1. トップ
  2. エピソード
  3. 「お宅のピアノ、うるさいんだよ!」昼間に練習する娘を怒鳴る隣人。ピアノをやめた娘が再び弾き始めたワケ

「お宅のピアノ、うるさいんだよ!」昼間に練習する娘を怒鳴る隣人。ピアノをやめた娘が再び弾き始めたワケ

  • 2026.11.6
「お宅のピアノ、うるさいんだよ!」昼間に練習する娘を怒鳴る隣人。ピアノをやめた娘が再び弾き始めたワケ

娘の日課だった、明るいうちの練習

我が家は戸建てで、すぐ隣にマンションが建っています。

中学生の娘は、学校から帰ると、明るいうちにリビングでピアノを練習するのが日課でした。

ある日、家の前を掃いていると、マンションから出てきた男性が、うちの窓を見上げながらつぶやきました。

「昼間くらい、家で静かに過ごさせてほしいもんだね」

こちらにも聞こえる声でしたが、直接話しかけられたわけではありません。そのときは何も言えず、気まずい思いをしました。

それからしばらくたった日の午後。娘がピアノを練習していると、隣のマンションのベランダの窓が勢いよく開きました。

見ると、あの男性がベランダから身を乗り出し、こちらをにらんでいます。

「お宅のピアノ、うるさいんだよ!」

突然の怒鳴り声に、娘は驚いて手を止めました。そして、そばにいた私を不安そうに見上げます。

「お母さん、私、うるさかった?」

「音が気になったのかもしれないね。でも、あんなふうに怒鳴られたら怖いよね」

そう答えましたが、娘はすっかり萎縮してしまったようでした。

その後も、娘が友達を連れてきて、リビングで笑い合っていただけの日に、ベランダから声が飛んできました。

「毎日毎日、うるさいんだよ!」

夫がお菓子を持って謝りに行くと、男性はその場では穏やかに対応してくれたそうです。

ところが、外で会うと挨拶を無視し、こちらをにらんできます。

娘も男性のことを気にするようになり、いつの間にかピアノの前に座らなくなってしまいました。

買い物帰りのおばあさんが

ある日の夕方、家の前で鉢植えに水をやっていると、マンションの前にあの男性がいました。

そして、通りにも聞こえるほどの大きな声で言ったのです。

「あの家のピアノ、本当にうるさいんだよ。親は何を考えてるんだか」

娘はもうピアノを弾かなくなっているのに、まだそんなことを言うのかと、悲しくなりました。

何か言い返したかったのですが、また怒鳴られるかもしれないと思うと、声が出ません。

そのとき、同じマンションに住むおばあさんが、買い物袋を提げて帰ってきました。

男性の声が聞こえたのでしょう。足を止めると、男性に声をかけました。

「ちょっといいですか。ピアノの音より、あなたの声のほうがよっぽど響いてますよ」

「え?私の声ですか?」

「ええ。この前もベランダから怒鳴っていたでしょう。マンションの中まで聞こえてましたよ」

男性は少し驚いたような顔をしました。

おばあさんは続けます。

「それに、私はあの子のピアノ、毎日楽しみに聞いてたんです。最近聞こえなくなって、残念に思ってたんですよ」

「いや、でも、こっちは音が気になるんですよ」

「それは分かりますよ。でも、だからって怒鳴らなくてもいいでしょう」

男性は言葉に詰まったようでした。

エントランスの奥にいた住人も、声が気になったのか、こちらを振り返っています。

男性は周囲をちらりと見てから、何も言わずにマンションへ戻っていきました。

それ以来、男性の怒鳴り声は聞こえなくなりました。

おばあさんが言ってくれたことを娘に伝えると、娘は驚いた顔をしました。

「私のピアノ、楽しみにしてくれてたんだ…」

そして久しぶりに、ピアノのふたを開けたのです。

しばらくして、娘と家の前にいると、通りかかったおばあさんが手を振ってくれました。

「今日も聞こえたわよ。また聞けるようになって、うれしいわ」

「ありがとうございます。私も、また弾けてうれしいです」

娘が笑顔で答えると、おばあさんもうれしそうに笑ってくれました。

ちょうどそこへ、マンションからあの男性が出てきました。

私たちに気づくと、さっと目をそらし、黙って足早に通り過ぎていきました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ