ニコール・シャージンガーとダレン・クリス、トニー賞を初受賞

第78回トニー賞の授賞式が6月8日（現地時間）にニューヨークのラジオシティ・ミュージックホールで開催された。ミュージカル部門は『メイビー、ハッピーエンディング』が作品賞、『サンセット大通り』がリバイバル賞を受賞、演劇部門では『パーパス』が作品賞、『ユーレカ・デイ』がリバイバル賞に輝いた。『グッドナイト＆グッドラック』のジョージ・クルーニーが候補入りしたことで注目を集めた演劇部門の主演男優賞は、『オー、メアリー！』のコール・エスコーラに渡った。

ミュージカル部門の主演女優賞は、『サンセット大通り』でサイレント映画時代の栄光から逃れられない往年のハリウッド女優を演じたニコール・シャージンガーが初受賞。エンターテイメント業界で年齢差別を受けた経験を明かしている彼女は、涙ながらにスピーチでこう呼びかけた。「皆さんのおかげで、やっと自分が戻ることのできる場所を見つけることができました。もしあなたが、居場所がない、まだ自分が輝く瞬間を手にしていないと感じるなら、諦めないでください。続けてください。世界はあなたの愛と光を、これまで以上に必要としています」

ほかにも新たな記録がいくつも誕生した。『パーパス』のブランデン・ジェイコブズ＝ジェンキンスは、昨年の演劇部門リバイバル賞を獲得した『Appropriate』に続いて2年連続でトニー賞を受賞し、劇作家として史上3人目の快挙となった。同作で助演女優賞に輝いたカラ・ヤングは、アフリカ系俳優として初めて2年連続でトニーを獲得。『永遠に美しく…』で衣装デザイン賞を獲得したポール・タゼウェルは、『ウィキッド ふたりの魔女』で今年3月のアカデミー賞で衣装デザイン賞を受賞したばかりだった。

また、シンシア・エリヴォが司会を務めた授賞式では、『ハミルトン』の初演から10年を祝うステージも。クリエイター＆出演のリン・マニュエル＝ミランダやフィリッパ・スー、レスリー・オドム・ジュニア、レネイ・エリース・ゴールズベリイらオリジナルキャストが再集結し、ヒット曲のメドレーを披露した。

第78回トニー賞（2025）の主な受賞結果

【ミュージカル部門】

作品賞 『メイビー、ハッピーエンディング』（作：マイケル・アーデン）

リバイバル作品賞 『サンセット大通り』（作：ジェイミー・ロイド）

主演男優賞 ダレン・クリス『メイビー、ハッピーエンディング』

主演女優賞 ニコール・シャージンガー『サンセット大通り』

助演男優賞 ジャク・マローン『オペレーション・ミンスミート』

助演女優賞 ナタリー・ベネチア・ベルコン『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』

演出賞 マイケル・アーデン『メイビー、ハッピーエンディング』

【演劇部門】

作品賞 『パーパス』（作：ブランデン・ジェイコブス・ジェンキンス）

リバイバル作品賞 『ユーレカ・デイ』（作：ジョナサン・スペクター）

主演男優賞 コール・エスコーラ『オー、メアリー！』

主演女優賞 サラ・スヌーク『ドリアン・グレイの肖像』

助演男優賞 フランシス・ジュー『イエロー・フェイス』

助演女優賞 カラ・ヤング『パーパス』

演出賞 サム・ピンクルトン『オー、メアリー！』

Text: Tae Terai