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30年前、日本中を驚かせた“顔出し無”ユニット ボーカルの正体に驚かされた“未来的サウンド”

  • 2025.7.25

「30年前の今頃、何に胸を高鳴らせていたか覚えてる?」

1995年4月。混迷の時代を迎えた日本で、テレビからある“音”が突如として放たれた。スピード感のある電子音、そして正体の知れないユニット名。

誰が歌っているのかもわからない。姿も見えない。けれど、耳に残って離れない――そんな1曲が、時代を切り裂いていった。

TWO-MIX『JUST COMMUNICATION』(作詞・作曲:TWO-MIX)――1995年4月29日リリース。

アニメ『新機動戦記ガンダムW』のオープニングとして放送されるや否や、ユニットの素性すら知られていないまま、その音はひとり歩きを始めた。

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高山みなみ(C)SANKEI

名前も顔も伏せたまま、音だけで勝負したユニット

TWO-MIXは1995年に活動を開始した音楽ユニット。『名探偵コナン』の江戸川コナン役や『忍たま乱太郎』の乱太郎役などで知られる声優・高山みなみがメインボーカル、そして作詞・作曲家の永野椎菜による2人組だ。

ただしこの情報が知られるようになるのは、かなり後のことだ。

デビュー当時、メンバープロフィールなどの詳細は明かされず、謎のユニットといった触れ込みで売り出された。「隠すつもりも、バーチャルで売るつもりもなかった」そうだが、高山自身の声優としてのスタンスを尊重するなどした結果、“正体不明のユニット”という形になった。

基本的な露出を避け、TWO-MIXというユニットは、最初から最後まで“音”だけで勝負していたのだ。

アニソンに“分類されなかった”アニソン

『JUST COMMUNICATION』は、TWO-MIXにとって1枚目のCDシングル。アニメ主題歌として起用されると、徐々に一般の音楽リスナー層にも受け入れられ、セールスを伸ばしていった。

しかしこの時期、TWO-MIXは“アニソンアーティスト”としてのイメージではなかったように思う。当時としては異例なことだ。アニメ主題歌でこれほどヒットすれば、通常は「アニソン枠」として強く認識される。

だがTWO-MIXの場合は、顔も名前も出していなかったため、J-POPアーティストとして自然に受け入れられた

これは意図された戦略ではなかった。だが結果的に、「アニメタイアップ」や「声優歌手」という枠組みを超え、音楽そのものの魅力で勝負する土壌が整っていた。

“アニメに縛られず、アニメにも深く根ざす”という、現在のアニソンシーンの原型のひとつが、ここにあった。

“正体不明の声”が語りかけてきたもの

『JUST COMMUNICATION』の音像は特異だった。エッジの効いた電子音と、テンポの速いシーケンス、そして未来的にさえ感じるボーカル。その表現は、心の奥に直接触れてくる不思議な感触があった。

TWO-MIXの音楽は、リスナーに「自分の感情」と向き合う余白を与えていた。だからこそ『JUST COMMUNICATION』は、アニメの枠を超えて、多くの人の胸に届いたのかもしれない。

姿を明かさないまま切り拓いた“音だけの時代”

2020年代の今、“匿名アーティスト”や“顔を出さない音楽活動”はもはや当たり前になった。だが30年前、テレビに出ず、名前も伏せ、音だけで注目を集めたTWO-MIXは、明らかに時代を先取りしていた。

“姿を見せず、声を潜めて、音だけで勝負する”

TWO-MIXは、その美学を徹底しながら、J-POPとアニメ、プロとパーソナル、アーティストと表現者の境界を曖昧にしていった。

『JUST COMMUNICATION』は、そんなTWO-MIXの始まりにして、今でもなお多くのファンが語り継ぐ名曲だ。

その音は30年経った今も、心の奥で静かに鼓動を打ち続けている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。