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「変な顔」としか言えなかった私→展望台の写真をロック画面にした日、ガラスに映る彼の隣で見ていたもの

  • 2026.11.8
ハウコレ

展望台で撮ってもらったツーショットを、私はどうしても消せませんでした。恥ずかしかったのは、彼の格好でも、彼の隣を歩くことでもなかったのです。

雑貨屋のショーウィンドウに、彼と並んで歩く私が映っていました。その顔が目に入った瞬間、私は彼の手をよけていました。付き合って半年、ガラスの前で顔をそむけたのは、これが初めてではありません。

ガラスに映る顔

彼と歩いていると、自分の顔がゆるみっぱなしになることには前から気づいていました。
ショーウィンドウや電車の窓に映るたび、口の端が上がったままの自分と目が合います。友達と歩くときには、一度も見たことのない顔でした。
商店街で彼が手を取ろうとしたとき、この顔のまま手までつないだら、と思うと耐えられなくなりました。
「あなたと歩くの恥ずかしい」
とっさにそう言って、マフラーを鼻まで引き上げました。言い方を間違えたと気づいたのは、前を歩き出してからです。

消しといて、と言われて

カフェでもマフラーを外せずにいると、彼が言いました。
「恥ずかしいなら、展望台のやつも消しといて」
1か月前、係の人に撮ってもらった1枚のことでした。画面の中の私は、目がなくなるほど笑っています。「変な顔」としか言えず、彼に送れなかったのもそのせいでした。
「うん、分かった」と答えてスマホを開き、ゴミ箱のマークに親指を近づけました。
でも、あの写りの私は、これまでで一番いい顔をしていたのです。好きな人の隣にいると、誰が見てもすぐに分かる顔でした。

あとで、と言った理由

親指は、マークに触れる手前で離れていました。スマホを伏せて「あとで消すね」と言うのが精いっぱいです。
その日の帰り、私は消すどころか、あの写りをロック画面に設定しました。消してと言われたものを、一番目に入る場所に置いたことになります。自分でも理屈に合わないと分かっていました。
彼からのメッセージには、いつも通りに返すだけでした。展望台のことには触れられないまま、数日が過ぎました。

そして...

次の休みの日、彼の部屋でお茶を待っていると、テーブルの上のスマホが通知で光りました。お茶を置いた彼の目が、その画面に向いています。
スマホをひっくり返して「見た?」と聞くと、彼はうなずきました。
ごまかす言葉を探しましたが、出てきたのは本当のことでした。「あなたと歩いてる私の顔が、恥ずかしかったの」。
彼は少し考えてから、「じゃあ、その顔の横の俺は何なの」と笑いました。答えられずに、私はクッションに顔をうずめました。
あの日恥ずかしかったのは、彼の隣を歩くことではなく、彼の隣でゆるみきっていた自分の顔でした。

(20代女性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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