスを記録した。

海を舞台にした物語と響き合う旋律

『OCEAN』の真価は、ドラマと一体化して響いた点にある。大海原を舞台に、海上保安官たちが命を懸けて人命救助に挑む姿。その緊張感と誠実さを支えるように曲がドラマで流れると、映像とともに聴く者の胸に深く突き刺さった。

メロディはまるで水平線から昇る朝日を思わせ、波間を渡る光のように静かに心を照らす。視聴者にとっては単なる主題歌以上の意味を持ち、「誰かを守りたい」という衝動を代弁する応援歌として響いたのだ

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2006年、オリコン40周年記念表彰式「WE LOVE MUSIC AWARD」に登壇したB'z (C)SANKEI

稲葉の声が描く“限りない空”

作曲を担った松本孝弘が描いた旋律は、広大な海をそのまま音にしたかのような伸びやかさを持つ。その上に稲葉浩志の歌声が重なると、楽曲は一気に立体感を帯び、リスナーを海原へと連れ出す。

稲葉の声は鋭い光のような力強さと、柔らかく包み込む優しさを同時に宿していた。力強い高音は荒波を突き抜け、穏やかな低音は浜辺に寄せるさざ波のように心を癒す。その二面性こそが、この曲を単なるバラードではなく“生きるための歌”へと昇華させている。

バラードとして刻まれた“新たな地平”

B’zといえば『ultra soul』に象徴されるエネルギッシュなロックを思い浮かべる人もいることだろう。一方で『OCEAN』は、彼らのキャリアの中でも特にスケールの大きいバラードであり、異なる魅力を提示してくれる。

ギターの音色は力強く、余白を大切にしたサウンドデザイン。そこにドラマティックなストリングスが重なり、バンドの持つ爆発力とともに“支える力”を前面に押し出している。

50万枚を超えた“共感の証”

『OCEAN』は50万枚を超えるセールスを記録。数字以上に意味を持ったのは、幅広い世代に受け入れられたことだった。

ドラマの人気と相まって、若い世代から親世代までが同じ曲に胸を打たれる現象が生まれた。家庭や日常生活の中に自然と入り込んだバラードとなったことも、この楽曲の特筆すべき点である。

あの夏の涙がよみがえる

20年経った今でも、『OCEAN』を耳にすれば、当時の情景が鮮やかに蘇る。ドラマを見終えた夜の静けさ、涙を拭った記憶、友人や家族と語り合った“守りたいもの”の存在。音楽は時代とともに変わっても、この曲が呼び起こす感情は決して色あせない。

涙を誘う大海原のバラードは、20年の時を越えてもなお、人々の心に寄り添い続けている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。