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20年前、日本中を突き動かした“疾走のロック革命” 四つ打ちビートが刻む“大人気アニメOP”

  • 2025.8.23

「2005年の初夏、胸を突き動かされた瞬間を覚えていますか?」

平日の夜、部屋の空気を震わせる四つ打ちのビート。鋭いカッティングギターが空気を切り裂き、ストリングスが視界を一気に広げる。

FLOW『DAYS』(作詞:KEIGO HAYASHI・KOHSHI ASAKAWA、作曲:TAKESHI ASAKAWA)――2005年6月1日に発売されたメジャー7枚目シングルは、その疾走感と高揚感で、多くの人の記憶に深く刻まれた。

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2025年8月、プロ野球「西武対楽天」の試合でセレモニアルピッチを務めたFLOWのメンバー (C)SANKEI

“兄弟バンド”が描いた新境地

FLOWは、兄・KOHSHIと弟・TAKEを中心に結成されたロックバンド。海援隊のカバー曲『贈る言葉』(作詞:武田鉄矢・作曲:千葉和臣)や、テレビアニメ『NARUTO -ナルト-』のオープニングテーマ『GO!!!』(作詞:KOHSHI・作曲:TAKE)で一躍脚光を浴びた。

その勢いを確かなものにしたのがアニメ『交響詩篇エウレカセブン』(テレビ東京系)のオープニングテーマとなった『DAYS』だった。

大胆にフィーチャーされたストリングスと四つ打ちのビートが、これまでのロック色に軽やかな躍動感を与え、耳に残るカッティングギターが全編を引き締める。間奏で挟まれるラップから、サビへなだれ込む高揚感は、聴く者の心を一気に引き上げた。

ノスタルジックさとスピード感の絶妙な融合

FLOWの魅力は、KOHSHIとKEIGO、二人の声が織りなす掛け合いにある。

テンポよく交わるフレーズと、時に重なり合うハーモニーが、立体的で躍動感あふれるサウンドを生み出す。そこにTAKEの鋭いギターとリズム隊のタイトなビートが加わり、曲全体を力強く牽引する。

この曲の最大の魅力は、突き抜ける疾走感の中に漂う“懐かしさ”だ。四つ打ちのビートに乗って流れるメロディは、どこか切なく、遠い日の情景を呼び起こす。その絶妙なバランスが、楽曲の物語性と呼応し、聴く人の感情を加速させた。

『DAYS』はタイアップの枠を軽やかに超え、アニメ作品を知らないリスナーにも届いた。

耳に残るカッティングギターと胸を突き上げるような旋律は、放課後の部室、週末のカラオケ、深夜の街角など、日常のあらゆる場面に溶け込み、やがて“FLOWの代表曲”として定着していく。

20年経った今も、イントロが流れれば心が自然と踊り、あの頃の熱気と景色が鮮やかによみがえる。数字では決して測れない存在感――それこそが『DAYS』の真価なのだ。

制作のこだわりと広がる評価

ストリングスの導入は、四つ打ちのビートとカッティングギターの躍動感に重なり、楽曲全体にスケール感と奥行きを与えている。硬質なロックサウンドにクラブミュージック的なグルーヴを掛け合わせた構成は、FLOWの幅広い音楽性を示す好例だ。

さらに、サビ前にラップを挟む展開は、単なる盛り上げではなく、曲全体のドラマ性を自然に高める重要な仕掛けになっている。

20年経っても色褪せない理由

『DAYS』は、2000年代半ばの空気をそのまま閉じ込めたような一曲だ。携帯の着うたが街のあちこちで鳴り響き、深夜のコンビニ前から放課後の部室、週末のカラオケまで――あの曲は、日常のあらゆる場面に染み込んでいた。

今聴いても、ラップからサビへ駆け上がる瞬間の高揚感は健在で、20年前の自分を一瞬で呼び戻してくれる。青春を疾走する風のように――『DAYS』はこれからも、多くの人の中で鳴り続けるだろう。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。