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20年前、日本中が勇気をもらった“人生の1曲” ロングセールスを記録した“ディズニー映画の主題歌”

  • 2025.8.8

「20年前、どんなバラードが人の心にそっと寄り添っていたか、覚えてる?」

2005年。派手なサウンドや奇抜な演出が音楽シーンを賑わせる中、ある1曲が、静かに、でも確かに、人々の心に沁み渡っていった。

AI『Story』(作詞:AI・作曲:2 SOUL)――2005年5月18日リリース。

AIの12枚目のシングルとして発表されたこの楽曲は、リリース直後からじわじわと評価を高め、ロングセールスを記録。彼女にとって最大の代表作となった。

そして今や、“人生に寄り添う一曲”として語り継がれるバラードの代表格だ。

誰かの物語じゃない。これは“あなたのStory”

この曲が長く愛される理由は、聴いた人の数だけ「物語」が生まれる構造にある。

恋人、友人、家族、恩師――

誰を想って聴くかによって、この曲の受け取られ方はまったく変わる。

にもかかわらず、どんな解釈もすっと受け止めてくれる余白がある。

それは、AI自身がまるで小説のように“自分のストーリー”を組み立てながら生み出した歌だから。

彼女の中にあったひとつの物語が、聴いた人の心でそれぞれの“Story”に変わっていく。

聴き手が自然と“自分自身の主人公”になってしまう、そんな不思議な力がある。

“声”がすべてを受け止めてくれる

この曲は、誰かに寄り添いたいとき、あるいは誰かに支えてほしいときに、自然と選ばれる。

多くのバラードが「伝える」ために作られるなかで、『Story』は「受け取る」ために存在している。

無理に鼓舞せず、慰めすぎもしない。“歌詞”というより“声”で寄り添う。

AIの持つソウルフルな温度感と説得力が、リスナーの“感情の奥”にまで届く。

だからこそ、祝いの場にも、別れの場にも、感謝にも、祈りにも自然と馴染む。

時と場を選ばず、“そこにいてくれる”――そんな包容力のある一曲なのだ。

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2014年、ディズニー映画『ベイマックス』の公開記念イベントに登壇したAI(C)SANKEI

映画『ベイマックス』での“再会”

リリースから9年後の2014年、『Story』は再び多くの人に発見される。ディズニー映画『ベイマックス』の日本版主題歌として、英語バージョンの『Story(English Version)』が起用された。

心に深い傷を負った少年と、人々の心と体を守るために開発されたケア・ロボットとの絆という物語の中で、この曲の持つ“声の力”が、静かに心に染み渡っていく。

言語を超えて、国境を超えて、人と人のあいだにある見えない感情のやり取りをすくい取ってくれる。それが、この曲が“再び”響いた理由だった。

変わらない“余白”が、今も誰かを支えている

『Story』は、20年経った今でも、結婚式や卒業式、送別会、そして何気ない日常の中で歌われ続けている。

「気持ちをことばにできない瞬間」に、そっと代弁してくれる存在。

それが、今も多くの人にとってこの曲が“特別な1曲”であり続ける理由だ。

一人ひとりに、それぞれのストーリーがある。

その“白紙のページ”に寄り添ってくれる音楽。

『Story』は、誰かが書いた歌ではなく、“あなた自身の物語”を思い出させてくれるための一曲なのかもしれない。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。