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36年前、日本中を笑いと衝撃で包んだ“性別逆転アニメ” 現代に再評価される“最強ラブコメ”の原点

  • 2025.4.26
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編集部内で作成 ※画像はイメージです

1989年、性別を超えて愛されるヒーローが生まれた

「36年前の春、どんなアニメにワクワクしていたか覚えてる?」

1989年といえば、音楽ではプリンセス プリンセスの『Diamonds』やWinkの『淋しい熱帯魚』がヒットを飛ばし、テレビドラマでは『愛しあってるかい!』が話題に。そんな中、土曜夕方の時間帯に登場したのが、まさかの“性別が変わる主人公”を描いた破天荒なアニメだった。

それが――『らんま1/2』。1989年4月15日からフジテレビ系列で放送がスタート。

高橋留美子原作の人気漫画を原作に、“男”と“女”を行き来する少年・早乙女乱馬を中心に繰り広げられるギャグ&ラブ&バトルの物語は、当時の常識を軽やかに裏切るエンタメとして、瞬く間に人気作となった

水をかぶると女になる!?新感覚の“性別チェンジ”アクションラブコメ

物語の主人公・早乙女乱馬は、中国での修行中に呪われた泉に落ちたことがきっかけで、水をかぶると女に、湯をかぶると男に戻るという特異体質になってしまう。

この設定だけでも衝撃だが、そこに武道の達人たちとのバトル、恋の三角関係、家族のトラブルなど、あらゆるジャンル要素が絶妙なテンポで詰め込まれている。

乱馬と許嫁・天道あかねとの“ケンカップル的関係性”も魅力で、照れ隠しと本音が交錯する恋模様は、今見ても共感必至。また、“男乱馬”と“女乱馬”を別声優(山口勝平・林原めぐみ)が演じ分けたことも、作品のユニークさを支える重要なポイントだった。

なぜ『らんま1/2』は当時これほど支持されたのか?

第一に、高橋留美子らしい“明るくて深い”物語構造が挙げられる。

乱馬の性別が変わるという突飛な設定を、社会的な問題提起ではなく、あくまで“日常の一部”として描いたことにより、誰もが抵抗なく楽しめる“日常ギャグ”として成立。

また、性別にこだわらないキャラクター造形は、当時のアニメとしては画期的。女乱馬としての美少女ぶりや、男乱馬のかっこよさは、それぞれ別のファン層を魅了し、“キャラクターで性別の境界を溶かす”という表現が自然に成立しただろう。

さらに、武道を軸としたバトル要素も充実しており、単なるラブコメではないアクションエンタメとしても楽しめる作品だった。

主題歌・キャラクターソングも大ヒット アニソンの“時代を作った”

『らんま1/2』といえば、アニメソングの人気でも特筆すべき存在。

中でも『じゃじゃ馬にさせないで』『リトル☆デイト』など、オープニングやエンディングが毎期入れ替わるたびに話題となり、「らんまの主題歌はハズレなし」という声も多かった。

また、キャラクターごとのイメージソングやドラマCDも数多くリリースされ、“アニメを中心とした音楽カルチャー”の先駆け的存在にもなった。

36年経った今、よりリアルに響く“多様性”のメッセージ

2025年の今、性別や恋愛のあり方がより多様に語られる時代になった。

そんな中で改めて見直されているのが『らんま1/2』が当たり前のように描いてきた、“男でも女でも、どちらの自分も自分”というスタンス。キャラクターたちの個性も、偏見なく受け入れられる環境が作品内に自然と存在しており、令和の今だからこそ響くメッセージ性があったことに、多くのファンが気づき始めている。

『らんま1/2』――それは、36年前に始まった、“性別もジャンルも超える”自由なエンタメ。今も色褪せない“笑って泣ける”最強ラブコメである。


※この記事は執筆時点の情報です。