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『RYUJI 竜二』柳楽優弥×JUNON、役柄とリンクする関係性で兄弟分を体現「柳楽さんのような人間になりたい」

  • 2026.11.7

金子正次が主演、脚本を務めた1983年公開の伝説の映画『竜二』を、43年の時を経て新たな時代の感情を散りばめながらリメイクした『RYUJI 竜二』(公開中)。1980年代の新宿歌舞伎町を舞台にした本作は、愛する者を守るために裏社会から足を洗い、カタギとして生きようともがく男、竜二の姿を家族や“もう一つの家族”でもある舎弟たちとの関係を通して描きだしていく。

【写真を見る】劇中さながらのワイルドな表情を見せた、柳楽優弥&JUNONを撮りおろし

主人公の竜二を、圧倒的な存在感で観る者を魅了する柳楽優弥が演じ、竜二を心から愛する芯の強いヒロインのまり子を川栄李奈が体現。竜二を慕う舎弟コンビ=直とひろしに萩原利久とB:FIRSTのJUNONが扮するほか、主題歌にはBE:FIRSTの「It’s not a bad life」、劇中歌にはJUNONがカバーする玉置浩二の名曲「メロディー」を採用。『謝罪の王様』(13)や「ゆとりですがなにか」など、人間の弱さと再生を描く演出に定評がある水田伸生監督が再構築した、映画の感動をよりドラマチックなものにしている。そんな話題の映画で初共演した柳楽とJUNONが、劇中でも現実の世界でも兄貴と弟のような関係性だった撮影現場の裏側や“カッコいい男”について語り合った。

「この現場で生まれたものが今回の『RYUJI 竜二』らしさになったら」(柳楽)

舞台は昭和59年から平成2年にかけた新宿・歌舞伎町。ヤクザの竜二(柳楽)はチンピラたちが震え上がるほど腕っぷしが強く、舎弟たちの不始末にも自らの身体を張って対処する任侠の世界で生きる男だった。だが、まり子(川栄)と出会い、息子が生まれたのを機に、愛する家族を守るために裏社会から足を洗うことを決意。酒屋の配達員として働き、慎ましくも穏やかな暮らしを手に入れるが…。

――お2人は竜二とひろしのどんなところを大切にしながら演じられましたか?

家族のように生きてきた竜二(柳楽優弥)、直(萩原利久)、ひろし(JUNON) [c]2026「RYUJI」製作委員会
家族のように生きてきた竜二(柳楽優弥)、直(萩原利久)、ひろし(JUNON) [c]2026「RYUJI」製作委員会

柳楽「オファーを最初にいただいたのは7年ぐらい前だったんですけど、当時の僕は29歳ぐらいですから、あの時の自分には竜二を演じることはできなかったなと改めて思います。それにオリジナルの『竜二』はあの時代に生まれるべくして生まれた雰囲気があるので、単に“再現する”ような作品ではない。月日が経つうちに(経験と実績の積み重ねで本作に挑む)自信が備わってきたという感じです。ただ、オリジナルの『竜二』を追いかけてはいけないなという気持ちはありました。今回の作品だからこその運命的ななにかが欲しかったし、この現場で生まれたものが今回の『RYUJI 竜二』らしさになったらいいなと思っていました」

JUNON「ひろしはヤクザという肩書きを外したら、普通にそのへんにいる、すごく真面目な人間です。それに、ヤクザ映画ではあるけれど、ヒューマンドラマとしての側面もある作品だし、いちばん大事なのはそちらだと思っていたので、ヤクザではなく、1人の真っ直ぐな人間を演じるつもりで臨みました。そこには迷いはなかったですね。ヤクザになってまだ日の浅い、一般人に近い感覚の役柄でもあったので、そういう意味でも演じやすかったです」

――初共演で、本作の兄弟分という関係性はどのように築かれたのでしょう?

柳楽「僕が年齢的にちょっと上で、(萩原)利久くんとJUNONくんがほぼ同い年なので、このトライアングルは比較的自然に演じられたような気がします。それにJUNONくんがいま話したように、ヤクザの世界というある種ファンタジーの設定を借りたヒューマンドラマですし、互いに悩んだり、衝突しながら取捨選択する普遍的な関係を描いているので自然な状態で現場にいることができて。その空気感は水田監督が作ったものかもしれないけれど、力んだり、“今日からヤクザだ!”みたいに気合を入れることもなかったです(笑)」

裏社会で生き、腕っぷしの強さと度胸で組からの信頼も厚い竜二 [c]2026「RYUJI」製作委員会
裏社会で生き、腕っぷしの強さと度胸で組からの信頼も厚い竜二 [c]2026「RYUJI」製作委員会

JUNON「役柄と実際の僕の立ち位置がうまくリンクしていました。柳楽さんと萩原さんは役者としても芸能界でも先輩ですけれど、役柄的にも竜二さんがいて、萩原さんが演じた直さんと僕が演じるひろしも、僕のほうが弟分という現実とそんなに変わらない関係性だったので、現場に自然に溶け込むことができました。そこはすごくありがたかったですね」

「柳楽さんには役柄とリンクして、引っ張っていってもらった感覚がありました」(JUNON)

――初めて共演されたお互いの印象も教えてください。

JUNON「僕はいままで観てきた作品の印象で、お会いする前の柳楽さんはちょっと怖い人なのかな?という勝手なイメージがあったんです。でも、実際にお会いしたらめちゃくちゃ優しい、物腰の柔らかい方で。よく話しかけてくれましたし、僕たちのグループのオーディション番組も観ていたという話をしてくださったり、リラックスできる環境を作ってくださったので、それまでの印象がひっくり返りました(笑)。いや、別に怖い人だったらダメっていうわけではないけれど、映画出演は2作目で緊張して現場に入っていたから、そうやって話しかけてくださったことがすごくうれしかったんです」

――竜二と重なるところもありました?

JUNON「柳楽さんはカメラが回った瞬間にスイッチが入って竜二になるから、自分もその背中を見てしっかり役に入り込むことができました。そこは本当に役柄とリンクして、引っ張っていってもらった感覚がありましたね」

オリジナル映画を追いかけるだけではない、いまの時代だからこその『RYUJI 竜二』を目指したという柳楽優弥 撮影/Jumpei Yamada(ブライトイデア)
オリジナル映画を追いかけるだけではない、いまの時代だからこその『RYUJI 竜二』を目指したという柳楽優弥 撮影/Jumpei Yamada(ブライトイデア)

――柳楽さんにとってもJUNONさんは可愛い弟分みたいな存在でしたか?

柳楽「いや本当、可愛かったですね。JUNONくんがいま話したオーディション番組は、家族が見ていたから僕もたまたまプライベートで見ていて。そういった前情報ももちろんあったんですが、彼が今回の現場で築き上げたものは、それらとは違うさらに特別なもの。2度目の映画出演なのに、役者としてだけではなく、BE:FIRSTのメンバーとして主題歌の『It’s not a bad life』を歌い、玉置浩二さんの名曲『メロディー』のカバーもされているわけですからね。ドキドキした瞬間もたぶんいっぱいあったと思うんですけど、そこにしっかり応えていくところは流石だなと思ったし、僕もアーティストの方とご一緒してインスピレーションを得る機会が多くはないので、そこは新鮮だった。出会えて本当によかったです」

――お互いに似たところもありますか?逆に正反対だなとか、羨ましいなと思うところがあったらそれも教えてください。

柳楽「似ているのは僕も彼も英語の勉強を懸命にしているところ。勉強している者同士、日進月歩で成長していく感覚を話し合うのも楽しかったけれど、JUNONくんがスゴいのはやっぱりアーティストと俳優、2つの世界を知っていること。BE:FIRSTのライヴに行った利久くんが『あの瞬間、僕はJUNONになりたかった!』って言っていたけれど、その気持ちもすごくよくわかりましたから」

ひろしから竜二に対する気持ちと同じく、柳楽への憧れを口にしたJUNON 撮影/Jumpei Yamada(ブライトイデア)
ひろしから竜二に対する気持ちと同じく、柳楽への憧れを口にしたJUNON 撮影/Jumpei Yamada(ブライトイデア)

JUNON「僕はいつもカッコいい柳楽さんが羨ましい。本当に普段からカッコいいんですけど、竜二という役を背負ってカメラの前でなにも言わずに1人で立っているだけで周りの人たちにカッコいいって思わせてしまう。最後のシーンなどは特にそうでしたが、僕も柳楽さんのような人間になりたいです」

柳楽「(照れ臭そうに)いや、いや、いや(笑)」

――ご自身が柳楽さんと似ていると思うところもありますか?

JUNON「似ている部分ですか?そんなおこがましいことは言えないですけど、先ほどの英語の勉強の話は確かに一緒で。撮影時に柳楽さんから『語学学校に通っている』っていう話を聞いて、いいなと思ったのでマネージャーさんに相談したら実現したんです」

柳楽「語学学校は絶対に行ったほうがいいですよ!いろんなタイプの生徒がいて、けっこう鍛えられますからね」

「今回の『RYUJI 竜二』にはJUNONくんが歌う『メロディー』がピッタリだと思った」(柳楽)

JUNONは俳優だけではなく、アーティストとしても本作に携わった 撮影/Jumpei Yamada(ブライトイデア)
JUNONは俳優だけではなく、アーティストとしても本作に携わった 撮影/Jumpei Yamada(ブライトイデア)

――JUNONさんは、先ほどの「メロディー」を自分がカバーするという話を最初に聞いた時はどう思われました?

JUNON「すごくビックリしたし、怖かったですね。大先輩の楽曲ですし、映画の世界観をあの名曲と重ね合わせながらちゃんと表現しきれるのか?というところですごい緊張感とプレッシャーがあったんですけど、アーティストとして参加させていただいているからには、そこはしっかりやりたいと思って臨みました」

柳楽「ほんとに綺麗な歌声でしたよ。一緒に撮影していたキャストが主題歌やエンディングテーマのカバー歌うのは初めてだったから、頑張ってねっていう応援するファン側の気持ちにもなっていて。実際に映画で観た時には今回の『RYUJI 竜二』には彼が歌う『メロディー』がピッタリだと思ったし、仲間意識みたいなものがより深まって、なんかうれしかったですね」

JUNON「ありがとうございます。僕も完成した映画を初めて観た時に大丈夫かな?ってけっこう不安だったんですけど、気づいたら涙が流れていて。竜二のラストの画にいい感じで当ててくださっていたのですごく感動しました」

「普遍的なテーマを扱ったヒューマンドラマになっているなと思います」(柳楽)

――劇中には感情的なやり取りをするシーンもかなりありましたが、事前に作っていったものではなく、その時に芽生えた感情を爆発させるような瞬間もありましたか?

揺らぐことはないと思われた3人の絆だったが、竜二がカタギになると決意したことで変化が訪れる [c]2026「RYUJI」製作委員会
揺らぐことはないと思われた3人の絆だったが、竜二がカタギになると決意したことで変化が訪れる [c]2026「RYUJI」製作委員会

JUNON「僕の場合それは、竜二との約束を破って“ある人物”に会いに行くクライマックスの一連ですね。自分のなかではあそこがけっこう山場で。緊張もしましたし、気合を入れて臨んだシーンだったんですけど、自分が想像して作り上げた感情では計り知れないぐらい現場の情報量が多くて。演じながら膨れ上がる感情や必要なものが見えてきたから難しかったんですが、あのシーンを通して自分も成長できたし、とても勉強になりました」

柳楽「僕もそこですね。やっぱりすごく大切なシーンですから、監督とも話し合ったし、みんなで『いいシーンにしよう!』って言いながら同じところを目指して。その空気も含めて、描かれるべきものがしっかり表現されていたからすごく印象に残っています」

――ちなみに、お2人がカッコいいと思うのはどんな人ですか?

柳楽「ええ、カッコいいってなんなんだろう?見た目の渋さだけではないような気がするし、やっぱり精神年齢が成熟した人についていきたくなるのはあるかもしれないですね」

JUNON「どういう人なんですかね?考えたこともなかったし、カッコいいって思った時がカッコよかったりしますから(笑)」

――幼少期のころでもいいのですが、カッコいいなと思って憧れたような人はいなかったですか?

JUNON「子どものころ?うーん、逆にアーティストになってからで言うと、やっぱりマイケル(・ジャクソン)かな。前からずっと思っていましたけど、今年公開された彼の映画を観て、改めてカッコいいなと思いました」

柳楽「あーマイケル!やっぱりカッコいいんだね」

JUNON「はい。でもそれは、マイケルのそれまでの苦労や成功といったいろいろな情報を知っているから思うこと。決して見た目がカッコいいからということだけではなく、マイケルが歩んできたストーリーがあるからカッコよく映るんですよね」

柳楽「僕は好きな俳優はいましたけど、ヒーローのような存在までにはならなくて。ブラッド・ピットのようなレジェンド俳優も、もはや『普通に好き』という感じだし…それこそ自分が模範にしてきた人は、16年ぐらい通っている合気道の先生かもしれない。実生活ではやっぱり俳優より、そういう身近な人のほうが“メンター”と呼べるかもしれないです。学ぶことも多いような気がしますね」

柳楽は竜二という男の生き様を、どう捉えていたのか 撮影/Jumpei Yamada(ブライトイデア)
柳楽は竜二という男の生き様を、どう捉えていたのか 撮影/Jumpei Yamada(ブライトイデア)

――それでは今作の竜二の生き様についてはどんな感想を持たれました?

JUNON「そうですね。ヤクザという肩書きは置いておいて、竜二は自分の大切なもの、愛する者を守ることを真っ先に考えて、すぐに行動に移せる人。そういう男らしいところにやっぱり憧れるし、カッコいいなと思います」

柳楽「竜二は自分で人生の選択をしてきたのではなく、意識が他者に向いているような気がします。だから、肝心なことはなかなか決められない。そんな矛盾を抱えた精神構造は現代の人たちにも通じる、普遍的なものだと僕は思っていて。オリジナルの『竜二』はバブル前の新宿が舞台ですけど、あの作品を観た時に、ヤクザの世界に身を置く竜二は自分の迷いみたいなものを正そうとするけど、なにが正しいのかわからなくて、もがいているように見えたんです。本作の竜二もそこは似ていると思いました。AI革命なども始まり、歪みや変化が起きたこの時代で、彼はたぶん“自分は時代に追いつけているんだろうか?”“どういう生き方をするのが正しいんだろう?”という自問自答をしていたんじゃないかな。僕もまだいまの時代におけるこの作品の存在意義がどこにあるのかわからなくて、探しているところですが、いまの時代には人情に生きている人たちが必要なのかなと思ったし、意外と普遍的なテーマを扱ったヒューマンドラマになっているなと思います」

愛する女性と出会い、足を洗う決意をした竜二。その行く末を劇場で目撃してほしい [c]2026「RYUJI」製作委員会
愛する女性と出会い、足を洗う決意をした竜二。その行く末を劇場で目撃してほしい [c]2026「RYUJI」製作委員会

取材・文/イソガイマサト

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