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「あなたのお金は、また私が預かってあげるからね」僕のお年玉を使って家を出た母。大人になって届いた突然の連絡

  • 2026.11.5

棚の上の古い貯金箱

僕が一人暮らしをしている部屋の棚には、古い陶器の貯金箱があります。

子どものころから持っている物で、底のふたはもう何年も開けていません。

仕事から帰った夜、ときどき手に取ってみますが、振っても音はしません。

中が空っぽだと分かっているのに、つい確かめてしまうのです。

子どものころ、お正月にお年玉をもらうと、母はいつも僕のお金を預かってくれました。

貯金箱の底を開け、中に入っていた小銭も一緒に持っていきます。

「あなたのお年玉、預かってあげるからね」

「いつ返してくれるの」

「大きくなったらね。ちゃんと貯めておくから」

母は笑いながら、空になった貯金箱を僕に返しました。

僕はその言葉を疑いませんでした。お年玉を預けるたびに、自分のお金が少しずつ増えていくのだと思っていたのです。

ところが、ある晩のことでした。

布団に入っていると、居間から父の低い声が聞こえてきました。

「あの子のお金にまで手をつけたのか」

何の話なのか、最初は分かりませんでした。

でも、もしかしたら僕のお年玉のことではないかと思い、急に不安になりました。

翌朝、思い切って母にたずねてみました。

「僕のお年玉、ちゃんとあるの?」

すると母は、いつものように笑ったまま首をかしげました。

「あれは、お母さんが預かってたお金よ」

その答えを聞いても、安心することはできませんでした。

母は夜の店に通い、僕が預けたお金もそこで使っていたようでした。

詳しい事情までは分かりませんでしたが、父のあの言葉が耳から離れませんでした。

それからしばらくして、母は家を出ていきました。

預けていたお金がなくなったことも悲しかったですが、それ以上につらかったのは、母を信じられなくなったことです。

あんなに楽しみにしていたお正月の記憶まで、嫌なものに変わってしまったような気がしました。

知らない番号からの言葉

大人になった今、母とはもう何年も会っていません。

一人暮らしを始めてからは、自分で働いて得たお金を、自分の口座で管理しています。母が今の生活に関わることもありません。

そんなある日の夜、部屋で着替えていると、携帯電話が短く鳴りました。

知らない番号からのメッセージでした。

「大きくなったね。元気にしてる?」

送り主の名前はありません。誰からだろうと思って画面を見ていると、続けてメッセージが届きました。

「今度、お金のことで相談に乗ってあげる」

そして、もう一文。

「あなたのお金は、また私が預かってあげるからね」

その言葉を見た瞬間、子どものころに聞いた母の声がよみがえりました。

母だ、と確信しました。

何年も会っていないのに、まるで昔と何も変わっていないかのような言い方でした。

あのころ、母の言葉を信じて何度もお金を渡したこと。父の声を聞いた夜のこと。空になった貯金箱を見つめていたこと。

忘れようとしていた記憶が、次々と浮かんできました。

母がどうやって僕の番号を知ったのかは、今も分かりません。

結局、返事はしていません。

棚の上には、今もあの貯金箱があります。中身はずっと空っぽのままです。

自分のお金は自分で管理できるようになりました。それでも、知らない番号から連絡が来るたびに、僕はあのやさしい言い方を思い出してしまうのです。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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