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「開始10分で離脱」「頭を抱えた」“理解し難い脚本”に厳しい声も…だけど「目の付けどころが面白い」斬新な設定で魅せた名映画

  • 2025.8.3

観た者の心に深く爪痕を残す、紛れもない“名作”。しかしその一方で、あまりに衝撃的な内容や賛否両論の演出などから、気軽に「面白いよ」とは言えない作品があります。今回は、そんな“名作だけど人におすすめしにくい”邦画5選をセレクトしました。

本記事では第5弾として、2022年公開の映画『大怪獣のあとしまつ』をご紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

“名作だけど人におすすめしにくい”邦画『大怪獣のあとしまつ』

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土屋太鳳(C)SANKEI
  • 作品名(配給):映画『大怪獣のあとしまつ』(松竹、東映)
  • 公開日:2022年2月4日

あらすじ

人類を恐怖に陥れた大怪獣が、ある日突然死んだ。国民は歓喜に沸いたものの、その巨大な死体は腐敗が進み、ガス爆発の危機が迫る新たな脅威と化していました。この前代未聞の死体処理問題を前に、政府は不毛な議論を繰り返し、右往左往するばかり。刻一刻と、国家崩壊の危機が迫ります。

絶望的な時間との闘いの中、“大怪獣の後始末”という極秘ミッションを託されたのは、謎の過去を持つ特務隊員・帯刀アラタ(山田涼介)。そして、彼の元恋人である環境大臣秘書官・雨音ユキノ(土屋太鳳)も、この任務に関わることに。果たしてアラタたちはガス爆発を阻止し、国家の危機を救えるのか―。

映画『大怪獣のあとしまつ』見どころ※ネタバレあり

映画『大怪獣のあとしまつ』は、なんといってもそのユニークなテーマが見どころ。特撮や怪獣映画などを観る際、ヒーローや軍隊が怪獣を倒したあとの死体をどうやって片づけるのかを気にしたことがあるという方はどれほどいたでしょうか。

本作では、そんな従来の怪獣映画が描かなかった部分に光を当てています。しかし、魅力的なアイデアや、壮大なスケールという素材がありながらも、作品を視聴した一部の方からは、理解し難い脚本に対して「開始10分で離脱」「頭を抱えた」「意味がわからなかった」という声が寄せられていたようです。

一方でこの着眼点の斬新さにSNSでは「目の付けどころが面白い」「テーマやアイデア自体は面白い」「万人向けではないけど自分には面白い映画」「爆笑ポイントもあって面白い」などの高い評価も集まりました。

なぜ賛否が巻き起こったのか?

怪獣映画のその後を描いた斬新なテーマが高く評価されたものの、演出や脚本に賛否両論が集まった映画『大怪獣のあとしまつ』。そんな賛否両論が集まったことに対し、プロデューサーの1人である中居雄太さんが、エンタメ情報を中心としたメディアサイトORICON NEWSのインタビューで次のような本音を語りました。

正体を明かせないアラタが、怪獣の死体処理を託されたことをきっかけに、元恋人のユキノとともに雨音の妨害を押し切り、人間のまま『あとしまつ』できるのか、この三角関係に関して反応を期待していました。ところが、特撮部分やギャグ要素に反応が偏っている印象を受け、伝えたかった三角関係の部分が伝わっておらず、そこが予想外でした出典:ORICON NEWS『映画『大怪獣のあとしまつ』プロデューサーを直撃「予想以上に伝わりませんでした」』(2022年3月12日配信)

主人公に秘められた苦悩や葛藤、周囲の人物との関係性、そして訪れる衝撃のラストに込めた社会風刺。製作陣が作品の核として込めたテーマは、残念ながら観客には十分に届かなかったようです。作り手と受け手の間に生じた「伝わらなかった」という大きな溝こそが、斬新な設定でありながら本作が賛否両論を巻き起こした要因の一つと言えるのかもしれません。

まだ映画『大怪獣のあとしまつ』を観たことがない方、また本記事を読んで興味を持っていただけた方は、“怪獣死体処理の衝撃の結末”をぜひ目撃してみてください!


ライター:天木拓海
映画・アニメ・ドラマなど、エンタメ作品を観ることを趣味としているライター。エンタメ関連のテーマを中心に、作品考察記事/コラム記事などを手掛ける。

※記事は執筆時点の情報です