1. トップ
  2. 10秒で計算できるインド式計算法!「6112÷9」→暗算できる?

10秒で計算できるインド式計算法!「6112÷9」→暗算できる?

  • 2025.3.27
undefined

桁数の大きい割り算を暗算するのはなかなか難しいものです。しかし、9で割る割り算には便利な暗算方法があります。

今回の問題も、この暗算方法を使えばスピーディーに計算できますよ。

問題

次の計算を暗算でしなさい。答えは整数で求め、余りが出る場合は余りも答えましょう。
6112÷9

※制限時間は10です。

解答

正解は、「679余り1」です。

頭の中で筆算をしても、なかなかこの答えにはたどり着けないでしょう。

どのように暗算したらよいのかは、次の「ポイント」で確認できます。

ポイント

この問題のポイントは、「割られる数の各桁の値を足していく」という暗算方法です。

具体的には、次のように計算をします。

<四桁の数1000a+100b+10c+d÷9の暗算方法>
※aは千の位、bは百の位、cは十の位、dは一の位の数を表す(aは1以上9以下の整数、b,c,dは0以上9以下の整数)

以下の手順で、答えの各桁と余りの数を計算します。

手順1:答えの一番大きい位(ここでは百の位)=a
手順2:答えの二番目に大きい位(ここでは十の位)=a+b
手順3:答えの三番目に大きい位(ここでは一の位)=a+b+c
手順4:余り=a+b+c+d

※手順1〜3の計算の途中で答えが10以上になった場合は、繰り上げる。
※手順4で余りが9以上になった場合は、一の位に9の個数分の数を繰り上げる。

この暗算方法は、インド式計算法の一種として知られています。

さっそく、この暗算方法を使って今回の問題の答えを求めてみましょう。

<6112÷9の暗算方法>
1.答えの一番大きい位(ここでは百の位)=6
2.答えの二番目に大きい位(ここでは十の位)=6+1=7
3.答えの三番目に大きい位(ここでは一の位)=6+1+1=8 
4.余り=6+1+1+2=10(9以上になる)
「10÷9=1余り1」なので、答えの一の位に1を繰り上げ、余りは1にする。

繰り上げ後
・一の位は8+1=9
・余りは1

答え:679余り1

この暗算方法ならば、簡単な足し算をするだけで割り算の答えと余りが求められます。

この暗算方法が成り立つ理由

ここで紹介した「9で割る割り算の暗算方法」が成り立つのはちゃんとした理由があります。

まず、四桁の数を「1000a+100b+10c+d」という式で表します。これを9の倍数が現れるように変形していきます(変形する部分を強調した太字部分に注目してください)。

  1000a+100b+10c+d
=900a+100a+100b+10c+d ←1000aを900aと100aに分解
=900a+100(a+b)+10c+d
=900a+90(a+b)+10(a+b)+10c+d ←100(a+b)を90(a+b)と10(a+b)に分解
=900a+90(a+b)+10(a+b+c)+d
=900a+90(a+b)+9(a+b+c)+(a+b+c)+d ←10(a+b+c)を9(a+b+c)と(a+b+c)に分解
=900a+90(a+b)+9(a+b+c)+(a+b+c+d)
=9{100a+10(a+b)+(a+b+c)}+(a+b+c+d)

「9{100a+10(a+b)+(a+b+c)+(a+b+c+d)}」を9で割ると、答えは「100a+10(a+b)+(a+b+c)」になり、余りが(a+b+c+d)になります。これは、先に紹介した暗算手順と一致しますね。

繰り上げについて

この暗算方法では各桁を足して割り算の答えを出す際に、10以上になったときは、上の位に数を繰り上げるのでした。

先に説明した答え「100a+10(a+b)+(a+b+c)」のaや「a+b」、「a+b+c」は答えの各位の数を表しています。これらが10以上になったとき、繰り上げが起こるのは自然ですね。

また、余りの「a+b+c+d」が9以上だった場合も繰り上げが起こります。「a+b+c+d=9×e+f(e≧1、0≦f<9)」と表し、次のように変形していきましょう(e,fは整数、fはa+b+c+dを9で割った余りを表しています)。

  9{100a+10(a+b)+(a+b+c)}+(a+b+c+d)
=9{100a+10(a+b)+(a+b+c)}+9×e+f(e≧1、0≦f<9)
=9{100a+10(a+b)+(a+b+c+e)}+f ←余りに含まれる9の個数(e)を答えの一の位に繰り上げる

これで、暗算の手順4で余りが9以上になったときの繰り上がりも説明ができますね。

まとめ

今回は、9で割る割り算の暗算方法について紹介しました。

足し算は割り算に比べて比較的簡単に答えを出せます。割り算の問題を各位の数の足し算問題としてとらえることで、暗算がしやすくなります。

ただし、この暗算方法は9で割る場合にしか使えません。暗算方法が成り立つ理由を見れば、他の数で割るときには利用できないことも分かるでしょう。

もし、9で割る割り算に出会ったら、ぜひこの暗算方法を試してくださいね。

※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。 あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。



文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。


もう一問挑戦!

20秒で計算してみて!「7128÷9」→暗算できる?
20秒で計算してみて!「7128÷9」→暗算できる?