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「大嫌いになった」「観ていて苦しい」“豪華キャスト陣の快演”に苦痛の声あがるも…共感殺到の脚本に隠された“驚きの施策”

  • 2025.6.20

名作と言われるドラマの中には、私たちにさまざまな問いを投げかける作品があります。今回は、そんな“考えさせられる名作”を5つセレクトしました。本記事では第2弾として、ドラマ『わたし、定時で帰ります。』(TBSテレビ)をご紹介します。クセ者ぞろいの職場で、主人公・結衣が選んだ“働く意味”とは――?

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

「辞めたい」が口癖の新人、「会社に住む」同僚――クセ強めの職場物語

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(C)SANKEI
  • 作品名:ドラマ『わたし、定時で帰ります。』(TBSテレビ)
  • 放送期間:2019年4月16日 - 6月25日
  • 主演:吉高由里子(東山結衣 役)

主人公・東山結衣(吉高由里子)は、WEB制作会社で働くディレクター。過去のトラウマから“定時で帰る”を信条とし、入社以来、残業をせずに働いてきました。帰りづらい雰囲気の職場でも、生産性の高い仕事ぶりで定時にきっちり退社。行きつけの中華料理店でビールを楽しみ、恋人・諏訪巧(中丸雄一)との時間も大切にしています。

ところが、新任部長の着任を機に、結衣の環境は一変。彼女の前に、クセの強い同僚たちが立ちはだかります。ワーカホリックな元婚約者・種田晃太郎(向井理)、会社に寝泊まりする非効率なエンジニア・吾妻徹(柄本時生)、「辞めたい」が口癖の新人・来栖泰斗(泉澤祐希)、勤怠は完璧でも心に余裕のない三谷佳菜子(シシド・カフカ)、双子を育てるワーキングマザー・賤ヶ岳八重(内田有紀)、そして悪気なくブラック発言を繰り返す新部長・福永清次(ユースケ・サンタマリア)。

結衣は、そんな曲者たちとどう向き合っていくのでしょうか――?

数百人の声が反映された“職場のリアル”

『わたし、定時で帰ります。』は、朱野帰子さんの同名小説を原作としたドラマです。主人公・東山結衣のキャラクターは、ドラマ化に際して“結衣の働き方だけが正しい”という描き方にならないよう、“控えめなキャラクター”に調整されました。

吉高さんが演じる結衣は、効率よく働きながらも周囲への配慮を忘れない人物です。中でも印象的なのが、新人にかけた「私たちは敵じゃない、チームなんだよ」という言葉。このセリフに「甘やかせ過ぎだ」という声と「あんな上司だったらがんばれる」という声が寄せられ、世代や立場で受け止め方が分かれた点に、このドラマのリアルさが表れています。

なぜ、これほどまでにリアルさを感じさせるのか?それは、数百人ものビジネスパーソンへのヒアリングが反映されているからです。辞めたがる新人や働きすぎの同僚など、登場人物が“身近な誰か”を反映しているからこそ、多くの視聴者の共感を集めたのでしょう。

SNSにも、「それぞれに共感できる」「共感しかなかった」「今の働き方を考える機会になった」といった声が多数寄せられています。

後輩の悩み、同僚の疲れ、上司の圧 ― そのすべてに向き合う姿に共感続出

本作は、“定時退社”を信条とする結衣の姿を通して、現代の働き方を問いかけた作品です。

定時退社の問題に限らず、職場の人間関係やライフワークバランス、中間管理職としての葛藤に至るまで丁寧に描かれています。後輩の指導や同僚のフォロー、上司への対応までこなす彼女の多忙な日々に、自分を重ね合わせた視聴者も多かったはず…。

無神経な言動を見せる上司を演じたユースケ・サンタマリアさんの怪演に「あまりにも昭和おやじすぎて…」「めちゃくちゃ気持ち悪い」「パワハラ役がマジで上手で大嫌いになった」という声や、産休明けに肩に力が入りすぎて空回りしてしまう先輩を演じた内田有紀さんの快演に「社会人になって観るとなかなかえぐい…」「観ていて苦しい」という声が見受けられました。

このドラマが伝えるのは、“働き方に正解はない”という、シンプルで力強いメッセージです。『わたし、定時で帰ります。』というタイトルは、単に働く時間の長さではなく、“どう働くか”という本質を投げかけています。

最終話で「人は何のために働くのか?」と問われた結衣は、「わかんないけど、これからも元気に働きたい」と答えます。何を大切にして働くかは人それぞれ。本作は明確な答えを示すのではなく、私たち一人ひとりが自分にとっての“働く意味”を見つめ直すきっかけを与えてくれる、そんな名作です。


※記事は執筆時点の情報です