1. トップ
  2. エピソード
  3. 付き合って10日の彼から地名だけの1通→「誰かとの思い出の場所?」と送った私に「行けば分かる」

付き合って10日の彼から地名だけの1通→「誰かとの思い出の場所?」と送った私に「行けば分かる」

  • 2026.11.7
ハウコレ

「行けば分かる」。理由を聞いても、彼はそれしか教えてくれませんでした。検索画面に並ぶ海の写真を眺めても、自分とのつながりは何ひとつ見つかりません。

スマホを開くと、彼からのメッセージが一通だけ届いていました。いつもの「おつかれ」もなく、書いてあるのは地名だけ。何度見返しても、その先に続く言葉はありませんでした。

あいさつもない、地名だけの一通

地名のみを送ってきたのは、付き合って10日になる彼です。
聞いたことはある気がしますが、どこにあるのかまでは分かりません。誰かに送るつもりのものが、間違えて届いたのかもしれない。そう思いながら返しました。
「地名だけ送ってくるってどういうこと?」
返事はすぐに来ました。
「来週の土曜、空いてる?」
質問の答えにはなっていません。とりあえず「空いてるけど、なんでその浜?」と送りました。

検索して出てきたのは、海の写真

返事を待つあいだに、地名を検索してみました。観光地の海岸で、夏は海水浴の人でにぎわう場所だそうです。砂浜と、遠くに見える山と、寄り添って歩くカップルの写真がいくつも並んでいました。どこかで見たような景色にも思えましたが、海なんてどこも似たようなものです。
提案された浜の名について彼と会話したことはないはずです。
では、なぜここなのか。彼にとって特別な場所なのだとしたら、誰との思い出なのか。付き合って10日では、彼の昔のことはほとんど知りません。
画面を閉じたところで、スマホが鳴りました。彼からの返事です。

「行けば分かる」の一点張り

「行けば分かる」
それだけでした。もう少し教えてほしくて、「誰かとの思い出の場所?」と送ってみました。
「違う。でも行けば分かる」
否定されたことに少しほっとしつつ、やはり答えにはなっていません。行けば分かるということは、行くまでは言えない何かがあるということです。
友達に話すと、「サプライズじゃない?」と言われました。そうだったらいいと思う一方で、サプライズにしては場所があまりに唐突です。地名だけを残して説明を避ける彼が、少し遠く感じられました。

そして...

約束の日、私たちは古い電車に揺られていました。車窓の向こうに、ときどき海がのぞきます。浜のことを聞いても、彼は「着いてからね」と笑うだけ。窓の外を眺める横顔からは、何も読み取れませんでした。
小さな駅で降りると、彼は改札を出たところで振り返りました。
「ここから少し歩く」
潮の匂いがする細い道を、彼は地図も見ずに進んでいきます。初めて来たはずの町なのに、曲がる角に迷いがありません。その先に見えてきた色あせた看板の小さな店の前で、なぜか私の足のほうが先に止まっていました。
付き合って10日の彼は、なぜこの浜を選び、この道を知っていたのでしょうか。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ