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「期待してたのに…」「途中で観るのやめた」“期待を裏切る脚本”に酷評も…それでも「もっと評価されていい映画」と称される衝撃作

  • 2025.7.3

映画の中には、実際に起きた事件とよく似た状況を描いた作品があります。今回は、そんな“実在の事件を彷彿とさせる作品”を5本セレクトしました。本記事では第2弾として、『友罪』をご紹介します。凶悪事件の加害者と疑われる男と、過去に罪を抱える元記者。ふたりの出会いが運命を動かし、やがて予想もしない結末へと向かっていきます――。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

似ている…でも信じたい──揺れる関係がたどる予想外の展開

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(C)SANKEI
  • 作品名(配給):『友罪』(ギャガ)
  • 公開日:2018年5月25日
  • 出演:生田斗真(益田 役)

週刊誌の記者を辞め、新たな暮らしを始めた益田(生田斗真)は、町工場で働きながら寮生活を送っていました。そこで出会ったのが、無口で他人との関わりを避ける青年・鈴木(永山瑛太)です。最初はほとんど言葉を交わさなかったふたりですが、同じ空間で過ごすうちに、次第に距離を縮めていきます。

そんな中、近くの町で児童殺害事件が起きます。ネット上では、17年前に世間を騒がせた凶悪事件との共通点が指摘され、すでに出所している“少年A”が再び関与しているのではないかと憶測が広がっていきました。

流出した写真に鈴木に似た少年の姿を見つけた益田は、動揺を隠せず、真相を確かめようと調査を始めます。その過程で、彼自身がかつて関わった“ある出来事”とも向き合うことに…。

静かに生きていたふたりの過去と現在が交差したとき、止まっていた時間が再び動き出します――。

映画『友罪』は実在の事件をモデルにしているのか

『友罪』に登場する“少年A”という言葉から、1997年に起きた神戸児童連続殺傷事件を思い浮かべる人がいるかもしれません。当時14歳の少年が引き起こした凄惨な事件は、日本中を震撼させました。犯人の動機をめぐる報道が過熱し、少年法の是非についても世論が揺れ動いたことは、今なお記憶に残るところです。

しかし、『友罪』が実際にこの事件を“モデル”として描いているかどうかは、明確に否定されています。さらに、作品の構想についても東洋経済ONLINEのインタビューにて次のように明かしています。

確かに始まりは『少年A』かもしれませんが、あくまでもこの映画は、こうあることも可能な“その後”という世界観の下で描いているんです。あのような事件が、自分たちと同じ世界で起きたことに気づき、いろいろと考え、悩む中で、同じ世界に生きる一人ひとりとして答えを探していく。そういう意味では明らかにフィクションというアプローチを取っています
出典:『もしも親友が「少年A」だとしたら、どうするか』 東洋経済ONLINE 2018年5月1日配信

このように、『友罪』は実際の事件を再現したものではなく、事件とは切り離されたフィクションとして制作されていることが公式に語られています。

SNSでは評価は分かれており、「起承転結がある映画ではないので、感想も分かれそう」という意見の通り、「何が伝えたいのかよく分からない」「期待してたのに…」「途中で観るのやめた」「めっちゃ楽しみにしてたけどガッカリ」という声がある一方で「よくできた作品」「すごくよく描かれている」「本当に考えさせられる作品」「なんでこの映画の評価が高くないのか分からない」「この映画を観て本当に良かった」と絶賛する声も見られました。

また、「もっと評価されてほしい」「もっと評価されていい映画」と世間の評価が比較的高くないことへのもどかしさや、さらなる評価を求める声まであがっています。それほどまでに、ハマる人にはハマる良作であることがうかがえます。

何を信じ、誰を信じるのか――信頼の線引きを迫られるとき

本作の原作は、吉川英治文学新人賞や日本推理作家協会賞などを受賞してきた薬丸岳さんのベストセラー小説『友罪』です。

監督を務めたのは、サスペンスと人間ドラマを融合させた『64‐ロクヨン‐』で高い評価を受けた瀬々敬久さん。本作でも、人がなぜ罪を犯すのか、罪とどう向き合って生きていくのかという重いテーマを見事に表現しています。

本作の見どころのひとつは、生田斗真さんと永山瑛太さんの緊迫感ある演技です。永山さんは、過去を背負い孤独に生きる鈴木を、深く入り込むように演じています。対する生田さんは記者としての欲と鈴木を信じたい思いの間で揺れる益田を、繊細に表現しています。

SNSでは「とても見事な演技で圧倒された」「この役はよくやれたと思うほど、複雑な役」といった声が多数寄せられています。

もし、親しい誰かが過去に罪を犯していたとしたら――それでも関わり続けられるのか。
そんな問いを突きつけられる名作です。


※記事は執筆時点の情報です