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「原作と違った」「胸に刺さる…」“ラスト20分”に視聴者釘付け…「もはや日本映画界の宝」大河俳優が魅せた“渾身の一作”

  • 2025.6.29

映画の中には、胸を締め付けられるような感動を描いた名作があります。今回は、そんな中から「心がえぐられる作品」を5本セレクトしました。本記事ではその第3弾として、映画『正体』(松竹)をご紹介します。人を殺したとされる男が、逃亡先で見せた“本当の正体”とは――。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

「まるで別人のようだった」――343日間の逃走劇が暴いた“もうひとつの顔”

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(C)SANKEI
  • 作品名:映画『正体』(松竹)
  • 公開日:2024年11月29日
  • 出演:横浜流星一(鏑木慶 役)

ある日、日本中を震撼させた凶悪事件の容疑者として、ひとりの男・鏑木慶一(横浜流星)が逮捕されました。裁判で死刑判決を受けた彼は、その後脱走し、姿を消します。

警察の追跡を逃れながら、身分を偽って各地を転々とし、別人として暮らす鏑木。彼は、沙耶香(吉岡里帆)、和也(森本慎太郎)、舞(山田杏奈)……それぞれに悩みや孤独を抱える人々と出会います。

一方、事件を追う刑事・又貫(山田孝之)は、鏑木の足取りを追いながら関係者への聞き取りを重ねます。しかし語られる鏑木の姿は、人によってまったく異なり、まるで別人のようでした。

顔を変え、名前を変え、343日間にわたって逃げ続けた鏑木。なぜそこまでして逃げたのか。そして、彼は本当に人を殺したのか―。
鏑木の“正体”と、逃亡の果てにあった目的が、少しずつ明らかになっていくサスペンスドラマです。

主役級のキャスト陣が惹かれた“逃亡者”の物語

本作の原作は、染井為人さんによる同名小説『正体』です。映像化を手がけたのは、『余命10年『ヴィレッジ』などで知られる藤井道人監督

主人公・鏑木慶一を演じたのは、NHK大河ドラマ『べらぼう』で主演を務めている横浜流星さんです。横浜さんは脚本づくりの段階から、約3年にわたり藤井監督とやり取りを重ねたといいます。

共演には、吉岡里帆さん、森本慎太郎さん、山田杏奈さん、山田孝之さんと豪華な顔ぶれがそろいました。それぞれが本作への出演を熱望し、撮影に臨んだといいます。

究極の“信頼”を演じてアカデミー賞受賞

この映画で女優の吉岡里帆さんは、逃亡犯の無実を信じる女性・安藤沙耶香を演じました。愛した相手を信じ抜こうとする沙耶香について、吉岡さんは映画総合情報サイト『映画.com』によるインタビューで、次のように語っています。

人生でなかなか経験できない役でした
出典:横浜流星×吉岡里帆×山田杏奈×森本慎太郎、それぞれの「信頼」と「疑念」(映画.com)2024年11月29日配信

このひと言には、役の持つ重みがそのまま込められているように感じます。

心を寄せる相手が逃亡犯かもしれないという極限の状況の中で、恋愛感情を超えた、人としての信頼を寄せる沙耶香――。
彼女の心は、信じたい気持ちと拭いきれない不安の間で揺れ動きます。

沙耶香は、観る私たちに「信じるとは何か」を問いかけます。SNSでも、「吉岡里帆の凛とした姿が良かった。人を信じる強さをすごく感じました」といった声が。この作品での熱演が高く評価され、吉岡さんは第48回日本アカデミー賞・最優秀助演女優賞を受賞しました。

“七変化の演技”で最優秀主演男優賞を受賞

本作の見どころのひとつは、横浜流星さんが演じる「5つの顔を使い分ける逃亡犯」の七変化です。

高校生の姿をはじめ、ひげを伸ばし髪をぼさぼさにした日雇い労働者「ベンゾー」、フリーライターの「那須」、一重まぶたに変えて水産加工場で働く「久間」、そして清潔感のある介護職員「桜井」まで、まったく異なる人物を演じ分けています。

SNSでは「横浜流星さんの演技力に2時間瞬きを忘れました」「横浜流星の演技力ヤバイ「もはや日本映画界の宝」といった声が多く寄せられています。横浜さんはこの作品で第48回日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を受賞しています。

また「ラスト20分くらいから涙とまらん」「映画ラスト20分位が原作と違った もう大号泣」「ラスト20分は感動的です」「圧倒された」「胸に刺さる…」といった声もあり、感動的なラストに胸を打たれる視聴者も。

顔も名前も変えながら逃げ続けた鏑木が、出会った人々に見せた素顔。その奥にあった“本当の正体”とは何だったのか――。

本作は、観る側も登場人物と同じように心揺れながら、その問いに向き合うことになります。だからこそ本作は、「心がえぐられる作品」として記憶に残るのかもしれません。


※記事は執筆時点の情報です