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教育費「すべて私立なら2,600万円」の衝撃! 12歳から引き出せる「こどもNISA」は“メリット”だらけ

  • 2026.11.4
cocreco投資はお金を増やす楽しみがある。 写真:アフロ

老後2,000万円問題や新NISAの開始を機に、「投資」を考え始めた方は多いはずです。また、2027年からは「こどもNISA」の創設が検討されているので、資産運用に関心を寄せている方は多いでしょう。

しかし、目的のないままお金を増やそうとすると、目先の変動に一喜一憂して疲弊してしまいます。

ママ金融教育家の櫻井かすみ(さくらいかすみ)先生は、大切なのは増やす技術よりも「何のために使い、どう人生に生かすか」という自分なりの理由を持つことだと語ります。

第3回は、2027年創設予定の「こどもNISA」を前に、親子でマネーリテラシーを高めるステップを具体的に紹介します(全3回の第3回)。

勘違いだらけの「投資」

「貯蓄から投資へ」──政府が掲げたこの指針を機に投資への注目が集まっている、と語るのはママ金融教育家の櫻井先生です。

「少し前に『老後2,000万円問題』が話題になりました。そのときに多くの人はこう思ったはずです。

『今後、少子高齢化が進むと働く人の割合が減り、将来受け取れる年金が減る可能性がある。老後に備えて自分たちでお金を準備する必要がある』と。

でも、これは一面的な捉え方です。政府が投資へと舵を切った背景には、貯蓄で眠っている資金を投資に回し、企業の成長や経済の活性化につなげる狙いがあります。

低金利が続き、預貯金だけではお金が増えづらい現在は、『貯蓄=安全』という従来の考え方も見直されつつあります。

投資が増えれば企業に供給する資金が増えて、企業が成長する支援になります。成長した企業が生み出した価値の一部は、配当や値上がり益として投資家に還元されます。長期で積み立てることで複利の効果も働き、資産形成をあと押しすることにつながるのです。

また、現金は物価の上昇で実質的な価値は目減りしますが、株式などの資産は、価格転嫁が可能な企業の場合、インフレになっても価値が維持・向上する可能性があります。

こうした投資の仕組みを理解し活用することで、将来の選択肢が広がり、『お金を何のために使うか』を主体的に考えるようになります。

それは結果として、収入や資産が多いか少ないかに関係なくウェルビーイングな人生設計、つまり『多角的な幸せ』を重視する生き方へとつながっていくのです。

その一方で、お金があっても不安な人が多いのは、お金と人生の目標が結びついておらず、貯める目的がないのに漠然と増やそうとしているからです。

だからこそ考えたいのが、投資して増やしたお金を自分の人生にどう生かしていくか、ということでしょう。

実は、投資の考え方は子どものお小遣いと同じ。つまり、何のために増やし、増やしたあとにどう使うか、どういうときに使うのか、という目的と理由づけが大切です。

資産形成はお金を増やす技術ではなく、人生の選択肢を増やすための手段です」(櫻井先生)

子どもに投資を教える前にやりたいこと 金利と複利を体験させる「おうち銀行」

子どもがお小遣いの扱いに慣れてきたら、銀行の仕組みを理解する練習として親子でぜひ取り組んでほしいのが、「おうち銀行」だと櫻井先生は語ります。

cocreco子どもの金融教育について講演する櫻井先生。家庭内で銀行を開設する「おうち銀行」は、櫻井先生のアイデアの一つ。 写真:櫻井かすみ氏提供

「『おうち銀行』は別名『パパ・ママ銀行』です。実際の銀行と同じように、お金をパパ・ママに預けると利子がつき、足りない分は借金ができるというシステムです。

たとえばおうち銀行では、年に10%の金利がつくというルールとします。銀行に預けていると利子がついてお金が増えるという疑似体験を、お子さんにしてもらうのです。

現実には10%の金利なんてありえない話ですが、消費税が10%であることを考えると計算もしやすいですし、利子の額もわかりやすいでしょう。

『おうち銀行に預けていたらお金が増えた。どうやら10%の金利というもののおかげらしい。じゃあ金利って何だろう?』と、お子さんが興味を持ってくれたらさらにお金の話を深掘りしていけます。

増えたお金は使ってもいいし、そのままおうち銀行に預けておいてもいい。預けていれば元金だけでなく、利子にも利子がつく複利で増えていくことも話せます。

実際におうち銀行に預けるのは、普段のお小遣い以外では、お年玉やお祝い金など、臨時収入があったタイミングも考えられます。

親がお年玉を取り上げて本物の銀行に預けてしまうと、お子さんからは手が離れてお金を増やす興味が薄れてしまいますが、おうち銀行ならさらにお金を身近に感じられるでしょう」(櫻井先生)

子どもへのお金の教育は、正しい金銭感覚や判断力を育てることにつながります。家庭は練習の場として、お金の増やし方や金融の仕組みを体験させていきましょう。

また、おうち銀行を運営すると親御さんも金融への興味が湧きます。投資や世の中の動向に敏感になれる機会になるはずです。

計画的に学費を蓄える「こどもNISA」

塾や習い事を含めた子どもの教育費の負担は、多くの家庭が抱える悩みです。

ある調査では、幼稚園から大学まですべて公立でも約1,078万円、私立だと約2,666万円もの費用がかかるというデータも出ています。

cocreco公立と私立では教育資金に1,500万円以上の差が出る。『母が子に伝えたい大切なお金と社会の話』を参考にコクリコ編集部で作成。

利回りのいい時代には学資保険でも良かったのですが、低金利が続く今、新しい選択肢として注目されているのは、2027年に開始が検討されている「こどもNISA」です。

2023年で制度が終了した「ジュニアNISA」は原則18歳まで、高校入学時はおろか大学の学費を支払う際にも、子どもが誕生日を迎えていないと引き出せないという不便さがありました。

しかし、新しく始まる予定の「こどもNISA」は、より使いやすく進化します。

【2027年開始が検討されている「こどもNISA」3つのポイント】

(1)非課税で効率よく資産形成ができる

年間60万円、生涯で最大600万円までの範囲で、運用益に税金がかからない仕組みが想定されています。

(2)12歳から引き出し可能

“子どものため”という条件であれば、中学入学のタイミング(子どもが12歳になる年度)から引き出し可能となる案が検討されています。中学受験や海外留学などの教育資金として柔軟に対応しやすくなる点が特徴です。

(3)18歳以降は成人版「NISA」へ自動移行

子どもが18歳になると、成人向けの「NISA」口座へ、資産が移行される仕組みが想定されています。教育資金として使わなかった分は、子どもの将来の資産形成につなげることができます。

本制度は検討段階の要素を含むため、今後変更となる可能性があります。開始時期や要件などは最新情報を確認してください。

cocreco金融庁:「令和8年度税制改正について」〈税制改正大綱における金融庁関係の主要項目〉を参考にコクリコ編集部で作成。

親とは別に子ども名義で投資ができるので、家族でNISA口座を開けば、非課税投資の恩恵を最大限に受けられます。

運用はプロにお任せ! 未経験でも始めやすい「積み立て投資」の仕組み

創設が予定されている「こどもNISA」の魅力は、前述している通り、通常なら20.315%かかる運用益への税金が「ゼロ」になることです。

たとえば毎月3万円を15年間、年利3%(複利・積み立てを前提)で運用した場合、元本540万円に対して利益は約140万円になります。通常は約28万円が税金として引かれ、純利益は約112万円に目減りします。

しかし、未成年向けの非課税制度(いわゆる「こどもNISA」)を活用すれば、約28万円の税金分がそのまま手元に残り、約140万円の利益をまるっと受け取ることができるのです。

利益が非課税になる分は、私立高校の入学金に匹敵する金額になるでしょう(※利回りは説明するための一例であり、将来にわたり変わらずに運用成果を保証するものではありません)。

「投資は難しそう」と不安に思う必要はありません。「こどもNISA」の投資の対象になる商品は、金融庁が厳しい基準で認めた「長期の積み立て・分散投資に適した一定の投資信託」に限定されています。投資という性質上、リスクはありますが、未経験の親御さんでも比較的始めやすい仕組みとされています。

「投資信託」で将来の備えを 親は「個別株」で楽しみを

「NISA」のような制度は、資産形成をする選択肢の一つになります。

成人向けの「NISA」では、成長投資枠1,200万円の範囲内で「こどもNISA」では扱えない「個別株」の運用ができます。その醍醐味の一つが「株主優待」です。

「株主優待は企業が株主に『ありがとう』の気持ちを込めて贈るプレゼントです。優待の内容は、自社製品やギフト券、割引券などさまざまです。

ただし、株価の変動や企業の業績によっては、優待が廃止されたり元本割れしたりするリスクもあります。優待の内容だけで選択するのではなく、会社の将来性も合わせて総合的に判断してみてください」(櫻井先生)

一家の資産形成は、子どもの口座で着実に教育資金を準備し、親の口座では投資信託で親自身の将来に備えつつ、個別株で株主優待を楽しむ、という使い分けも一案です。

親子でNISAを活用することの意味は、単なる資産形成にとどまりません。仕組みを親が理解し、家族で話題にすること自体が子どもへの金融教育になります。

長期でものを考える経験から得るものとは

「こどもNISA」で積み立てたお金を引き出すタイミングになって「あなたのお金だよ」とポンと渡すのでは、お金の教育になりません。

「おうち銀行で金利や複利を体験して、お金の運用を理解できる年齢になったころに、ぜひともお子さんと『こどもNISA』の運用損益について話してみてください。

増えたり減ったりする過程を一緒に追い、親子の共通の話題として日常的にお金の話ができれば、最高の金融教育になります。

投資は10年、15年という長期で積み立て、年月を味方につけて増やしていくものです。人生においてそれほど長い期間を待つというのは、なかなか体験できないこと。

長期でものを考える視野と経験は、今後何かの岐路に立ったときに必ず役に立ちます。投資を通して自分がどう考えて何を選択し、決断や判断をしていくかを考える力になっていくのです」(櫻井先生)

お金は「どのような人生を送りたいのか」を考えるうえで、なくてはならないものです。だからこそ、お金をどう捉えてどう使うのかが大切です。

お小遣いを起点に幸せなお金の使い方を親子で考えながら、ウェルビーイングを実践していく。それが家族の絆を深めるきっかけにもなるはずです。

取材・文/石牟礼ともよ

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◆櫻井 かすみ(さくらい かすみ)

ママ金融教育家。株式会社トウシナビ代表、投資の学び舎スクールを経営。ファイナンシャルプランナー、小学校教諭免許状保有。「ファイナンシャル・ウェルビーイング向上のための教育プログラム」を研究し、初心者から上級者まで幅広い層に投資を教えている。お金の守り方と増やし方をこれまでのべ3000人以上に指導した実績がある。著書は『母が子に伝えたい大切なお金と社会の話』(Gakken)、『投資への不安や抵抗が面白いほど消える本』(Gakken)。

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