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35年前、日本中が痺れた“都会的な激情ロック” トレンディドラマ黄金期を彩った“異常にカッコいい名曲”

  • 2025.7.27

「35年前の今頃、どんな音が自分を突き動かしていたか、覚えてる?」

1990年、日本はバブルの余韻に揺れながらも、徐々に“不安”の輪郭が見え始めた時代。

トレンディドラマ全盛。ファッションも恋も、自己演出も、すべてが過剰で、すべてが刺激的だった。テレビからは毎週、“理想と現実の狭間を生きる都会人”のドラマが流れ、それを支える主題歌が、“今の気分”を代弁してくれていた。

そんな中、浅野ゆう子主演のドラマ『恋のパラダイス』(フジテレビ系)の主題歌に起用されたのが、氷室京介『JEALOUSYを眠らせて』(作詞:松井五郎、氷室京介・作曲:氷室京介)だった。

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(C)SANKEI

テレビと音楽がまだ“生活の主成分”だった時代に

当時のドラマは、数字も話題もファッションも、まさに社会現象の中心だった。『世界で一番君が好き!』(フジテレビ系)や『すてきな片想い』(フジテレビ系)など、社会のムードを映す作品が次々とヒットし、その主題歌もまた強烈に記憶されている。

その中にあって、後に“トレンディドラマの集大成”と呼ばれたのが『恋のパラダイス』だ。浅野ゆう子、石田純一、陣内孝則、本木雅弘、鈴木保奈美、菊池桃子と出演者たちだけをみてもトレンディ。そこに華を添えたのが『JEALOUSYを眠らせて』だった。

エッジの効いたギター、骨太なベース、スピード感のあるリズム、きらびやかさを感じさせるキーボードサウンド、情熱的でどこか荒々しいボーカル。まさに“感情が剥き出しになるような都市の夜”にぴたりとハマる音だった。

氷室京介×松井五郎、“男の脆さ”に触れた共作

氷室京介にとって5枚目のシングルとなった『JEALOUSYを眠らせて』。「激しさ」と「切なさ」が同時に押し寄せてくるような、都市型のエモーショナル・ロックナンバーだ。

ドラマの世界観をひろげる歌詞は、クールでセクシーな氷室だからこそ成立する。都会的な空気をまとい、抑えきれない感情が行間から漏れ出してくる

作詞は名作詞家・松井五郎と氷室の共作。氷室のパーソナルな感情と、松井の詩的で映像的な言葉遣いが融合することで、恋愛の枠を超えた「人間のエゴ」と「未熟さ」が描かれている

「眠らせて」と言いながら、実は眠らせる気などない。むしろ、嫉妬を燃やして走っていく。そんなアンビバレントな衝動が、この曲の魅力だ。

少しキザにも思えそうなフレーズも、氷室がありのまま歌うだけで思わずうっとりしてしまう。これこそ、氷室京介という男の真価だ。

ときめきを消せない…衝動の余韻

35年経った今でも、この曲は鮮やかに甦る。

恋に溺れるわけでもなく、理性で割り切れるわけでもない――そんな“どうしようもない夜”の記憶。

『JEALOUSYを眠らせて』は、氷室京介という男が、本気で感情に火をつけた証拠だった。

トレンディドラマの映像の奥で、この曲はただBGMとして流れていたわけではない。

欲望、執着、矛盾――恋の裏側を“かっこよさ”の中にねじ込んだこの一曲は、今聴いてもやっぱり異常にカッコいい。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。