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20年前、日本中に衝撃を与えた“エロかっこいい応援ソング” 賞レースを席巻した“媚びない美しさの原点”

  • 2025.8.14

「2005年の夏、どんな気分で音楽を聴いてた?」

今みたいにTikTokでバズるなんてなかったけれど、テレビから流れる音楽が、“時代の空気”を変える力を持っていた――そんな時代だった。

その年、日本中に新しい価値観を突きつけるように登場したのが、この楽曲。

誰かの理想に寄せるんじゃなく、“自分らしく、堂々と”というメッセージが、熱をもって響いた。

倖田來未『Butterfly』(作詞:倖田來未・作曲:渡辺未来)――2005年6月22日リリース。

この1曲が、“エロかっこいい”という新しい言葉を、そして新しい時代のムードを作り出した。

“エロかっこいい”という概念が、日本に誕生した瞬間

『Butterfly』は、倖田來未にとって16枚目のシングル。この曲で彼女は、文字通り「時代を変える顔」になった。その理由は明確だ。

“誰かの視線のため”ではなく、“自分自身の気持ちを表現する手段”としてのセクシーさと力強さを、正面から打ち出したから

露出度の高い衣装も、艶やかな歌声も、視線を奪うダンスも――すべては「見せたいから見せる」「こう在りたいからそうする」という、主体的でポジティブな自己表現だった。

そこに生まれたのが、“エロかっこいい”という価値観。

結果、この言葉は2005年の空気を象徴する新語となり、翌年の「ユーキャン新語・流行語大賞」にもノミネートされた。

媚びるでもなく、隠すでもない。

「かっこいいからセクシーなんだ」「自分らしくいることが最高の魅力なんだ」――その新しい美意識が、当時の若い女性たちの心を一気に掴んでいったのだった。

“女の子の背中を押す”ことに全力だった1曲

歌詞に込められていたのは、ただの恋心や誘惑ではない。それよりも、“女の子が自分の気持ちに素直になる強さ”を描いたものだった。

「恋をしてる、だから綺麗になりたい」

「大胆になるのは、相手のためじゃなく、自分のため」

この価値観は当時、かなり新鮮だった。

流行りのバラードでも、キラキラした恋愛ソングでもない。“女性のエンパワーメント”という言葉がまだ一般的でなかった時代に、その要素を持っていたのが『Butterfly』だった。

当時の女子高生や20代女性を中心に、ヘアメイクやファッションにも“倖田來未化”が波及し、“自分らしくいることが一番かっこいい”という空気が、少しずつ広がっていった。

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2005年、「第47回輝く!日本レコード大賞」で歌唱する倖田來未(C)SANKEI

大賞と紅白――すべてはこの1曲から始まった

『Butterfly』は、結果としてその年の音楽賞レースを席巻することになる。

発売年に第47回日本レコード大賞で金賞を受賞し、さらにそのまま大賞にも輝いた。さらに、彼女自身にとって初のNHK紅白歌合戦への出場も、同年にこの曲によって実現している。

この1曲で、倖田來未は「知られている存在」から、「時代を象徴するアーティスト」へと一気にステージを駆け上がった。

誰かの後ろをついていくのではなく、“自分で道を切り開く”存在として、一歩踏み出した瞬間だった。

今なお鳴り続ける、「自分を肯定する音」

20年が経った今、音楽の聴かれ方は大きく変わった。

だが、『Butterfly』が響かせた“価値観の転換”は、今でもリアルに生きている。

恋も、仕事も、生き方も。

人の目を気にせず、自分で選ぶことを恐れない――。

そんな女性像が、あたりまえに存在している今の空気は、きっとこの1曲の延長線上にある。

“自分を肯定する”という選択肢を、音で提示した1曲。

『Butterfly』は、まさにその象徴として、今も色褪せずに羽ばたいている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。