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35年前、日本中が憧れた“伝説のロン毛俳優” トレンディドラマが生んだ“静かな革命児”が今も語り継がれる理由

  • 2025.4.29
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(C)SANKEI

1980年代の終わり、日本のドラマ界に一人のスターが現れた。

「35年前のあの頃、誰に憧れて髪を伸ばしていたか覚えてる?」

1990年前後、日本のカルチャーは転換点を迎えていた。音楽ではチェッカーズや光GENJIが若者文化を牽引。そんな中、テレビの中で“自由でちょっと危なげな魅力”を放つ俳優が登場した。

江口洋介ーー

1980年代後半から90年代にかけて、トレンディドラマの中心に立ち、“ロン毛の似合う男”として世の女性たちを虜にした。

1980年代末、江口洋介という存在が放った輝き

江口洋介が注目を浴びたのは、1987年の『湘南爆走族』。リーゼントではなく、風になびくロン毛とバイク姿は、それまでの“昭和の不良像”を一変させた。

以降、『愛という名のもとに』『東京ラブストーリー』『ひとつ屋根の下』といった90年代を代表する名作ドラマで主要キャストを務め、どの作品でも“心に影を持つ好青年”という新しい男性像を体現。

中でも1993年放送の『ひとつ屋根の下』で演じた“あんちゃん”こと柏木達也役は、責任感と優しさを持ちながらも不器用な長男として、国民的な支持を集めた。

なぜ江口洋介は“時代の象徴”になったのか?

当時のトレンディドラマは、どこか非現実的なキラキラ感が漂う作品も多かった中で、江口洋介の持つ“地に足の着いたリアルさ”が視聴者の共感を呼んだ。

肩肘張らない雰囲気、言葉少なめな誠実さ、そして時折見せる熱い一面。それらは、当時の若者たちが理想とする“兄貴像”や“パートナー像”として重ねられ、男女問わず強い支持を得ていく。

また、ロン毛ブームの火付け役とも言われ、街には“あんちゃんヘア”を真似する若者があふれた。彼のスタイルは単なる“役柄”ではなく、“生き方”として受け入れられただろう。

江口洋介がもたらしたカルチャーと存在感

江口洋介の登場以降、ドラマ界では“無口で熱い兄貴タイプ”というキャラクターが定番化。また彼の出演作品には、家族、友情、恋愛、挫折といった人生のリアルが詰め込まれ、視聴者が感情移入しやすい作品が多く生まれた。

音楽活動にも積極的で、シンガーソングライターとしても一定の評価を受け、俳優と音楽を両立するマルチな才能もまた“等身大のカリスマ”として映った。

その後は、医療ドラマ『救命病棟24時』シリーズでの熱演や、時代劇・映画でも幅広く活躍。年齢を重ねても、“年相応にかっこいい男”として世代を超えた支持を得続けている。

今も変わらず、背中で語る“憧れの男”

2020年代の今、江口洋介は“伝説”になったわけではなく、“今も進行形の俳優”として第一線で活躍している。

派手な露出は控えめながら、その存在感はむしろ増すばかり。多くを語らず、でも一言で空気を変えるような“間”の使い方。演じる役に流されない“生き方”そのものが、彼の魅力だ。

35年前、誰もが憧れた“あの兄貴”は、今も変わらず画面の向こうで静かに佇み、言葉ではなく背中で、何かを伝え続けている。


※この記事は執筆時点の情報です。