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6月はプライド月間! LGBTQIA+コミュニティのために、今日から始められる5つのアクション

  • 2025.6.2

プライド月間が6月に行われる理由

1989年6月にNYストーンウォールで行われたデモのようす。Photo_ Erica Berger / Newsday RM via Getty Images
AIDS activists protest at Stonewall monument in NYC in 19891989年6月にNYストーンウォールで行われたデモのようす。Photo: Erica Berger / Newsday RM via Getty Images

6月がプライド月間と呼ばれるようになった背景には、1969年6月28日に米国NYで起きた「ストーンウォールの反乱」という歴史的な出来事がある。当時、ゲイにアルコール飲料を提供した店はライセンスを剥奪され、異性の服を着ることも違法とされていた。世論や法律の観点からも、当時は男女二元論に則らない考えに対して否定的な時代だったのだ。

しかしこの日、ゲイバーであるストーンウォール・インに警察の踏み込み捜査が入ると同時に、差別にNOを示すべく多くの人が抗議運動に参加し、3日間も続く暴動へと発展。これがゲイ解放運動の転換期となったと言われている。その翌年から、NYで初のプライドパレードが開催され、その動きは世界各地へと広がっていった。

レインボー・フラッグの考案者は?

ギルバート・ベイカーが描いたレインボーフラッグ。2019年、ドイツのボンで行われたエキシビションにて。Photo_ Rolf Vennenbernd / picture alliance via Getty Images
Exhibition "California Dreams" at the Bundeskunsthalleギルバート・ベイカーが描いたレインボーフラッグ。2019年、ドイツのボンで行われたエキシビションにて。Photo: Rolf Vennenbernd / picture alliance via Getty Images

遡ること半世紀弱、1978年に美術家で公民権活動家のギルバート・ベイカーが初めてレインボーフラッグをデザインした。ベイカーは後に、アメリカで初めてゲイであることを公表した議員のハーヴェイ・ミルクから、ゲイコミュニティの誇りを示すシンボルを作るように促されたことを明かした。

「空に浮かぶ虹は、自然がもたらした旗」とし、当初デザインに8色を採用。ピンクはセクシャリティ、赤は生命、オレンジは癒し、黄は太陽、緑は自然、ターコイズは芸術、藍は平穏、紫は精神という意味を込めた。印刷の関係で、のちに6色となったが、今も世界各地でレインボーフラッグは象徴として定着している。

近年では、レインボーカラーに加え、トランスジェンダーや人種的マイノリティ、インターセックス、HIV・AIDSとともに生きる人々など、さらに多様なコミュニティを可視化する「プログレスプライドフラッグ」が使用される機会も多い。
Progress Pride flag近年では、レインボーカラーに加え、トランスジェンダーや人種的マイノリティ、インターセックス、HIV・AIDSとともに生きる人々など、さらに多様なコミュニティを可視化する「プログレスプライドフラッグ」が使用される機会も多い。

婚姻の平等が認められている国々

Photo_ Stanislav Kogiku/Getty Images
"Freedom of marriage to all people" sign at the TokyoPhoto: Stanislav Kogiku/Getty Images

2001年4月1日、オランダは世界で初めて同性婚を法的に認めた国となり、その後ベルギーやスペイン、カナダなど数多くの国々が続いた。2025年1月23日時点で、39の国と地域で同性婚が可能になっている(出典:Marriage For All Japan)。また、アジアでは台湾とネパールに続き、2025年1月にはタイでも同性同士の結婚を認める法律が施行された。

「パートナーシップ制度」に関しては、2015年11月に渋谷区と世田谷区で初めて導入されたのを皮切りに、これまでに525の自治体(2025年5月28日時点確認)で制定。人口カバー率は92%を超えているが、これは法律が認める結婚とは異なるもので、同性婚は未だ認められていない。

全国各地で継続的に行われている「結婚の自由をすべての人に」訴訟。2024年10月には東京高裁が同性同士の結婚を認めないことは憲法14条1項と24条2項に違反するとし、違憲判決を下した。原告団からは、「画期的かつ歴史的な判決だった」などと歓喜の声が上がった。さらに、2025年3月には大阪高裁判決でも違憲判決が出たことで、国会での立法に向けた働きかけの大きな足がかりとなった。全国5カ所で6件起こされている裁判のうち、2審で違憲判決が示されるのはこれで5件目だ。

Read More >>> 東京高裁で「同性同士の婚姻を認めないのは違憲」──アジアのアクティビストらに訊く各国の実情

差別禁止法の整備が遅れる日本

婚姻の平等だけでなく、日本は性的指向および性自認を理由とした差別禁止法が整備されていない現状も問題だ。LGBTQ+に関する法制度の進み度合いはOECDに加盟する35カ国中34位と大きく遅れをとっており、国連人権理事会からも法改正や状況の改善を求められている。駐日EU大使のジャン=エリック・パケは「性差別LGBTQコミュニティに対する差別は間違っています。それを防ぐには法律が必要です。ともに取り組んでいきましょう」と話し、駐日スウェーデン大使のペールエリック・ヘーグベリは「スウェーデンの考え方は極めてシンプルです。誰もが自分らしくある権利、誰を愛するか決める権利を持っています。国は関係ありません。世界中どこでも同じです」とメッセージを送った。大きく遅れをとる日本に対し各国から支援の声が上がるなか、今後の政府の動きは国際社会での信頼問題に関わってくるだろう。

差別禁止法とは似て非なるものだが、2023年5月18日に自民党と公明党が「LGBT理解増進法案」を国会に提出。しかし、法案提出時に、内容は大きく改変され「差別は許されない」という文言は「不当な差別はあってはならない」という表現に置き換わった。「許されない」という言葉が消えたことは人権意識の後退だ。そして「不当な」とつけることの問題点としては、「正当な」理由があれば差別的な発言が許されてしまうこと。そもそも正当な差別というものは存在しない上、差別的な発言が行われることが前提であるかのような表現も問題視されている。ほかにも、誰もが自由に生きる権利がある社会の中で、ジェンダーアイデンティティを指す「性自認」という言葉を、医療的な用語として使われることが多い「性同一性」に変更。また、理解増進の施策を教育現場に求める努力義務は削除され、「事業者等の努力」へと格下げされた。

2023年6月16日に法案は成立したが、差別の禁止規定が入っていないため具体的な被害に対して対処や救済を求めることが難しいだけでなく、「全ての国民の安心に留意する」という文言が含まれているため、理解増進の施策を多数派が制限してしまう可能性も。また、学校教育における「家庭や地域住民の協力」という文言によって、学校での取り組みが萎縮するリスクもはらんでいる。

また、2025年2月に自民党、民主党、日本維新の会、国民民主党によって国会に提出された「特定生殖補助医療法案」にて、第三者の精子・卵子の提供を伴う人工授精や体外受精などの医療を受けられる対象が法律婚の夫婦に限られており、これに反した場合には罰則対象となる、とされた。同性同士、事実婚のカップルおよび独身女性が生殖補助医療を受けることができなくなる可能性をはらんでおり、強く反対の声が上がると同時に法案修正が訴えられている。

プライド月間にできる5つのこと

2023年4月23日、東京レインボープライドにて。Photo_ © Stanislav Kogiku / SOPA Images via ZUMA Press Wire
Tokyo Rainbow Parade 2023 in Tokyo, Japan - 23 Apr 20232023年4月23日、東京レインボープライドにて。Photo: © Stanislav Kogiku / SOPA Images via ZUMA Press Wire

まだまだ課題は山積みだが、人々の声と行動によって画期的な変化と前進を、今私たちは目の当たりにしている。6月のプライド月間をより有意義なものにし、これからも変革を起こしていくために、今すぐできるアクションを5つ紹介。

  1. 婚姻の自由などの法整備に尽力する団体「Marriage For All Japan」や「LGBT法連合会」、LGBTQ+に関する教材を作る「認定NPO法人ReBit」などのマンスリーサポーターになり、寄付をしよう。
  2. トランスジェンダーに対するバッシング、偏見や差別に反対しよう。
  3. 揺れ動く日本の現状をアップデートするべく、記事をたくさん読もう。
  4. 婚姻の平等や差別禁止法について、周りの人と話してみよう。
  5. 政治家に抗議のメールや電話をしたり、署名に参加してみよう。

Text: Mina Oba, Nanami Kobayashi

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