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30年前、日本中が心を奪われた“真っ白な疾走曲” 60万枚超を売り上げた“永遠のドライブソング”

  • 2025.8.18

「窓を全開にして、夏の風をいっぱいに浴びながら聴いた曲、覚えてる?」

1995年。街を行き交う車の窓からは、FMラジオと一緒に、きらめく季節の匂いがこぼれていた。音楽をMDで繰り返し聴いていた日常に、ふと笑顔を差し込むような1曲が現れる。

JUDY AND MARY『Over Drive』(作詞:YUKI・作曲:TAKUYA)――1995年6月19日発売。

バンドにとって7枚目のシングルであり、初のチャートTOP10入りを果たした記念碑的作品だった。TOYOTA「カローラツーリングワゴン」のCMソングとして全国の耳に届き、最終的には60万枚を超えるセールスを記録。真っ白なオーバーオール姿で演奏するミュージックビデオは、今も鮮やかに記憶されている。

シンプルだからこそ響く、純度の高い演奏

『Over Drive』は、余計な装飾をそぎ落としたストレートなバンドサウンドが魅力だ。イントロの軽やかなギターリフから始まり、最後まで止まることなく駆け抜ける。耳に残るメロディと一体感のある演奏が、聴く人の気持ちを高揚させる。

この曲の空気を決定づけているのは、間違いなくTAKUYAのギターだ。イントロのリフはもちろん、Aメロや間奏にさりげなく織り込まれた技巧的なフレーズ、サビでの開放感あふれるコードワークまで、曲の隅々に彼らしい工夫と勢いが詰まっている。一つひとつの音が軽やかで、それでいて芯があり、全体に立体感とスピード感を与えている。

息の合ったアンサンブル

恩田快人のベースは、低音の芯を保ちながらメロディを引き立て、曲に温かみと厚みを加える。五十嵐公太のドラムは、軽快なビートで全体を押し出し、疾走感を途切れさせない。

そして、その上に乗るYUKIの伸びやかな歌声が、楽曲全体を一気に空へと解き放つ。可愛らしさと力強さを併せ持つその声は、特にサビ後半で心をやさしく震わせる。

 

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1995年、第37回日本レコード大賞にて『Over Drive』で企画賞を受賞した時のJUDY AND MARY (C)SANKEI

白いオーバーオールが映した“素のバンド”

ミュージックビデオで全員が揃って着ていた白いオーバーオール姿は、飾らないバンドの空気感を象徴していた。スタジオでの演奏シーンを中心にしたシンプルな映像は、純粋に音を鳴らす喜びと、メンバーの自然な一体感をそのまま映し出している。派手な演出ではなく、音楽そのものの力で魅せるというスタンスが、当時から揺らいでいなかった。

広がり続ける“Over Drive”の輪

リリース後も、この曲は様々な形で息づいている。多くのアーティストにカバーされ、何度もCMソングとして採用されてきた。

近年ではテレビアニメ『からかい上手の高木さん3』で、高木さんがカバーしたバージョンがエンディングテーマとして放送され、原曲を知らない世代にも届いた。メロディとアレンジが持つ普遍性が、時代を越えて共感を生み続けている。

今もドライブの相棒であり続ける理由

『Over Drive』は、車の窓を開け、風を感じながら聴くと、その魅力がさらに際立つ。

歌詞やサウンドに特定の時代性が強くないため、30年経った今でも新鮮に響く。

再生すれば、足取りが軽くなり、景色が少しだけ明るく見える――そんな魔法を持った曲だ。

この曲が流れると、私たちはあの日の自分に戻る。初夏の光、頬を撫でる風、そして胸を満たすあの解放感。『Over Drive』は、これからも世代を超えて、走り続ける。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。