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「冷蔵庫の中が荒れてるわね」料理も掃除も完璧な"尊敬する義母"にモヤる43歳女性が毎日こっそりやったこと

  • 2025.6.9

相手の何気ない一言にモヤモヤするとき、どうすれば忘れられるのか。脳神経外科医の菅原道仁さんは「相手の存在に対し、感情や記憶を処理する脳の偏桃体が過剰反応しているためだ。10項目のうち5つ当てはまったら、『脳から消す技術』を試してみてほしい」という――。

※本稿は、菅原道仁『あの人を、脳から消す技術』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

ラップトップを使う女性
※写真はイメージです
決まって月末に襲ってくる“謎の頭痛”の正体

家庭の中にモヤモヤの原因が潜んでいるケースもあります。

佐藤さん(43歳・女性・専業主婦)は、毎月決まって体調を崩していました。

「月の終わりになると、ズキンズキンと締めつけられるような頭痛がするんです。市販の頭痛薬を飲んでも、あまり効果がない。主人は『ストレス解消に趣味でも見つけたら?』と言うんですが……。それどころか状態はどんどん悪化してきていて、月末が近づくと、夜中に目が覚めてなかなか寝つけなくなることも増えてきました」

佐藤さんには、小学4年生の娘と2年生の息子がいます。子育ての傍ら、PTAの役員も引き受け、充実した毎日を送っているように見えました。

「友達からは『佐藤さんって、いつも完璧よね』って言われるんですが、実際は完璧とはほど遠くて。ここ1年くらい、なんだかずっと疲れているし、家事をしている最中もボーッとしてしまって……」

佐藤さんが体調の記録をつけ始めたのは、娘の塾の送り迎えの際、他のお母さんに勧められたからでした。スマートフォンのカレンダーに、その日の体調と出来事を簡単にメモするようにしました。

たったそれだけのことでしたが、それを始めてからあることに気がつきました。

彼女が記録を見返してみると、頭痛が起きるのは決まって、毎月第4土曜日の前後でした。そして、その日は、

「義母が泊まりに来る日だったんです」

夜中までおせちを作り、翌朝に床を磨くような人

佐藤さんの義母・美智子さん(68歳)は、30年以上にわたって地元で料理教室を主宰してきた人物です。几帳面な性格で、包丁さばきから掃除の手順まで、すべてが完璧。結婚当初から、佐藤さんは義母の手際の良さに憧れを抱いていました。

「お義母さんの作るおせち料理は、まるで広告写真のよう。大晦日の夜中まで煮物の味を調えて、それでも朝一番に床を磨いているような人です。私なんて、おせちはデパ地下に頼ってしまうのに……」

佐藤さんは、結婚前は保育士をしていました。子どもたちと遊ぶのが得意で、今でも息子の同級生たちに「おはなし会」を開いているほど。

でも、家事については、いつも自信が持てません。

「お味噌汁は毎日作らないの?」
「子どもの勉強机、もっと整理したほうがいいわよ」
「冷蔵庫の中が荒れてるわね。賞味期限は週一でチェックしないと」

義母の言葉の一つひとつは正しいものの、それを言われるたびに佐藤さんは憂鬱な気持ちになりました。

義母の美智子さんは、息子夫婦を想う気持ちから、毎月の訪問を欠かしません。泊まりがけで来ては、冷凍食品を手作りに置き換えたり、キッチンの収納を整理したり。

息子想いで面倒見の良い性格は、近所でも評判です。

「明日は何を指摘されるかな」と考えると眠れない

「先日も、私の作った味噌汁を飲んで、『もう少し出汁をしっかりとったほうがいいわね』って。そのあと、わざわざ出汁のとり方を教えてくれて……。きっと、良かれと思って言ってくれているんですよね。でも、気がつくと私、お義母さんが来る数日前から、家の中を片付けたり、献立を考えたり。前日の夜は『明日は何を指摘されるかな』『冷蔵庫、もう一度チェックしなきゃ』と考えて、眠れなくなっていたんです」

実は、佐藤さんは義母のことが嫌いなわけではありません。むしろ、その完璧な家事ぶりを心から尊敬していたほどです。

子どもたちも「おばあちゃんのごはんが大好き!」と、毎月の訪問を楽しみにしています。

「でも、記録をつけ始めてからわかったんです。知らず知らずのうちに、お義母さんの影が私の頭の中にずっといたんだって。家事をしているときも、『これ、お義母さんだったらどうするかな』って考えてしまう。そうやって、毎日の生活の中にお義母さんが住みついていたんです」

システムエンジニアの田中さんと同じように、佐藤さんも記録をつけ始めてから少しずつ変化が現れ始めました。

「頭の中の義母」と距離感をとるには?

まず、義母の訪問の前日には、意識的にリラックスする時間を作るようにしました。好きな音楽を聴いたり、子どもたちと公園に行ったり。完璧を目指すのではなく、自分のペースを保つことを心がけたのです。

「不思議なんです。お義母さんの存在を意識しすぎていた自分に気づいてからは、少しずつですが、頭の中からお義母さんの姿が薄れていくような感覚があって。『これはこれで良いのよね』って、自分に言い聞かせられるようになりました」

実際、義母の言動は以前と変わっていません。変わったのは、佐藤さんの受け止め方でした。

「今では、お義母さんの意見は意見として聞き、取り入れられるものは取り入れる。でも、それ以外のことで悩まなくなりました。何より、夜眠れないほど考え込まなくなった。お義母さんの存在が、私の頭の中から『ちょうどいい距離』に移動したような感じです」

このように、私たちの頭の中に住みついている「あの人」の存在に気づくためには、何らかの「記録」が役立つことがあります。そこで次は、そのための具体的な方法についてお話ししていきましょう。

手帳やカレンダーで調子を「見える化」する

記録と言っても、特別な道具を買う必要はありません。実際、記録を続けた方々の多くは、身近にあるものを活用していました。

たとえば、システムエンジニアの田中さんは「手帳」を使いました。

「仕事で使っている手帳のスケジュール欄の隅に小さな印をつけるだけ。会議の最中でも、さりげなくチェックできるんです。誰にも気づかれませんでした。それに、毎日必ず開く手帳だから、つい記入するのを忘れても、あとから『あの日どうだったかな』と振り返って書き込めました」

ノートに手書きする女性
※写真はイメージです

一方、専業主婦の佐藤さんは、キッチンの「壁掛けカレンダー」を活用しました。

「最初は家族に見られるのが気になって。でも、日付の隅に『○』『△』『×』を小さく書くだけにしたんです。子どもたちには『ママの元気マーク』って説明して。むしろ、小学生の子どもたちが『今日のママは○だね!』って言ってくれたり。それが、逆に自分の調子を客観的に見るきっかけになりました」

日記をつけたら「あの人」のパターンが見えてきた

また、以前から「日記」をつける習慣のある鈴木さん(28歳・女性)は、こう語ります。

「私の日記は、特に形式もなく、その日に感じたことを自由に書き留めるタイプ。でも、不思議なことに、ある特定の人の名前が頻繁に登場することに気づいたんです。しかも、その人の話題のあとは、決まって『眠れなかった』『胃が痛くなった』というマイナスな記述が……。自分でもびっくりしました」

このように、記録をつけ始めると思わぬ発見があるものです。

特に以下のようなパターンに気づいたら、要注意かもしれません。

・ある特定の曜日、または月の特定の時期に体調が悪化する
・特定の相手との予定の前後で気分が落ち込む
・誰かと会う前日から、なんとなく落ち着かない
・特定の場所に行く日は、必ず調子が悪い
・夜、特定の人のことばかり考えている

こういった反応には、私たちの脳の特殊な部分が関係しています。それが「扁桃体」と呼ばれる部分です。

あなたの脳に「あの人」は住みついているか

扁桃体は感情や記憶を処理する場所で、特に「この人は要注意」という情報を記録するのを得意としています。私たちが誰かのことを「気にしすぎる」のも、この扁桃体が活発に働きすぎているからなのです。

この扁桃体が、あなたの脳の中で「過剰反応」をしていないか、チェックリストで確認することができます。

次に「扁桃体の過剰反応チェックリスト」を掲載しましたので、チェックしてみてください。


扁桃体の過剰反応チェックリスト

以下の10項目について、当てはまるものにチェック()をつけてください。

□ その人の声が聞こえると、無意識に話し方や態度が変わってしまう
□ 顔を見かけただけで、なんとなく疲れたような気持ちになる
□ 夜、布団に入ってからその人との会話を思い出して考え込んでしまう
□ 会う予定がある日は、予定と関係ない時間までなんとなく落ち着かない
□ その人からのメールや電話を後回しにしてしまう
□ 偶然その人を見かけると、できれば別の道を通りたくなる
□ 家族や友人との会話で、その人の話題が出ると、つい愚痴っぽくなってしまう
□ 休日なのに、ふとその人のことを考えて気分が沈んだり、イライラしたりする
□ その人がいる場所に行くと、普段より疲れやすい
□ 周囲の人がその人の名前を出すと、話題を変えたくなる

5つ当てはまったら「脳から消す」を試してみよう
【診断基準】
菅原道仁『あの人を、脳から消す技術』(サンマーク出版)
菅原道仁『あの人を、脳から消す技術』(サンマーク出版)

3つ以上当てはまる場合
あなたの脳に、誰かが「住み始めている」可能性があります。早めに気づくことで、十分に対処が可能です。

5つ以上当てはまる場合
「あの人」があなたの脳に「居座っている」段階です。具体的な対策を始めるのに適したタイミングです。

7つ以上当てはまる場合
あなたの脳は「あの人」に「占領されている」状態です。本書の方法を使って、脳から「あの人」を消していきましょう。

※このチェックリストは、あくまでも「気づき」のためのものです。項目数にかかわらず、モヤモヤする状態が続くようでしたら、本書の方法を試してみてください。

菅原 道仁(すがわら・みちひと)
日本脳神経外科専門医、日本抗加齢医学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター
脳神経外科医。菅原脳神経外科クリニック(東京都八王子市)、菅原クリニック東京脳ドック(港区赤坂)院長。杏林大学医学部卒業。「人生目標から考える医療」のスタイルを確立し、心や生き方までをサポートする医療を行う。著書に『すぐやる脳』(サンマーク出版)など。

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