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35年前、日曜夜の定番になった“国民的アニメ” 日本中が夢中になり、変わらない温かさに支えられた“お茶の間の物語”

  • 2025.4.13
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(C)SANKEI

1990年、まる子と家族が“お茶の間の風景”になった

「35年前の今頃、どんなアニメを家族みんなで観ていたか覚えてる?」

1990年といえば、音楽では米米CLUBの『浪漫飛行』が大ヒットし、バブル期の真っ只中にありながら、どこか「懐かしさ」や「庶民的な温かさ」を求める空気も漂っていた。

そんな時代に、“家族で安心して笑える”アニメが誕生した。
『ちびまる子ちゃん』——1990年1月7日、フジテレビ系列で放送スタート。

以来、世代を越えて愛され続けるこの作品が、なぜ今も人々の心をつかんで離さないのか。
その魅力を改めて振り返ってみよう。

“まる子の日常”=“私たちの思い出”

主人公・さくらももこ(通称まる子)は、小学3年生。
静岡のとある町に住み、両親・姉・祖父母と暮らす、ごく普通の少女。

テストで赤点を取り、忘れ物をして、友だちとケンカし、母に怒られ、でもちゃっかりお菓子をもらってご機嫌になる——
そんな“等身大の子ども”の姿を描いたこの作品は、特別なことは起きないのに、ずっと観ていられる心地よさがある。

誰もが経験したような小さな失敗や、家族とのやり取りがユーモアたっぷりに描かれ、「あ〜あるある!」と笑える。
それでいて、時折ほろりと涙を誘う場面も忘れず、視聴者の心を優しく包み込んでくれる。

“おどるポンポコリン”が国民的アニメを決定づけた

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(C)SANKEI

オープニング曲『おどるポンポコリン』は、B.B.クィーンズが歌い、1990年最大のヒット曲に。
軽快でポップなメロディ、奇抜な歌詞、耳に残るリズム。
初めて聴いた瞬間から「何だこれ!?」と思わせるインパクトがあった。

なんでもかんでも みんな
おどりをおどってるよ

そんな自由で無邪気な世界観は、ちびまる子ちゃんの本質そのものだった。

この曲のヒットは、作品を“アニメ”という枠を超えた文化現象へと押し上げ、子どもから大人までが日曜の夕方を楽しみにする習慣を作っていった。

なぜ“昭和の風景”が今も心に響くのか?

ちびまる子ちゃんの舞台は、1970年代の静岡。
まだテレビはブラウン管で、冷蔵庫の音がうるさくて、電話は黒電話——そんな昭和の日常風景が、細部まで丁寧に描かれている。

「昭和あるある」が詰まったこの世界に、平成生まれ・令和育ちの子どもたちも惹かれてしまうのは、そこにあるのが**“時代じゃなくて、人の温かさ”**だから。

ズルいことをしても怒られるけど、ちゃんと愛されている。
お金がなくても、家族で過ごす時間がいちばんの宝物。
そうした価値観が、自然とにじみ出ているからこそ、何年経っても色褪せないのだ。

35年経っても、“まる子”は変わらない存在

2025年の今もなお、『ちびまる子ちゃん』は日曜の夕方に放送され続けている。
作者・さくらももこさんは2018年に逝去されたが、その世界観は受け継がれ、今日も子どもたちの笑い声を生んでいる。

人生の中で「疲れたな」と思ったとき、何も考えずにまる子を見てみる。
すると、ふと心が軽くなって、「ああ、自分もこんな子どもだった」と思い出す。

ちびまる子ちゃんは、私たちの中にずっといる“忘れかけていた自分自身”。
だからこそ、35年経った今でも、日本中の家族にとって変わらない“日常の隣にある物語”であり続けている。


※この記事は執筆時点の情報です。