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【人間関係の悩みを解決】あなたはギバー?テイカー?「モヤモヤ」を手放すヒント

  • 2025.6.9

年齢を重ねるほど複雑になっていく人間関係。「ギバー・テイカー理論」を参考に、よりよい関係を広げていく考え方を知りましょう。

ギバー・テイカー・マッチャー。3タイプの人間を知っていますか?

【ギバー】利他的な考えで行動

「他者が何を求めているか」が思考の軸。見返りとしてのテイクを考えず、自分が与えたいから与えるのが基本スタンス。その結果、お返しをもらえることが多い。

【テイカー】自分の利益が最終目的

思考の軸はいつも自分。目的は自分が利益を得ること。常に与えるより多くを受け取ろうとする。そのための手段としてなら積極的にギブすることも。用心深く、自己防衛的。

【マッチャー】ギブとテイクが5:5

常に公平性な観点に基づき、与えることと受け取ることの帳尻を合わせるタイプ。テイクされれば意識的にギブし、ギブが多いと感じると積極的にテイクして補おうとする。

行動の裏にある思考の違いが、人間関係を左右する!?

結婚、出産、仕事などライフステージの変化が激しい30代。どうしても付き合わないといけない相手に苦手意識を感じたり、昔からの友人でも価値観がすれ違ったりと、人間関係に悩むことが多いのでは。そんなモヤモヤをひもとくヒントに、「ギバー・テイカー理論」という考え方があります。 「この理論では人を、利他的で与えることをいとわない“ギバー”、自分の利益を優先し積極的に受け取ろうとする“テイカー”、ギブ&テイクのバランスを重視する“マッチャー”の3タイプに分類しています。これは表面的な行動で見分けられるものではなく、重要なのは行動の意図がどこにあるか。例えば、自己犠牲的に与えているように見える人でも、その目的が自分の利益なら、その人はテイカー。ギバーは与えるだけ、テイカーは受け取るだけと思っている方も多くいますが、これは誤解です。純粋なギバーやテイカーは少なく、誰しもさまざまな要素を持っています。ただ、その行動の根底にある思考が全く異なるのです」 行動の根底にある思考の違いを知ることは、人間関係を新たな視点で考えることにつながります。 「3つの思考タイプを知っていれば、表面的な行動ではなく、その意図を知ろうとするきっかけになるでしょう。そして、自分の行動を客観的にみて、意図がどこにあるかを意識することにもつながります。他者の行動を“いろんな人がいる”と割り切れるようになり、自分の行動には意識と自覚を持てるようになれば、おのずと人間関係に悩むことが減るかもしれません」 では、どのタイプが最も豊かな人間関係を築けるのでしょうか。 「長期的にみてよい人間関係を構築しやすいのはギバーといえるでしょう。しかし、“人間関係をよくしたいからギバーになろう”というのは、とてもテイカー的な考え方です。大切なのは、そのバランス。テイカー的な思考が強まれば、人からの信頼を失う可能性があります。自分の思考を意識し、行動の意図が自己利益の追求になっていないかを顧みてみましょう。誰しもテイカーの側面を持っていることを自覚し、多くの価値観に触れて人間的に成熟していけば、ギバー的な発想に近づいていくのではないでしょうか」


お話を聞いたのは…… 楠木 建先生
経営学者。一橋ビジネススクールPDS寄付講座競争戦略特任教授。専攻は競争戦略。『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』(三笠書房)の監訳を務める。

Photograph=Sachi Kataoka Text=Nikki Yamamoto Illustration=Macoto Saijoh

※InRed2025年6月号より。情報は雑誌掲載時のものになります。
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