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マリオ・ベリーニのソファが主役。美容起業家エリカ・チョイの美意識が宿るNYミニマルライフ

  • 2026.1.7
Hearst Owned

ファッションや文化の発信源であるニューヨークで活躍する、自立した女性たちのファッションやライフスタイルを紹介する連載。Vol.8は、韓国と欧米の視点を巧みに融合したヴィーガンスキンケアブランド、スーパーエッグ(SUPEREGG)の創設者であるエリカ・チョイをフィーチャーする。

<strong><a href="https://www.instagram.com/eggcanvas/" target="_blank">エリカ・チョイ(Erica Choi)</a>/</strong>韓国で生まれ、2歳のときにアメリカに移住。スキンケアブランド、スーパーエッグ(SUPEREGG)の創設者。現在、ブルックリンでパートナーと暮らしている。 OMI TANAKA

韓国系アメリカ人であるエリカは、2020年にスキンケアブランド、スーパーエッグ(SUPEREGG)をスタートした。幼少期に過ごした韓国での記憶をたどり、家族と行った銭湯、そして美にまつわる習慣から着想を得たブランドは、東洋と西洋、両方の視点を融合したブランドだ。世界観のディレクションに加え、コンテンツクリエーターとしても活動する彼女のスタイル流儀とは?

現在はニューヨーク、ブルックリンでパートナーと暮らす彼女。自身が「サンクチュアリ(聖域)」と呼ぶ自宅にお邪魔し、これまでのキャリアやファッション、ライフスタイル、そしてニューヨークの魅力について伺った。

スタイルは「ディテール」が決め手

カルティエ(CARTIER)の時計、ソフィ ビル ブラーエ(SOPHIE BILLE BRAHE)のイヤリング、リンドバーグ(LINDBERG)のアイウェア。 OMI TANAKA

──ファッションやライフスタイルについてSNSで発信されているエリカさん。まず、ご自身のスタイルをどのように表現されますか?

派手ではないですが、自分らしさがちゃんと伝わるものだと思います。ミニマルなシェイプやさりげない素材感、レイヤリングを楽しみながら、機能性と気分のバランスを大切にしています。デザインやスキンケアと同じで、軸にあるのは「意図のあるやわらかさ」でしょうか。とはいえ、動きやすさもすごく重要。移動も多いので、自然に体に馴染んでくれる快適性は欠かせません。

──どんな女性がおしゃれだと思いますか?


何を着ているかよりも、その人の立ち振る舞いや自信がいちばん大切だと思います。服が自信を後押ししてくれることもありますが、最終的にはその人自身がまとうエネルギー。たとえフーディーにスウェットパンツでも、自信があれば、それだけでとてもシックでスタイリッシュに見えるはずです。

── お気に入りのファッションアイテムについて教えてください。

普段愛用しているエルメス(HERMÈS)のバッグ。キーチャームやお守りをつけて、自分らしくアレンジしている。 OMI TANAKA

ディテールはとても大切で、自己表現を完成させてくれる“仕上げ”のような存在です。ここにあるイヤリング、時計、アイウェアは、人生のなかで大きな意味のあるタイミングに集めてきたもので、それぞれに物語があります。

東洋と西洋の視点を融合したスキンケアブランドをスタート

日々のケアを静かなリチュアル(習慣)のように整えてくれる、肌と心に寄り添うスーパーエッグのプロダクトたち。 OMI TANAKA

── 2020年にスキンケアブランドのスーパーエッグ(SUPEREGG)を立ち上げました。スキンケアは幼い頃から身近な存在だったのでしょうか?

夏になるとよく韓国を訪れ、家族と過ごしていました。日本にもありますが、韓国にも銭湯みたいな浴場があるんですよね。祖母や母たちと一緒に行って、いろんなスキンケアをするのが習慣でした。実際に卵を使ったエッグマスクもしていて、肌が明るくなり、しっかり潤う感覚がとても印象に残っています。あの頃の体験が、今の私のスキンケアの原点になっています。

──ブランドを立ち上げた背景と、ブランドを通して伝えたいことを教えてください。

スーパーエッグはパーソナルな想いから生まれました。東洋の伝統と西洋の視点、その両方に触れながら育ち、認定エステティシャンとしての経験を重ねる中で、科学、リチュアル(習慣)、ケアが調和するものを作りたいと思うようになりました。卵はアジアの美容文化において「栄養」や「再生」の象徴。その概念を現代的かつ植物由来の視点から再解釈しています。

スーパーエッグの本質は「バランス」にあります。内面と外側のウェルネス、シンプルさと機能性、セルフケアと地球への配慮、そのすべての間にある調和。忙しい日常の中でも、使うことで心がほっとする、そんな存在でありたい。たった5分のケアでも、心と体の健やかさにつながると信じています。

──ブランドを立ち上げようと決めた瞬間はありましたか?

これまで集めてきたオブジェや本、スーパーエッグのプロダクトなど自身の記憶が静かに重なり合うシェルフ。 OMI TANAKA

ずっと「形のあるものを作りたい」という気持ちはありましたが、夫と美容や自分たちの文化に関わることをやりたいね、って話すようになってから、実際に動き出すまでには何年もかかり、開発にもさらに時間がかかりました。でも振り返ると、肩の力の抜けた自然な流れのなかで始まったと思います。

──スーパーエッグと、コンテンツクリエイターやエスティシャンとしての経験はどのように影響し合っていますか?

それぞれが全体を構成する一部になっている気がします。今はエステティシャンとして施術は行っていませんが、その知識や経験は、商品開発やブランドづくり、お客様対応にも活きています。ブランドの撮影やディレクション、インスタグラムのアカウント「@eggcanvas」のコンテンツ制作においても、共通しているのは「感情的なつながり」と「視覚的なわかりやすさ」。複数の視点を持つことで、インスピレーションを受けながらも軸を見失わず、物事を部分ではなく全体として捉えられるようになりました。美容もひとつの考え方ではなく、さまざまな要素が関係し合うものだと感じています。

──スーパーエッグの洗練された世界観やビジュアルのインスピレーションを教えてください。

私たちの頭のなかで思い描いていた世界観をそのまま形にしていますが、特に意識しているのはミニマルさです。家という空間は、自分たちにとってのサンクチュアリ(聖域)で、一番長く過ごす場所。だからこそ、スーパーエッグが空間の邪魔をするのではなく、自然に溶け込みながら心を落ち着かせてくれるような存在でありたいと考えています。

心が安らぐ、インテリア選び

マリオ・ベリーニ(MARIO BELLINI)によるモジュール式ソファ「カマレオンダ(CAMALEONDA)」に座って。自宅でお茶やコーヒーを淹れる時間は、日々のリラックスのひととき。 OMI TANAKA

──ご自宅のインテリアを作り上げる上で、心がけていることは何ですか?
まず、何かを見たときに直感的に「好き」と思えるかどうか。そのうえで、空間に余裕があるか、全体に馴染むかを考えます。限られたスペースで暮らすニューヨークでは、自然と取捨選択が必要になります。なので、何を家に迎え入れるかをよりじっくり選ぶようになりましたね。

──お家の中でお気に入りの場所はどこですか?

自然光が心地よく降り注ぐ、お気に入りのビューティーコーナー。 OMI TANAKA

ベッドルームの窓辺にある小さなビューティーコーナー。季節によって光の入り方が変わり、朝の身支度をするだけでなく、静かに考えごとをしたり、自分と向き合う時間を過ごしています。創造性を刺激してくれると同時に、立ち止まってリセットできる、私にとってのサンクチュアリ(聖域)なんです。

──お気に入りの家具を教えてください。
マリオ・ベリーニ(MARIO BELLINI)によるモジュール式ソファ「カマレオンダ(CAMALEONDA)」です。ヴィンテージを探していたところ、ビー アンド ビー イタリア(B&B ITALIA)から復刻されると知って即決しました。生地や背もたれ、ひじ掛けを自由に選べるうえ、配置を変えることもできるんです。

ニューヨークは「進化し続けることを促してくれる街」

奈良美智の複製画をあしらった3連作のスケートボードと、記憶を呼び起こす香りに満ちた空間。 OMI TANAKA
視覚的にも知的にも常にインスピレーションを与えてくれる、友人がディレクターを務める椅子をテーマにした雑誌『MAGAZINE C』」と、アートブックの数々。 OMI TANAKA

──ニューヨークのどんなところが好きですか?
チャンスやエネルギーにあふれているところ。野心のある人にとっては、最も目指すべき場所だと思います。キャリアでも、個人的な関心の面でも、できることの幅がほんとうに広い。今のところ、ここ以外の場所で暮らしている自分は想像できません。

──スピード感のあるニューヨークで暮らしながら、どのようにバランスを保っていますか?
できる限り、ゆっくりする時間を作っています。朝のお茶やスキンケア、呼吸に意識を向ける時間など、たとえ数分でもマインドフルな習慣を持つようにしています。本を読んだり、自然のなかや自宅の静かな場所で過ごすことも多いですね。自分の空間や周りの環境、そして自分が持つエネルギーに、何を取り入れるかを常に意識しています。内側がクリアでいれば、その状態は自然と外にも表れると思うんです。

──あなたにとってニューヨークとは?
常に動き続け、可能性に満ち、思い出が重なり合う場所。ここで16年間過ごし、一人の人間として大きく成長しました。ニューヨークには、これまでのさまざまな自分が存在していて、それでもなお進化し続けることを促してくれる街。目立たずにいることも、深く見てもらえることもできる。そのどちらも選べる自由さが好き。刺激にあふれ、人もまた、私に刺激を与え続けてくれます。

──ニューヨークでお気に入りのアドレスは?

バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)でデジタルデザイン担当バイス・プレジデントを務めていた時代に入手したポスター。自身が卯年生まれであることから、個人的にも深い縁を感じている作品。 OMI TANAKA

クイーンズ地区にある「ノグチ ミュージアム(NOGUCHI MUSEUM)」です。静けさと、すべてが意図をもって配置されている感じがとても詩的なんです。心が落ち着きながらも創造力が刺激される、深呼吸できる場所です。

──今後叶えたい夢を教えてください。

いつも何かしら夢を見ています。個人的には、スーパーエッグ、写真、新しいコラボレーションなど、どんな形であっても誠実にものづくりを続けていきたいです。仕事面では、自分たちの価値観を大切にしながらスーパーエッグを世界へ広げ、できるだけ多くの人の毎日に心地よさを届けること。そしていつか、ウェルネスとアート、静かな美しさが重なり合う空間を、実際にかたちにできたらうれしいですね。

Text & Coordination: Maki Saijo



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