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「実はニラじゃない!食べるの絶対NG!」最悪死亡のケースも。消費者庁の注意喚起に「これは見分けつかん」

  • 2025.5.6
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出典:photoAC(画像はイメージです)

春の行楽シーズンが終わり、自然の恵みを楽しむ機会が増えるこの時期。しかし、毎年この季節になると消費者庁から発せられる注意喚起があります。それは「有毒植物の誤食」に関するもの。実は春から初夏にかけて、食用の植物と間違えて有毒植物を食べてしまう事故が後を絶ちません。実際に消費者庁の注意喚起には「毎年のようにニュースになる」「慣れていると思ってもご注意を」「これは見分けつかんわ」といったコメントも寄せられており、注目が集まっています。

絶対に採らない!食べない!売らない!人にあげない!

消費者庁は先日、SNSで有毒植物の誤食に関する注意喚起を行いました。その内容は「有毒植物を食用の植物と間違えて食中毒になる事例が、毎年、春先から初夏にかけて発生しています。山菜、野草、観葉植物の誤食にご注意ください」というもの。特に強調されていたのは「食用と確実に判断できない場合は、採らない!食べない!売らない!人にあげない!」という4つの原則でした。

多くの人が「天然・自然のものは一般に安全」というイメージを持ちがちですが、実はそうとは限りません。食材自体が持つ微量の毒成分や、ある成分を大量に食べることで健康被害が起きる場合があります。実際、自然毒による食中毒は毎年多くの被害者を出しており、令和元年には172人(死者3名)、令和2年には192人(死者3名)、令和3年には88人(死者1名)、令和4年には172人(死者4名)、令和5年には129人(死者1名)もの患者が報告されています。

消費者庁が語る「スイセン」と「ニラ」の見分け方

食中毒の原因として多いスイセンは、園芸品として色や形の異なる多くの種類がある多年草です。冬から春にかけて白や黄の花を咲かせるものが多く、開花時期には早咲き系と遅咲き系があります。ニホンスイセンなどの日本種は12月から2月頃、ラッパスイセンなどの西洋種は3月~4月頃に開花します。

問題なのは、スイセンの葉がニラによく似ているため非常に間違えやすいこと。また、ノビルも過去にスイセンとの誤食の例があります。さらに、スイセンの鱗茎(球根)はタマネギと間違えやすいという特徴もあります。

ニラとスイセンを見分ける最も確実な方法は「香り」です。

葉を揉むと(または切ると)ニラはニンニクのような強い刺激臭(ニラ臭)があるのに対し、スイセンの臭いは弱く青臭いだけです。ただし、調理の過程で香りが薄れたり、他の食材の香りに紛れてしまう可能性もあるため、常に注意が必要です。

過去事例から学ぶ教訓は?

特に注意が必要なのが、ニラなどの食用植物とスイセンを間違える事故です。過去には次のような事例が報告されています。

(症例1)
2009年4月29日に兵庫県豊岡市の施設において、ニラと間違って食事に入れられたスイセンの葉を食べた 36~60歳の男女計 8人が、嘔吐や下痢などの食中毒症状を訴えた。うち 5人が病院で手当てを受けたが症状は軽く、回復した。施設の職員が自宅の畑で栽培していたスイセンの葉をニラと勘違いして施設に持ち込み、28日の昼食として卵と一緒に調理し施設利用者らに提供。12人が食べ、8人が間もなく発症した。
(症例2)
2007年5月9日青森県上十三地方の30代と60代の女性 2人がスイセンをニラと間違えて食べて食中毒になった。2人は4月19日、十和田市の道の駅直売所でニラとして販売されていたスイセンを購入。5月7日に酢味噌和えにして食べ、吐き気を訴えて病院の治療を受けた。スイセンは販売者が山でニラと間違えて採取し、販売していた。
(症例3)
2008年4月岩手県盛岡の老人福祉施設の利用者と職員計 5人がスイセンを誤って食べ、嘔吐や下痢などの食中毒症状を訴えた。2人が通院したが、全員回復。同施設の職員、利用者らは 27日夕、散策の最中に食用のノビルと間違えてスイセンを採取。施設に帰り自分たちで調理し、10人がみそ汁に入れて食べた。食べた 10人のうち、職員 1人と利用者 4人が下痢や嘔吐などの食中毒症状を訴えた。

これらの事例から、「専門知識のない人が野草や山菜を採取しない」と「見た目だけで判断してはいけない」という教訓が見えてきます。また、施設や販売所といった複数の人が関わる場所でも誤認識が起きていることから、「確実に安全と分かるもの以外は扱わない」という原則の徹底が何より大切だと言えるでしょう。

まとめ

春から初夏にかけては山菜採りを楽しむ方も多いシーズンですが、有毒植物の誤食事故は毎年のように発生しています。特にスイセンとニラの見分けは素人には難しく、多くの事故を引き起こしています。消費者庁が呼びかけているように「食用と確実に判断できない場合は、採らない!食べない!売らない!人にあげない!」という原則を守り、安全に自然の恵みを楽しみたいものですね。

自然の恵みを楽しむためにも、正しい知識と十分な注意を心がけましょう。


出典:自然毒のリスクプロファイル:高等植物:スイセン類 概要版

出典:自然毒のリスクプロファイル:高等植物:スイセン類|厚生労働省