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「覚えられない」は勉強法のせい?大人脳に合う学び方と8つの「脳番地」の動かし方

  • 2026.11.4

「覚えられない」は勉強法のせい?大人脳に合う学び方と8つの「脳番地」の動かし方

年齢を重ねるにつれ、学びたいという意欲がムクムクとわいてくるもの。とはいえ、「これ、勉強したはずなのに思い出せない」「本で読んだけどすっかり忘れちゃった」なんてこともしょっちゅう。物覚えの悪さを実感している50代、60代も多いのでは? 脳内科医の加藤俊徳さんによれば、「若い頃とは脳の仕組みが違う。大人には大人に合った学び方がある」という。脳を効率よく働かせるために知っておきたい「脳番地」と学び方のコツについて教えていただいた。

お話を伺ったのは
加藤俊徳さん 脳内科医

かとう・としのり●加藤プラチナクリニック院長、株式会社「脳の学校」代表。独自開発した加藤式MRI脳画像診断法を用いて、脳の個性や成長段階、脳番地診断を行い、薬だけに頼らない脳の強化法の処方を行う。脳番地トレーニング、助詞強調音読法の普及にも取り組む。著書に『一生頭がよくなり続けるすごい脳の使い方』(サンマーク出版)など。

学生時代と同じ勉強法 では学びの効果が出ない

前回の記事では、大人になった今こそが勉強を始めるチャンスだということをお伝えした。


とはいえ、年齢を重ねるにつれ「新しいことが覚えられない」「学んだことをすぐに忘れる」と感じてしまうのはなぜなのだろうか。

「学生の頃は勉強すればもっと頭に入ったのに…と思いますよね。ここで問題なのは勉強のやり方。学生時代と同じ勉強法を大人になっても続けてはいないでしょうか。大人脳は若い脳と仕組みが違います。ゆうゆう世代が学ぼうとするなら、大人脳の仕組みに合った学び方をしなければ結果はついてこないんですよ」

大人が勉強する際に最も大切なのは、まず大人脳の仕組みを理解し、そのルールに従うこと。そして脳にとっていい環境を与えること。そのために、まずは脳全体の特性を知っておく必要がある。

8つの脳番地のネットワークをフルに使おう

「脳には役割ごとにさまざまな場所があり、その数はおよそ120カ所。私はそれを『脳番地』と名づけました。その中で重要なのは、下の図に示した8つの脳番地だけ。この脳番地の特性を知り、それぞれをうまく連携させることが、大人が学ぶうえで最大のテーマになります」

❶思考系…思考・意欲・創造力を司り、何かを考えるときに働く。各脳番地に指示を出す役割も。
➋感情系…喜怒哀楽を感じて表現する。生涯にわたって成長を続け、老化が遅いのが特徴。
➌伝達系…コミュニケーションを通じて意志疎通を行う。ここを活躍させると記憶系がよく働く。
➍理解系…目や耳からの情報を理解する。思考系と相談しながら情報を取捨選択し、記憶系に渡す。
➎運動系…手・足・口など体を動かすこと全般に関わる。すべての脳番地のエネルギーの源。
❻聴覚系…耳で聞いた言葉や音を脳に集積させ、理解系・思考系・運動系・記憶系に渡す。
❼視覚系…目で見た情報を脳に集積させ、理解系・思考系・運動系・記憶系に渡す。
➑記憶系…ものを覚えたり思い出したりするときに働く。感情系・思考系・理解系との連携が必要。

「8つの脳番地は、いわば会社のようなもの。思考系・理解系・記憶系の脳番地は、社長や常務といった会社のトップ3に当たり、三者で意見交換をしながら、最終的な判断を思考系の脳番地が下します。情報を整理・伝達するのは、広報に当たる伝達系。トップ3にやる気を出させたり、落ち着かせたりする相談役が感情系。現場で情報を集めてくるのは、営業に当たる運動系・視覚系・聴覚系の仕事です。

大人が何かを学ぼうとするときは、この8つの脳番地を互いに連携させ、それぞれの持ち味を十分に発揮させることが必要になります。どれか1つだけを働かせすぎても、サボらせてもダメ。脳番地をつなぐネットワークを広げ、連携を強化できれば、脳細胞が減少しても脳の機能を後天的に伸ばしていくことができるのです」

生活の中で脳に刺激を与える工夫もおすすめ

学生時代のように付箋やマーカーで要点をまとめたり、単語帳で丸暗記したりといった勉強法は、記憶系脳番地だけしか使わないため、ゆうゆう世代には不向き。大人が記憶力を高めるためには、トップ3の仲間である思考系や理解系を同時に使うことが大切だという。

「特に思考系脳番地をまず動かすことで、トップダウン式に他の脳番地も活発に動き始めます。つまり何かを記憶したいときは『覚えよう』ではなく『理解しよう』という姿勢で向き合うのが正解。複数の脳番地を一気に働かせて『なるほど、わかった!』と理解することが、大人の学びにとって最も効率がいいんですよ」

とはいえ、それぞれの脳番地は飽きっぽくて怠け者のため、放っておくとサボりがち。それを防ぐためには、毎日の生活の中でこまめに脳に刺激を与えるのが効果的だそう。

「毎日、無意識に繰り返しているようなルーティンに、ちょっとした変化をつけてみましょう。最初は抵抗があるかもしれませんが、それだけでダラけていた脳番地がシャキッと働き出し、記憶力アップにつながるはずです」

今すぐ実践! ルーティンを見直すことで脳力のアップに!

毎日繰り返している生活習慣に変化をつけて脳をリフレッシュして学びの効率もアップ。

利き手と違う手で歯磨きしてみる

右利きの人は左脳、左利きの人は右脳が活発に働くが、利き手ばかり使っていると、使わないほうの脳がスカスカになって老化が進む。利き手と反対の手を使うことで老化を予防でき、左右の脳を同時に鍛えられる。

朝、いつもと違う時間に出勤する

普段より早く家を出たり、違う道順で駅に向かったりすると、歩行者の数や聞こえる音、街の空気感の違いに気づくはず。いつもと違う景色に触れることで、視覚系・理解系・思考系・感情系などの脳番地に刺激が届く。

スマホのアプリの位置を変えて脳をサボらせない

何も考えなくてもできることを繰り返していると、脳がサボりやすく老化も進む。よく使うアプリの配置を大幅に変えると脳のトレーニングになり、眼球を動かすことで視覚系・理解系・思考系の脳番地への刺激にもなる。

違う世代の人と積極的に交流の場をもつ

同世代で集まって共感し合うだけではなく、年下や年上の人に会って話を聞き、自分とは違う考え方や価値観に触れることも脳への刺激に。交友関係のネットワークを広げて新しい視点を獲得することが学びにつながる。

取材・文/後藤由里子

※この記事は「ゆうゆう」2026年秋号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

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