1. トップ
  2. 30年前、日本中の胸が高鳴った“軽快な強烈ラブソング” 40万枚超を売り上げた“普遍的なアイドルポップ”

30年前、日本中の胸が高鳴った“軽快な強烈ラブソング” 40万枚超を売り上げた“普遍的なアイドルポップ”

  • 2025.9.1

「30年前の冬、あなたはどんな音楽を聴いていましたか?」

街のショーウィンドウにはバレンタインの赤やピンクがあふれ、まだ寒さ残る夜の街には、ネオンの灯りと人々の足音が交差していた。平成7年、バブルの余韻はすでに遠のき、社会は現実へと舵を切り始めていたが、日常の小さなときめきに心を寄せる人々の姿は変わらなかった。そんな時代の空気に寄り添うように流れていた曲がある。

森高千里『二人は恋人』(作詞:森高千里・作曲:斉藤英夫)——1995年2月10日発売

明石家さんま主演のドラマ『恋も2度目なら』(日本テレビ系)の主題歌としてオンエアされ、累計40万枚以上を売り上げた彼女最大のヒット曲である。

キャリアの節目に刻まれたヒット

この楽曲は森高にとって25枚目のシングル。1987年のデビューから数えて8年、アイドル的な存在からアーティストへと確実に歩みを進めてきた彼女のキャリアにおいて、大きな意味を持つ作品となった。

それまでにも『雨』や『私がオバさんになっても』など、時代を象徴する楽曲を数多く送り出してきたが、このシングルが記録した最大のセールスは、90年代半ばの音楽シーンにおける森高千里の存在感を決定づけるものだった。

タイアップとなった『恋も2度目なら』との相乗効果もあった。主演の明石家さんまの人懐っこいキャラクターと、森高の楽曲が絶妙にリンク。毎週ドラマで流れるたびに視聴者の耳に馴染み、自然と街に広がっていった。

背伸びせずにありのままを歌ったリアルさが、当時の若者から大人まで幅広い層に受け入れられた。

軽やかさと確かさを兼ね備えたサウンド

作曲を手がけた斉藤英夫のメロディは、明るく軽やかでありながら、軽薄さに流れないバランスが特徴的だ。耳に残るイントロやサビのフレーズは、90年代ポップスらしい華やかさを持ちながらも、温かさや安心感を与えてくれる。

そこに乗る森高の歌声は、可憐さと芯の強さを同時に宿し、恋の高揚感と不安をそのまま伝えていた。聴く人の気分を自然に明るくするポジティブなエネルギーが、この曲を長く愛される理由のひとつとなっている。

undefined
森高千里-1998年撮影 (C)SANKEI

映像で際立った“森高らしさ”

『二人は恋人』のミュージックビデオでは、森高千里が自らドラムを叩く姿が印象的に映し出される。

彼女はライブでもドラム演奏を披露してきたが、シングルの映像でその姿を強調したことは、「歌って踊る」だけにとどまらない彼女の音楽性を強く印象づけた。

当時、女性シンガーが前面でドラムを叩きながら歌うスタイルは極めて珍しく、その姿は「森高らしさ」の象徴として、記憶に刻まれている。弾むようなリズムを自ら奏でながら歌う映像は、楽曲にさらなる躍動感を与え、聴覚だけでなく視覚的にも強烈なインパクトを残した。

『二人は恋人』は累計で40万枚以上を売り上げ、ランキングでも上位を記録した。森高は“ナチュラルで日常に寄り添うポップス”でヒットを成し遂げた。大量のヒット曲が生まれ続けた時代にあって、飾らないラブソングで確かな存在感を示した稀有なケースだったといえる。

時代を超える“恋人たちの歌”

この曲が30年経った今も色あせないのは、その普遍性にある。豪華な仕掛けに頼らず、誰もが経験するような恋の感情をストレートに表現したことで、聴く人それぞれの思い出に重なる“自分の歌”になった。

冬の夜、軽やかに鳴り響いたイントロ。その瞬間、街の空気が少しだけ柔らかくなり、恋の記憶が胸を温めた。

30年の時を経ても、『二人は恋人』は等身大のラブソングとして、今も私たちの耳にやさしく届き続けている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。