1. トップ
  2. エピソード
  3. 「お父さん、ついでに払っておいて」二世帯住宅で代引きの荷物を立て替えさせる娘夫婦。だが、父が伝えた本音とは

「お父さん、ついでに払っておいて」二世帯住宅で代引きの荷物を立て替えさせる娘夫婦。だが、父が伝えた本音とは

  • 2026.11.7
「お父さん、ついでに払っておいて」二世帯住宅で代引きの荷物を立て替えさせる娘夫婦。だが、父が伝えた本音とは

娘夫婦の荷物を立て替える日々

娘が結婚したとき、僕は娘夫婦と暮らすために二世帯住宅を建てました。

建築費用のほとんどは僕が負担し、玄関は共用。

1階に僕と妻、2階に娘夫婦が住むことになりました。

最初のうちは、玄関で娘夫婦と顔を合わせるのが楽しみでした。

妻とも「一緒に暮らせてよかったね」と話していたほどです。

ところが、しばらくすると困ったことが起き始めました。

ある日の昼、チャイムが鳴ったので玄関に出ると、配達員さんが段ボールを抱えて立っていました。

娘夫婦がネットで注文した、代金引換の荷物でした。

「お支払いをお願いします」

「あ、2階の分ですね。少し待ってください」

娘夫婦は留守だったので、僕が代金を立て替えました。

夕方、帰宅した娘に声をかけました。

「今日、代引きの荷物が届いたよ。お金は払っておいたから」

「あ、ありがとう。また届くと思うから、よろしくね」

「また代引きなのか?」

「うん。お父さん、ついでに払っておいて」

「いや、今日の分もまだ返してもらってないんだけど」

「あとでまとめて渡すから。下にいるんだし、お願い」

そう言って、娘は2階へ上がっていきました。

最初は少額だったので、僕もそれほど気にしていませんでした。

しかし、荷物が届く回数は増え、立て替える金額も大きくなっていきました。

テーブルに置いたメモの束

ある晩、娘夫婦に立て替えたお金の話をしました。

「そろそろ、今までの分を返してほしいんだけど」

すると、娘の夫は少し笑って言いました。

「お義父さん、そんなに気にしなくても。家族なんですから」

「そうそう。お父さんたち、家にいることが多いし、助かってるんだよ」

娘もそう言って、あまり気にしていない様子でした。

僕たちにとっては決して小さな負担ではありません。

それなのに、二人にはなかなか伝わりませんでした。

やがて、僕と妻はチャイムが鳴るたびに身構えるようになりました。

また代引きだったらどうしよう。財布にいくら残っているだろう。

そんなことばかり考え、ついには居留守を使うこともありました。

自分たちで建てた家なのに、玄関に出ることさえ気が重くなっていたのです。

僕はそれまで、代金を立て替えるたびに日付と金額をメモしていました。

ある夜、娘夫婦に1階の居間へ来てもらい、そのメモの束をテーブルに置きました。

「これ、今まで立て替えた分なんだ」

「えっ、こんなにあるの?」

娘が驚いた顔でメモを手に取りました。

「一度、ちゃんと見てほしくてね。これからは自分たちで受け取って、払ってほしい」

「でも、お父さんたちがいるときは…」

「僕たちも毎回払えるわけじゃないんだよ。最近はチャイムが鳴るのも嫌になって、居留守まで使ってたんだ」

娘は何も言わず、メモを一枚ずつめくっていました。

いちばん上のメモの端には、僕が書き添えた「ついでに」という文字もありました。

「一緒に暮らしたくて、この家を建てたんだ。こんなことで気を使いながら生活したくないんだよ」

娘はメモから顔を上げましたが、何も言いませんでした。

隣にいた娘の夫も、黙って金額を見つめていました。

すると、妻が静かに口を開きました。

「昨日も荷物が来たみたいだけど、出なかったの。もう立て替えるのが嫌でね」

娘は小さくうなずきました。

翌週、娘夫婦は立て替えたお金を封筒に入れ、まとめて返しに来ました。

娘は少し気まずそうに、封筒をテーブルに置きました。

それからは、娘夫婦が在宅しているときにチャイムが鳴ると、2階から階段を下りてくる足音が聞こえるようになりました。

僕と妻は、居間でお茶を飲みながらその音を聞いています。

以前のように、慌てて財布を確かえることはなくなりました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ