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暗渠愛好家が選ぶ、「水のエビデンス」を味わう新しい景色6選

  • 2025.5.16
暗渠愛好家が選ぶ、「水のエビデンス」を味わう新しい景色6選

「水のエビデンス」を味わう新しい景色

暗渠(あんきょ)とは、もともと川や水路だった水の流れを地下に移したもののことだ。ここでは少々広く解釈し、単なる川跡・水路跡まで含めて暗渠と呼ぼう。東京はちょっと前まで自然河川や用水路が方々に流れる水の豊かな街だった。震災・戦災からの復興や高度経済成長などの「都市化」と引き換えに、その水面の多くは消えていったのだ。

しかし目を凝らせばそれらのエビデンスはあちらこちらで見ることができ、東京は今や暗渠の街であるとわかる。暗渠は元川だっただけに、歩道が変に広かったりやたら狭かったり妙にくねくねしていたり、車止めに囲まれていたりと小さな違和感を抱えているところが多く、時として異世界への入口のようでもある。街の日常からちょっとだけはみ出す感覚。それが暗渠の魅力でもある。また、暗渠ではかつての水辺の痕跡も見つけられる。

例えば「橋」だ。水の流れもない街角に唐突に置かれている橋。たぶん通る人のほとんどが見過ごしている橋。その橋こそ、そこに川があった証拠である。欄干ごと残っている橋を見つければもちろん嬉しいが、それが親柱だけ、いや橋名板だけであっても、なんなら橋の名が交差点に残っているのに気づくだけでも萌えてくる、気分はまるで宝探し。そんな宝物が都内のあちこちに隠れているのだ。そこにかつて水の流れがあったことを知ると、いつもの街の景色がちょっと違って見えてくる。そんな自分の中の小さな変化も、暗渠で楽しんでみよう。

異世界暗渠
阿佐谷北を歩いていると、1−21あたりに突如現れる暗渠の入口。かつて田んぼを縫うように流れていた桃園川の支流の痕跡だ。入れば、迷路の中にいるような感覚に陥る。近くには緑豊かな遊歩道もある。阿佐谷北1丁目は、街中に顔を出す暗渠が点在する場所で、少し不思議な路地が多い。住所:杉並区阿佐谷北1−21付近
異世界暗渠
中野駅北方に水源を持ち、西武新宿線中井駅付近で妙正寺川に合流する、通称・妙正寺川上高田支流暗渠。薄暗い細道が続く路地横に、積み石全体が白く塗られた不思議な護岸が現れる。一つ一つの石をよく見れば、それが墓石であることに気づくはず。夜に歩けば、異世界感がさらに増す場所だ。住所:中野区上高田1−27付近
異世界暗渠
狭く、人とすれ違うことができない。小川を埋めて造られた道だからこその狭さと、見通せないカーブが胸を高鳴らせる。異世界に誘われる感覚だ。ここは池袋3丁目、みたけ通り西にある谷端川支流の路地。こんなに小さな川でも合流を繰り返し、やがては海へと到達することに浪漫を感じる。住所:豊島区池袋3−36付近
宝探し暗渠
地下には首都高速が走り、地上にも車がひっきりなしに行き交う山手通り。そこにつながるひっそりした小径に入ると、すぐに出くわすのが初台橋の欄干。初台川暗渠をさらに上流に向かうと、清冽(せいれつ)な湧き水まで見ることができる。都心では貴重な物件だ。住所:渋谷区初台2−5付近
宝探し暗渠
JR総武線新小岩駅の北から北東の奥戸に向かって延びる西井堀暗渠は、都内屈指の「宝探しロード」だ。かつて架かっていた数々の橋の橋名板が、歩道のインターロッキングブロックに埋め込まれている。その一つが写真の支丹田橋。全部でいくつ埋まっているか現地で数えてみよう。住所:葛飾区奥戸3−26付近
宝探し暗渠
次なるお宝は特大級。亀戸の南、首都高速7号小松川線の下には竪川が流れていた。その跡を歩くと出会う、「忘れられた貨物線」越中島支線の竪川橋梁(きょうりょう)。1929年に誕生したトラスと煉瓦の橋脚は、川がなくなり高速道路が走っても変わらずここにある。公園にて、下から見上げることができる。住所:江東区亀戸1−26付近

profile

暗渠マニアックス(暗渠愛好家)

あんきょまにあっくす/暗渠をこよなく愛する吉村生・髙山英男によるユニット。共著に『暗渠マニアック!増補版』『暗渠パラダイス!』など。

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