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38年前、日本中を魅了した“国民的アニメの傑作” 伝説のスイーパーが今なお愛され続ける理由

  • 2025.4.14
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(C)SANKEI

1987年、ハードボイルドなのに笑えて泣ける“新感覚アニメ”が誕生した

「38年前の今頃、どんなアニメに夢中になっていたか覚えてる?」

1987年といえば、アニメは『ドラゴンボール』や『タッチ』などジャンルを超えた名作が並び、音楽では中森明菜がヒットチャートを賑わせていた。ファミコンブームは頂点を迎え、日本中がエンタメに熱狂していた時代。

そんな中、テレビの前に座る誰もが目を奪われた“ちょっと危ない男”がいた。

冴羽リョウ——『シティーハンター』。

新宿を舞台に、事件の匂いがする美女からの依頼に応える“始末屋(スイーパー)”リョウと、その相棒・槇村香。
この作品は、「銃とギャグと涙」が交差する、新たなアニメの可能性を切り拓いたのだった。

シティーハンターとは? “もっこり”の裏に隠れたプロの矜持

『シティーハンター』は、北条司による漫画を原作に、1987年から読売テレビ制作・日本テレビ系列で放送されたアニメシリーズ。

冴羽リョウは普段はスケベで軽薄な男。しかし、銃を構えたときの彼は、超一流のスナイパー。
依頼人の女性にはちょっかいを出しながらも、必ず最後には命を懸けて守り抜く——そのギャップが、圧倒的な魅力だった。

また、香の「100tハンマー」での制裁や、敵との頭脳戦、悲しくも切ないラストに向かう回など、一話完結型でありながら毎回濃密な人間ドラマが描かれていたのも大きな特徴。

なぜ『シティーハンター』は時代を超えて愛されるのか?

最大の理由は、“大人も楽しめる”アニメだったからだろう。

当時のアニメといえば、少年向け・子供向けが主流だったが、『シティーハンター』はアクション、ラブコメ、シリアス、サスペンスと、すべての要素が詰まった「大人のためのアニメ」だった。

そしてもうひとつの魅力は、主題歌の力
特にTM NETWORKの『Get Wild』は、エンディングでの余韻を何倍にも引き上げる“伝説のアニソン”として今も語り継がれている。

事件が解決し、依頼人の女性が涙をこらえて去っていく。
その後ろ姿に流れる「Get Wild」。
言葉では語らない“別れの美学”が、音楽と共に強烈に焼きついた。

『シティーハンター』が残したものと、現在の姿

『シティーハンター』は、1980〜90年代を象徴する“クールだけど笑えるヒーロー像”を定着させた作品だった。

近年に入っても人気は衰えず、2019年には劇場版『シティーハンター〈新宿プライベート・アイズ〉』が公開。さらにフランスで実写映画版が制作され話題となり、2023年には新作アニメ映画『劇場版シティーハンター 天使の涙』も公開され、幅広い世代のファンを獲得し続けている。

また、2024年にはNetflixで日本初の実写映画も配信されるなど、その人気は“進化しながら続いている”。

38年経っても響き続ける、“Get Wild”な生き様

リョウの生き方は、いつだって不器用で、格好悪くて、それでも誰よりもカッコよかった。

「愛とは何か」「守るとは何か」
そんな重たいテーマを、銃とギャグと音楽で描いてみせた『シティーハンター』。

今見返しても、何も古びていない。
むしろ、SNSが発達し、すべてが軽く流される今の時代だからこそ、
あの“命を懸けて守る”スタイルが、ぐっと心に響くのかもしれない。

『シティーハンター』——それは、38年経っても愛される、最も“泣けるアクションコメディ”なのだ。


※この記事は執筆時点の情報です。