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メンタルヘルスに効く言葉とは?言語化の力で対人関係のストレスを減らそう【ヴォーグなお悩み外来】

  • 2025.5.4

ミスコミュニケーションの原因は「言葉にしないこと」

Frustrated millennial female worker felling tired of working quarreling.

寄せられる悩みの90%は、対人関係に関するものだと、公認心理師で産業カウンセラーの大野萌子さん。そして、多くの人が、相手に対する思いや不満をきちんと言語化しないことで、ミスコミュニケーションを引き起こしていると指摘する。「最近、カウンセリングでよく聞かれる悩みの一つは、『何を話せばいいのか分からない』です。ハラスメントが社会問題として広く認知されてから、指示を出すにも何か言うにも、『これ、ハラスメントにならないかな?』と考えてしまい、怖くて言葉を発することができない。その結果、言わないことでコミュニケーションが取れず、すれ違いが起こるということが本当に多いんです。もちろん、ハラスメントは絶対に避けるべきですが、きちんと言葉でコミュニケーションを取ることは非常に大切」

とはいえ、難しいと感じる人には、「声かけをする際に、否定表現ではなく肯定表現を使う」というコツから始めることがおすすめだそう!「『○○しないで』と言うのではなく、『○○してね』と言う方が効果的です。人は否定的な言葉を使われると、無意識に防衛的な態度を取りがち。素直に聞いてくれないことが多いのです。逆に、肯定的な言い方にすることで、相手は安心して対応しやすくなり、結果的にコミュニケーションが円滑になります。例えば、『この書類、こんな風に書かないで』というよりも、『この書類、こういう風に書いてね』と言った方が相手に伝わりやすく、スムーズに行動してもらえるでしょう」ここからは、仕事からプライベートまで、ありがちなお悩みに対する声かけのコツを具体的に伝授!

会社での声がけ方法でストレス度合いが変わってくる

Working with a strong inner drive to get ahead

EX:部下が同じミスを繰り返すときは……

→「この業務のフローを最初から一緒に確認してみようか?」

「ミスを繰り返しているということは、どこかで理解が不足していたり、認識のズレがある可能性があります。大事なのは、その理解不足を一緒に確認することです。例えば、『この業務のフローを最初から一緒に確認してみようか?』『わからないところまで戻ってもう1回やり直そう』と声がけしてみるのです。NGなのは、『何度も言っているのにどうしてできないの?』と言ってしまうこと。相手へのプレッシャーやハラスメントに繋がる恐れがあります。大事なのは、相手が『今更聞けない』と感じることなく、安心して質問できる環境を作ることなのです」

EX:上司や取引先の人が忙しそうで聞きづらいときは……

→「○○についてご相談したいのですが、○○分程度お時間いただけますか?」

「忙しい人ほど、しっかりと声をかけることが大切です。上司が忙しそうだからといって、遠慮しているだけでは状況は改善しません。むしろ、忙しいときこそ、相談したい内容と、どれくらいの時間を要するのかを具体的に伝えることがポイントです。例えば、『○○についてご相談したいのですが、15分ほどお時間をいただけますか?』と伝えると、上司も時間の目安がつかみやすく、対応しやすくなります。何も伝えずに声をかけると、忙しい方ほど『後で』と言ってしまうことが多いので、事前に具体的な時間を伝えることが効果的」

EX:自分が今一杯一杯なことを角を立てずにアピールしたいときは……

→「明日だったら可能です」「この部分だったらお手伝いできます」

自分の現状を正直に伝えましょう。『今は少し手が回らないのですが、明日なら対応可能です』『この部分についてはお手伝いできます』と、具体的にどのような状況かを説明しつつ、できることを提案するのが良い方法です。曖昧に『ちょっと難しいかも』などと言うと、相手に『もう少し頼んでみようかな?』や『やる気がないのかな?』と思わせることもあります。そうならないためにも、自分の状況を簡潔かつ具体的に伝え、相手に安心感を与えることが重要」

パートナーとの関係性をよりよくさせる魔法の言葉

Close up woman and man holding cups of coffee on table

EX:パートナーに、家事をもっとしてほしい!というイライラをうまく伝えられず、もやっとしたときは……

→「お風呂に入った後は水抜きをお願いしたい」「トイレットペーパーがなくなったら自分で補充して、追加分をここに置いておいてほしい」

「この場合、最も重要なのは、『うまく伝えられないのは、自分の中で相手に対する要求がはっきりしていないから』に気づくこと。そして、自分が何に対して不満を抱いているのか明確にすることで、相手に対して伝える内容が具体的になり、誤解を避けることができます。もし自分の中で要求が曖昧なままだと、どれだけ伝えようとしても、ただの不満として受け取られ、具体的な改善には繋がらないでしょう。自分の要求を整理したら、『お風呂に入った後は水抜きをお願いしたい』や『トイレットペーパーがなくなったら自分で補充して、追加分をここに置いておいてほしい』と具体的にお願いしましょう。感情的に『もっとちゃんとしてほしい』と言うだけでは、相手には何をどうしてほしいのかが分からないのです。家族だからと油断せず、要求は率直に明確に伝えることを心がけて」

EX:パートナーが不満を抱えているように見える。 なんて声がけすればいい?と悩んだときは……

→「最近忙しくてあまり話せなかったね、少しゆっくり話せる時間を作ろう」

「『何かあったら言葉にして伝えてね』や『最近忙しくてあまり話せなかったね、少しゆっくり話せる時間を作ろう』といったように、話し合う場を設ける声かけがおすすめ。『ちょっと一緒に散歩でも行こうか?』や『週末にゆっくりご飯を食べに行こう』など、リラックスできる時間を提案するのも良い方法です。『最近何か困ったことがあるでしょう?』などと言って相手が不満を抱えていると決めつけるのは、反感を買うことがあるので避けた方が良いでしょう」

話を聞いたのは……

大野萌子さん

公認心理師、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士、一般社団法人「日本メンタルアップ支援機構」代表理事。企業内カウンセラーとしての長年の経験を活かし、社内コミュニケーション、ストレスマネージメント、ハラスメント対策を専門とする。近著に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)など。

Text:Kyoko Takahashi Editors:Kyoko Muramatsu, Yuna Shibata

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