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メットガラ2025の“ブルーカーペット”に隠された深い意味

  • 2025.5.6
The 2025 Met Gala Celebrating "Superfine: Tailoring Black Style"

今年、メットガラの舞台に敷かれた“レッドカーペット”は、赤ではなく、ミッドナイトブルーに白と黄色の花を散りばめたものだった。モチーフとなったスイセンのイラストを手がけたのは、アメリカ人アーティストのサイ・ギャビンだ。US版『VOGUE』のインタビューで、ギャビンはニューヨーク州北部のアトリエの外に咲くこの多年草に魅了されたと語る。多くの人にとって、スイセンは新しい季節の到来を象徴するものだ。さらにコスチューム・インスティテュートの資金調達のためのガラは、5月の第1月曜日に行われることから、この2つは親和性が高いと感じたそうだ。

The 2025 Met Gala Celebrating "Superfine: Tailoring Black Style" - Inside

スイセンは英語でナルシスと呼ばれ、その学名はギリシャ神話に登場する美少年ナルキッソスに由来する。ナルシシズム(自己愛)の語源となったナルキッソスの悲劇は諸説あるものの、彼が水面に映る自分の姿を初めて見た場面にギャビンは注目したという。「自己認識と評価の瞬間に興味を持ちました」

今年の展覧会では、「Superfine: Tailoring Black Style(華麗なるブラック・スタイル)」をテーマに掲げ、ブラック・ダンディズムを題材に、大西洋地域のアフリカ系ディアスポラのアイデンティティ形成における衣服とスタイルの重要性を考察している。「他人からいろんなことを言われるせいで、人はいとも簡単に自分がわからなくなる。そして、それが一種の罰でもあるという痛ましさに心を打たれました」

The 2025 Met Gala Celebrating "Superfine: Tailoring Black Style" - Inside

ギャビンは、この神話を「無題(空)」という絵画に注ぎ込み、スイセンの花を夜空の星に見立てた。そして、セットデザイナーのデレク・マクレーンとイベントプランナーのラウル・アビラが、スイセンのモチーフをメトロポリタン美術館の階段を覆う広大な“ブルーカーペット”へと変換させたのだ。このカーペットは残念ながらメットガラ終了後に撤去される予定だが、ファッション界最大の夜を彩るスターたちが歩くたびに撮影された何千枚もの写真の中で、その意味は生き続けるだろう。

Text: Elise Taylor

From VOGUE.COM

リアーナ

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