整数の割り算は難なく計算できるという人でも、小数の割り算は苦手という人はいるでしょう。
難しさの原因は「小数点の扱い方」だと思いますが、基本的なルールを身につければ、意外と簡単に計算できるかもしれませんよ。
問題
次の計算をしてください。
1.2÷0.3÷0.04
解答
正解は、「100」です。
思ったよりも大きな数になって、驚いたという人もいるかもしれませんね。
小数だらけの式の答えが三桁の整数になる理由は、次の「ポイント」で確認できますよ。
ポイント
この問題のポイントは、「小数点の移動」です。
基本的に小数の割り算は、次のルールを覚えておけば、簡単に計算できるようになります。
小数の「割る数」が整数になるまで、小数点を右に移動する→「割る数」の小数点を移動した桁分だけ、「割られる数」の小数点も右に移動する
実際にやってみましょう。
1.2÷0.3÷0.04
まず冒頭の「1.2÷0.3」の計算をします。割る数である0.3が整数になるには、小数点を右に一桁移動すればよいですね(0.3→3)。同じく、「割られる数」である1.2も小数点を右に一桁移動しましょう(1.2→12)。後は計算するだけです。
1.2÷0.3÷0.04
=12÷3÷0.04
=4÷0.04
次の計算も同じです。「割る数」である0.04が整数になるには、小数点を右に二桁移動すればよいですね(0.04→4)。同じく、「割られる数」である4の小数点も右に二桁移動します(4→400)。
4には小数点が存在しないように思えますが、4=4.0と考えれば小数点が見えてきます。4.0の小数点を右に二桁移動すると、400になりますね。
4÷0.04
=400÷4
=100
これで答えを出せました。
計算方法の背景
小数の割り算は、割られる数、割る数の小数点を移動して計算しました。
しかし、小数点を勝手に移動してしまうと、割り算の答えが変わってしまったりしないのでしょうか?
そんな疑問を持つ人は、割り算を「分子/分母」の分数にしてみましょう。
1.2÷0.3
=1.2/0.3
分数では、分子と分母に同じ数を掛けても表している数は変わりません。
よって、次のように変形しても式の意味は変わらないのです。
1.2/0.3
=(1.2×10)/(0.3×10)
=12/3
=12÷3
「割られる数」と「割る数」の小数点の位置を移動することは、分子と分母に10の倍数を掛けることと同じです。分子と分母に同じ数を掛けても分数の表している数は変わらないので、割り算の意味も変わらないのです。
まとめ
今回の問題では、小数の割り算に挑戦しました。
小数の割り算では、まず、「割る数」が整数になるまで小数点を右に移動させます。次に、「割る数」の小数点を移動した桁分だけ、「割られる数」の小数点も右に移動させます。
小数の計算では、小数点をどこに置くかが重要になります。四則演算(足し算・引き算・掛け算・割り算)それぞれで、小数点をどのように扱うか確かめておきましょう。
他の小数に関する問題にも、ぜひ挑戦してみてくださいね。
※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。 あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
監修:株式会社カルチャー・プロ(公式HP / インスタグラム)
「誠実なモノづくり」を信条とし、高い専門性を有する編集者が幼児から大人向けまで幅広い年代に向けての学習教材を制作する編集プロダクション。家庭や学校、塾などで日々使われている教材だけでなく各種テストや教養系の一般書などを制作。社会や教育を取り囲む環境の変化に対応するため、新しい技術にも着目し、教育業界の未来も模索しながら、下支えしている会社。社内はフラットに意見が言い合える雰囲気で、パートナー、クライアントからの信頼も厚い。
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