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20年前、日本中をときめかせた“未完成な矛盾ラブソング” 平成の思い出を彩った“あの夏の青春曲”

  • 2025.8.26

「20年前の夏、どんな音楽があなたの耳に残っていた?」

2005年の街には、まだCDショップに立ち寄るワクワク感があった。棚に並ぶ新譜を手に取って、ジャケットを眺める時間すら楽しみの一部。携帯電話の着メロや着うたが生活の中にあふれ、テレビドラマの主題歌が季節の空気を決定づけていた。

そんな時代に、ひとりひとりの心にそっと寄り添い、あの頃の青春を支えた曲があった。

aiko『キラキラ』(作詞・作曲:AIKO)——2005年8月3日発売。

aikoの20代最後を飾ったシングル

『キラキラ』は、aikoにとってメジャー通算18枚目のシングル。彼女にとって20代最後の夏に発表されたこの楽曲は、フジテレビ系ドラマ『がんばっていきまっしょい』の主題歌としても広く知られている。女子高生のボート部を舞台にした青春群像劇と重なるように、この曲もまた“未完成なまま全力で生きる瞬間”をそっと描き出していた。

当時のaikoは、メジャーデビューから7年が経ち、数々の恋愛ソングで多くのファンに支持されていた。『花火』『カブトムシ』『ボーイフレンド』などで知られる彼女が、新たなステージへ進む直前に放ったこのシングルは、キャリアにおいて特別な意味を持っているのかもしれない。

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2003年、青山学院大学の学園祭で歌うaiko (C)SANKEI

サウンドが描く情景と息づかい

『キラキラ』のサウンドは、軽やかなリズムと切なさを帯びたメロディが共存している。眩しさと儚さが同居する不思議な感覚が、この曲を聴く人の胸を強く締めつける。サビに入る瞬間、まるで空が開けるように音が広がり、聴く人を一気に“あの夏の記憶”へ連れ戻す。

aikoの歌声は、決して力任せではない。少しハスキーで、柔らかく、だけど芯のある声。その響きが、恋や友情に悩む青春の揺らぎと見事にシンクロし、「自分のことを歌ってくれている気がする」と感じさせた。

ドラマとの相乗効果

タイアップとなった『がんばっていきまっしょい』は、若さの情熱や葛藤を描いた青春ドラマ。ボート部の仲間たちがぶつかり合いながら前に進んでいく姿は、まさに“キラキラ”とした瞬間の連続だった。

その映像とともに流れるaikoの声は、視聴者に「自分も一緒にあのボートを漕いでいる」ような錯覚を与えた。

当時、ドラマ主題歌が持つ影響力は絶大だった。週ごとに放送される物語と共に楽曲が心に刷り込まれ、気づけば“夏の空気そのもの”として思い出に刻まれる。『キラキラ』もまた、その時代の青春を丸ごと背負った1曲だった。

20代最後のaiko、そして未来へ

aikoにとって、このシングルは「20代最後の足跡」として特別な意味を持つ。恋愛をテーマに数々の楽曲を届けてきた彼女にとって、このシングルはひとつの節目でもあった。aikoの声やメロディが持つ“まぶしさと切なさ”の同居感は、聴く人それぞれの等身大の姿に重なり、多くのファンの記憶に強く刻まれた。

この後、30代を迎えたaikoは、さらに幅広い表現で音楽を届け続けることになる。そのキャリアの節目に位置する『キラキラ』は、いま振り返っても“未来への予感”をまとった歌だった。

青春を照らし続ける光

『キラキラ』を聴くと、20年前の夏の夕暮れが蘇る。部活帰りに自転車を漕ぎながら聴いた人、恋に揺れる心を支えてもらった人。

聴く人それぞれの「青春の情景」と結びついているからこそ、この曲は色あせない。

時代は変わり、音楽の聴き方も大きく進化した。それでも、『キラキラ』が持つ寄り添う力、そして青春を肯定してくれるような温かさは、今も変わらず心を打つ。

20年前のあの瞬間を知る人にとっても、今初めて耳にする人にとっても、“胸を締めつけながらも前に進ませてくれる”特別な一曲。それが『キラキラ』なのだ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。