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「お世話になったって言っても、他人でしょ」先輩の香典を3000円にした妻。10年後、友人の香典を相談された僕が伝えたこと

  • 2026.11.5
「お世話になったって言っても、他人でしょ」先輩の香典を3000円にした妻。10年後、友人の香典を相談された僕が伝えたこと

ため息をついた妻

10年前、会社で長くお世話になった先輩が亡くなりました。

僕が仕事で大きな失敗をしたとき、黙って一緒に頭を下げてくれた人です。

知らせを聞いた夜、僕は妻に香典の準備を頼みました。

我が家では、香典は身内なら5000円、それ以外は3000円と決めていました。

ただ、その先輩だけは少し多めに包みたいと思ったのです。

「先輩には本当にお世話になったんだ。5000円にしてくれないかな」

家計簿をつけていた妻は、顔を上げてため息をつきました。

「でも、身内以外は3000円って決めてるじゃない」

「それは分かってるけど、僕にとっては特別な人なんだよ」

妻は少し困ったような顔をしました。以前から、僕が仕事の付き合いにお金をかけることをあまりよく思っていなかったのです。

「お世話になったって言っても、他人でしょ」

その言葉には引っかかりましたが、それ以上は言い返しませんでした。

翌朝、妻は封をした香典袋を僕に渡してくれました。僕は頼んだとおりに用意してくれたものと思い、そのまま受け取りました。

駐車場で気づいた金額

葬儀の日の昼、式場近くの駐車場に車を止めたとき、僕はうっかり香典袋を汚してしまいました。

近くの店で新しい袋を買い、車の横で中身を移そうとしたところ、入っていたのは3000円だけでした。

5000円にしてほしいとお願いしたのに、妻はいつもの決まりどおりに包んでいたのです。

正直、がっかりしました。金額そのものより、僕がどれほど先輩に感謝していたか、伝わらなかったことが悲しかったのです。

とはいえ、式の時間が迫っています。僕は財布からお小遣いの2000円を出し、合わせて5000円にして包み直しました。

帰宅してからも、妻には何も言いませんでした。話したところで、またけんかになると思ったからです。

それでも、あのとき言われた「他人でしょ」という言葉は、ずっと心に残っていました。

10年後、妻に伝えたこと

それから10年がたったある夜、妻の古くからの友人が亡くなりました。

居間でテレビを見ていた僕のところへ、妻が香典袋を持ってきました。

「大事な友だちだったから、今回は少し多めに包んでもいい?」

僕はテレビを消し、妻に答えました。

「うん、いいと思うよ。ただ、ちょっと話しておきたいことがあるんだ」

「何?」

「10年前、先輩が亡くなったときのこと、覚えてる?」

妻は少し考えてから、うなずきました。

「あのとき、5000円をお願いしたけど、袋には3000円しか入ってなかったんだ」

「…そうだったね」

「袋を汚して、入れ替えるときに気づいたんだよ。足りない2000円は、自分で足したんだ」

妻は黙って僕を見ていました。

「ずっと言わなかったけど、あのとき『他人でしょ』って言われたのが、結構つらかったんだ」

「……あのときは」

妻は何か言いかけましたが、それ以上は続きませんでした。

「友だちが大切なのは分かるよ。僕にとっては、あの先輩がそういう人だったんだ。それだけは分かってほしかった」

妻は目を伏せ、しばらく黙っていました。僕も、それ以上は何も言いませんでした。

それからは、香典の金額を夫婦で相談して決めるようになりました。妻も、袋を封する前に中身を僕に見せるようになっています。

先輩について軽く口にすることも、なくなりました。

10年もたってから伝えることになるとは思いませんでしたが、あのとき言えなかった気持ちを、ようやく妻に話せた気がしています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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