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なぜ、視聴者を魅了する? 年を重ねるごとに変化する多部未華子、5年ぶりのTBSドラマ主演にかかる“期待”

  • 2025.3.31
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火曜ドラマ『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』 (C)TBS

4月1日から放送が開始する『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』。『私の家政夫ナギサさん』以来、5年ぶりに多部未華子がTBSのドラマ主演を務める。朱野帰子による同名小説を原作としたもので、複数の家庭を通して、家事労働について捉えなおす内容だ。

多部未華子の凛とした佇まい

多部未華子は、映画『HINOKIO』『青空のゆくえ』でブルーリボン賞を受賞して以降、コンスタントな活躍を見せる女優だ。TBSドラマ『山田太郎ものがたり』では、その独特な可愛らしさと抜群の演技力で、視聴者に愛されるキャラクターを作り上げた。1500名以上もの中からオーディションを経て抜擢された連続テレビ小説『つばさ』のヒロイン、民放ドラマ初主演となった『デカワンコ』など、10代20代から着実にキャリアを積み重ねてきた女優だ。

30代になり、一つの転機となったのが、『これは経費で落ちません!』で演じた森若沙名子だ。経理部で働く20代後半のOLを演じ、等身大の働く女性像を丁寧に表現し、高い評価を得た。翌年には、『私の家政夫ナギサさん』で、MRとして忙しく働く、家事が苦手なOL・相原メイを好演。凛とした佇まいのなかにある可愛らしさと仕事に恋に揺れ動く働く女性の機微を表現する繊細な演技力が、30代の多部の魅力と言えるだろう。

『マイファミリー』では母親役を演じ、多部自身のライフステージの変化を反映するように、演じる役柄の幅も広がった。『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』では、どんな母親を演じるのか注目だ。

一筋縄ではいかない現代女性像を丁寧に表現

『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』の主人公・村上詩穂は、家族のために家事をすることを選んだ専業主婦。自分の選択した生き方のはずなのに、専業主婦という生き方にどこか引け目を感じている役柄のようだ。

幸せなはずなのに、なぜか苦しいという複雑な葛藤を、多部ならリアルに演じてくれるだろう。というのも近年、多部が演じてきた役柄は、一筋縄ではいかない現代女性の複雑な価値観を反映したキャラクターが多かった。『いちばん好きな花』では、主演の一人である潮ゆくえとして、優しすぎるが故の人との思考の違いや距離感に悩む姿を細やかに表現。時に、他の登場人物たちを導くような優しいセリフが、多部の柔らかく響く声で届けられることで、本作独特の温もりを作り上げていた。

2025年新春ドラマ『スロウトレイン』では、主人公の妹である渋谷都子をしなやかに演じて見せた。主人公・葉子を振り回すかのような言動を見せたかと思いきや、その裏には姉を思う優しさや結婚に対する葛藤が隠されており、二面性のある魅力的なキャラクターを生き生きと見せてくれた。

生き方が多様化したことで、世間的な常識との間で葛藤し悩む女性が多い現代。多部は、言葉では説明しづらい複雑な悩みを抱える女性に寄り添うかのように、一つ一つの役を誠実に演じている。『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』でも、専業主婦という生き方に対して、引け目を感じてしまう詩穂の感情を丁寧に表現してくれるだろう。

火曜ドラマ『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』4月1日よる10時スタート



ライター:古澤椋子
ドラマや映画コラム、インタビュー、イベントレポートなどを執筆するライター。ドラマ・映画・アニメ・漫画とともに育つ。X(旧Twitter):@k_ar0202