桁数の多い掛け算は筆算して計算するのが一般的ですが、ある工夫をすることで暗算することができます。この問題を通して、その工夫の仕方を身に付けましょう。
問題
次の計算をしなさい。
720×5
筆算でも答えを出すことができそうですが、ここでは「×5」に注目して計算していきます。
解説
答えは「3600」です。
では、どのような工夫をして計算しているのでしょうか。次のポイントにまとめましたので、ご確認お願い致します。
ポイント
この問題で注目する部分は「×5」です。「×5」を「×10/2」にしてから計算するということですね。
「×10/2」は「10倍してから2で割る」という意味ですので、「×5」と同じ意味になりますね。よって、元の式を以下のように変形することができます。
720×5
=720×10/2
計算の仕方ですが、720に10倍してから2で割る方法を使うか、約分してから計算する方法がありますので、それぞれの方法で計算していきます。
<10倍してから2で割る>
720×5
=720×10/2
=7200÷2
=3600
<約分してから計算する>
720×5
=720×10/2 ←720と分母の2を約分する
=360×10
=3600
いかがですか。どちらの方法で計算しても同じ答えを得ることができました。
別解
この計算では、「分配法則」を使って計算することもできます。この法則は掛け算を分けて配る法則のことで、以下のように変形することができます。
<分配法則>
a(b+c)
=a×b+a×c
=ab+ac
では、どのように使っていくのかというと、桁の大きい数を二つの数に分ければいいのです。
二つの数に分けるというのは、720をを700と20に分けるということです。つまり、「720=700+20」に変形します。このように変形すれば分配法則を使うことができます。
なぜ「720=700+20」に変形したのかというと、700と20の掛け算はすぐに計算できるからです。実際に計算してみましょう。
720×5
=(700+20)×5
=700×5+20×5
=3500+100
=3600
「700×5」と「20×5」の計算は、最初の形よりも計算がしやすいのではないでしょうか。
上記のように、計算しやすい数に変換することで簡単に計算ができますね。
まとめ
何気ない筆算でも数をうまく変形することで、簡単に計算できるようになります。
別解で紹介した分配法則はさまざまな計算を簡単にしてくれるものです。たくさん計算演習を積んで、いつでも使えるようにしましょう。
計算は、一問や二問だけしてもあまり意味がありません。計算こそたくさん演習を積んで、理解度を深めていくことがとても大事になってきます。類似問題にもぜひチャレンジしてみてください。
※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。
あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文(編集):ニシケン
2年間、地方の学習塾に勤めて独立。現在はプロの家庭教師として働きながら、都内の難関私立中学や高校の予想問題や適性検査の執筆活動を行っている。どんな人が見てもわかりやすい解答解説作成を志す。
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