1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. 【ゾッとする怖い話】夜中に中古のソファへ目をやると…?

【ゾッとする怖い話】夜中に中古のソファへ目をやると…?

  • 2025.6.12

暑い季節になると背筋がぞくっとするような怖~い話、聞きたくなりませんか?そこでmichill編集部員が趣味で集めた怪談をお届け!今回は家の売却準備をしていたある家族の話。業者に依頼して家をモデルルーム風に仕立てたところ、ある異変が…。

ホームステージング

先月、久しぶりに実家へ帰った。

母親から「家を売ることにした」と聞いて驚いたけれど、歳も歳だし、駅近のマンションに引っ越すらしい。

俺が最後に住んでいた、あの古びた一軒家。

思い出が詰まってるから、少し寂しくもあったが、時代の流れってやつだ。

母親は最近、「ホームステージング」を頼んだと言っていた。

要は、家を高く売るために、家具や小物をきれいに整えてプロっぽく見せるサービスらしい。

業者が入って、モデルルームみたいに仕立ててくれるってわけだ。

「なんかね、全部業者さんがやってくれてお洒落にはなったんだけど…夜とかちょっと気持ち悪いのよ」

母親が笑いながら言った。

「だって、知らない人が触った家具が家中にあるんだもん。もう“うち”って感じしないのよ」

そのときは深く考えなかった。

夜、実家に泊まった。

1階のリビングはすっかり模様替えされていて、白いソファにガラスのローテーブル、グレーのカーテン、間接照明が灯る落ち着いた空間。

確かに、ちょっと他人の家みたいだった。

深夜、ふと目が覚めた。

水を飲もうとリビングに降りたら――ソファに誰か座っていた。

女性だった。

長い髪に、白いシャツ。

顔はうつむいていて見えない。

最初、母親かと思ったが、違う。

明らかに、知らない女だ。

声をかけようとして、息をのんだ。

その女、ソファの上でじわじわと揺れている。

しかも、まるで家具にしがみつくように。

じり、じり、じり。

身動きできないまま見ていると、女がゆっくり顔を上げた。

――顔が、なかった。

肌がただ、滑らかに平らになっていた。

目も口もない。

ただの白い“面”。

気がついたら、俺は自分の部屋に飛び込んで鍵をかけていた。

翌朝、母親に昨日のことを話そうか迷ったが、やめた。

代わりに、さりげなく聞いてみた。

「家具、どこから持ってきたの?」

母親は何気なく答えた。

「リサイクル業者さんの倉庫からって聞いたよ。ほら、処分された家具とかも混ざってるって」

――じゃあ、あのソファ。

誰かが、捨てたものかもしれない。

何かを、棄てたものかもしれない。

しばらくして実家が売れて、新しい家族が入った。

若い夫婦と小さな女の子。

母親も俺もホッとしていた。

でも先週、久しぶりに母親から電話があった。

「ねえ、あの家、また売りに出されてるんだって」

理由はわからない。

でも、母親はこう言った。

「女の子がね、夜中にずっと言ってたんだって。“リビングに顔のないお姉ちゃんがいる”って」

※取材をもとに編集を加えたフィクションです

元記事で読む
の記事をもっとみる