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「今日もありがとう。あなたのことが好きです」に既読だけつけた僕→5時間かけて向き合っていたこと

  • 2026.11.8
ハウコレ

「忘れていいからね」と届いたとき、返事を打ちかけました。でも、それでは足りない気がしたのです。書き損じの便箋が机の上に積み重なっていくのを見ながら、僕はペンを握り続けました。
帰りの電車でスマホが震え、何気なく開いた画面を見て、僕は目を疑いました。その日3回目のデートをした彼女から、「好き」という言葉が届いていたのです。返事を打とうとして、親指が画面の上で迷いました。

打てなかった返事

「今日もありがとう。あなたのことが好きです」

彼女とは、友人の紹介で知り合ったばかりで、まだ付き合ってはいません。すぐに既読をつけて「僕も好きです」と打ちましたが、送る前に読み返して消しました。

彼女はきっと、何度も迷ってこの文面を送ってくれた。それに、数秒で打てる返事でいいのか。僕は昔から、気持ちをすぐに言葉にするのが苦手です。メッセージで軽く返せば、本当の気持ちの半分も伝わらない気がしました。

家に着いて、机の引き出しを開けました。そこには水色の便箋が入っていました。2回目のデートで寄った文房具店で、彼女が「この色かわいい」と言っていたものです。あの日、別れたあとに引き返して買いました。

書き損じの山

ペンを持つと、書きたいことはたくさんあるのに、うまく並びませんでした。書いては破り、また書いては破りました。

2時間ほどたった頃、スマホが光りました。
「ごめん、急にこんなこと言って。忘れていいからね」

すぐに返そうとして、打ちかけた文面を消しました。ここで「違うよ」とだけ送っても、彼女は安心しきれない。中途半端な言葉で、手紙の意味をなくしたくありませんでした。

彼女はいま、どんな気持ちで画面を見ているのだろう。急がなければと思いながらも、ペンは置けませんでした。紹介された日、緊張して何も話せなかったこと。本屋で好きな作家の話をしたとき、彼女が笑ってくれたこと。その笑顔で、好きだと気づいたこと。一つずつ思い出しながら、言葉を選び直していきました。

5時間後の封筒

ようやく3枚を書き終えたのは、書き始めてから5時間後でした。窓の外は、うっすらと明るくなり始めています。

1枚目の最初の行には、「僕も、あなたのことが好きです」と書きました。封筒の表には、2回目のデートでレシートの裏に本のタイトルを書いたときと同じ癖字で、彼女の名前を書きました。

前に一度、家の前まで送ったことがあります。切手は貼らずに、自分の手で集合ポストに入れました。それから、ようやくメッセージを送りました。
「郵便受け、見てほしい」

そして...

しばらくして、彼女から電話がかかってきました。泣きながら「一晩中、すごく後悔してたんだよ」と言われ、謝ることしかできませんでした。

その日から、僕たちは付き合っています。彼女が一晩見つめていた既読だけの画面は、僕にとって、生まれて初めてのラブレターを書き上げるための5時間でした。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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